過活動膀胱とはどんな病気?
指導/後藤百万
名古屋大学大学院医学系研究科病態外科学講座泌尿器科学教授


 
過活動膀胱とは・・・
 
「昼間8回以上あるいは夜間3回以上排尿する」、「急におしっこがしたくなりもれそうになる」、「あるいはトイレに行くまでがまんができず尿がもれてしまう」といった症状があるものを過活動膀胱といいます。これは、加齢による膀胱機能の変化、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病などの神経の病気、前立腺肥大症などのために膀胱が過敏になって起こるものです。また、原因の不明なことも少なくありません。命にかかわるような病気ではありませんが、日常生活の中でとても困るものです。

 
▼過活動膀胱の症状
 種々の原因で膀胱が過敏になった状態で、トイレに行く回数が多くなる(頻尿:昼間8回以上あるいは夜間3回以上)、急に尿がしたくなりもれそうになる(尿意切迫感)、急に尿がしたくなってトイレまでがまんできずにもれてしまう(切迫性尿失禁)の症状がみられます。これらの症状以外に、尿が出にくい症状(排尿しようとして尿が出はじめるまでに時間がかかる、尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、尿が途中で途切れる、力まないと尿が出ない、など)を伴う場合がありますが、この場合は膀胱の問題のみでなく、前立腺肥大症やその他の原因で通過障害が合併している可能性があります。

 
▼過活動膀胱の治療と生活の注意
 くすりによる治療が主体となり、膀胱の収縮を抑える作用のくすり(抗コリン薬)を内服します。頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁の症状以外に、尿が出にくい症状がある場合は、抗コリン薬で、排尿困難が増悪することがありますので、排尿困難に対する治療も同時に行う必要があります。
 生活の上では、以下のことに注意をしましょう。
 
おしっこをがまんせず早めにトイレに行く
(過活動膀胱では尿意があってもがまんしていると、トイレまでがまんできずにもれてしまうことがあるので、少し早めにトイレに行くようにする)
外出時などはトイレの場所を確認しておく
(急におしっこがしたくなったときにあわてないようにトイレの場所を確認しておくと安心です)
すぐトイレに行けるような環境をつくる
(夜寝るとき、トイレに近い部屋で寝る、ポータブルトイレや採尿器を使う、すぐ脱げるような着衣を工夫するなど、すぐおしっこができるような環境を考えることも必要です)
便秘に注意
(ひどい便秘のため、尿が出にくくなることがあります)
薬を飲むときは医師に相談
(薬の中には膀胱や尿道の働きに影響するものがあり、尿もれを起こしやすくしたり、排尿困難を起こすものがあります)
寒い所で長時間過ごすことを避ける
(寒さにより膀胱が刺激され、過敏になり、尿が近くなったり、もれやすくなったりします)
 


 
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