|
胃は食べ物を消化し、栄養を吸収しやすい状態にして小腸に送り出します。 このため、胃壁(いへき)から塩酸と同じくらい強い酸である胃酸が分泌され、消化活動を行います。また、胃酸は食べ物と一緒に入ってきた細菌や微生物などを死滅させ、胃の中で腐敗が起こらないようにする働きもしています。 胃壁からは、胃酸と同時に胃粘液も分泌されます。胃粘液には消化力の強い胃酸が直接胃粘膜に触れて損傷を与えないようなバリアー機能があります。 |
健康な胃では、少しくらいの損傷は周囲の細胞がたちどころに増殖して胃粘膜を修復します。しかし、何らかの原因で修復が間に合わないと、胃酸による消化が進み、胃壁の組織が失われた結果、「胃潰瘍」といわれる状態になります。 この原因には、ヘリコバクター・ピロリ菌による慢性胃炎や鎮痛薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬)、ストレスなどが知られています。 ヘリコバクター・ピロリ菌は、アンモニアや毒素を作り出して胃粘膜を直接損傷することがわかっています。 |
胃粘膜には、消化に必要な血液を供給するためにたくさんの毛細血管が走行しています。胃粘膜の細胞が損傷しても、この血液が十分にあると修復に必要な栄養や酸素を確保できます。また、血流は胃壁の修復力を高める働きもしています。ところが、ストレスや鎮痛薬は、胃粘膜の血管を収縮させ血液量の不足を招き、修復力を低下させます。 |
||
胃壁は、内側から「粘膜層」「粘膜下層」「固有筋層」「しょう膜下層」「しょう膜」と5層にわけることができます。粘膜内までの浅い潰瘍は、びらんといわれます。 | |||||||
|
|||||||
治療は、薬物療法、手術やヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法などがあります。 | |||||||
薬物療法では、主に胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬などを使用します。 |
|||||||
|
|||||||
胃潰瘍で血管が損傷し出血しているような場合は、内視鏡の先端に付属した小さなクリップで血管を止血する内視鏡的止血法が行われます。 |
|||||||
|
|||||||
ストレスや薬物など、原因がはっきりしている場合は原因を除去することが大切です。 |
|||||||
胃潰瘍を治療する上で大事なことは、薬剤の服用を医師から指示されたとおりに守ることです。薬剤の効果で治療開始後の早い時期に症状は治まりますが、潰瘍が治ったわけではありません。医師から指示された期間、必ず薬剤の服用を続けることが治療のポイントになります。 |
|||||||
胃潰瘍では、過労やストレスを避けることが大切です。 酒、禁煙はもとより、胃酸の分泌を促すような食事(コーヒー、濃いお茶や紅茶、焼肉、強い香辛料などの刺激物)は控え、規則正しい食生活を心がけます。 そして消化のため、十分な血液が胃に送られるように食後30分くらいは体を動かさないようにすると良いでしょう。 |
|||
編集:株式会社ライフメディコム 制作:エンパワーヘルスケア株式会社 |
||
ご利用規約 | ||
Copyrights ©2009 Empower Healthcare K.K. All rights reserved.
|