当院での指導内容の一部をご紹介します。
がん検診、肺がんについて解説します。
睡眠時無呼吸症候群につき説明します
咳、発熱に対する説明、動脈硬化について解説します。
咳、発熱、血管を守るために
咳について
咳は身体が持つ最も優れた防衛反応の1つです。気管に炎症や異物があると、この反射作用を起こします。空気を強く吐き出すことが、気道から異物を取り除く働きをします。
 特に高齢者の場合は咳が出ないと痰や菌が肺内に貯まり、肺炎になる頻度が上昇します。そのため近年では肺炎予防のために咳が出やすくなる薬の使用が推奨されているぐらいです。

咽頭喉頭炎、風邪やそれに類する感染症が原因で起こる咳は、通常は2週間以内に収まります。時に気管支炎を併発した場合は多少長引くこともあります。
ただし以下のような場合、咳が重大な疾患の症状として現れている可能性がありますので注意を要します。
●2週間以上続く咳 ●血痰が出る ●胸痛を伴う ● 呼吸がしづらかったり、息切れがしたりする ●体重が減少した。

ここで日本咳嗽研究会が示している長引く咳の原因と主な治療法を上げます。

 痰が出る咳
1副鼻腔気管支症候群(去痰薬、マクロライド)
2後鼻漏(ヒスタミンH1-拮抗薬、ステロイド、抗菌薬の局所投与)
3慢性気管支炎(禁煙)
4限局性気管支拡張症(抗菌薬、切除)
5気管支喘息(ステロイド)
6非喘息性好酸球性気管支炎(ステロイド)
7肺癌、とくに肺胞上皮癌(?)
8気管支食道瘻、気管支胆管瘻(瘻孔の閉鎖)
 
 
 痰が出ない咳
1アトピー咳嗽(ヒスタミンH1-拮抗薬、ステロイド)
2咳喘息(気管支拡張薬、ステロイド)
3アンギオテンシン変換酵素阻害薬による咳嗽(薬剤の中止)
4胃食道逆流(H2-拮抗薬、プロトンポンプ・インヒビター)
5喉頭アレルギー(ヒスタミンH1-拮抗薬、ステロイド)
6間質性肺炎、肺線維症(?)
7心因性(心療内科的治療)
8気管支結核(抗結核薬)
9肺癌、とくに中心型肺癌(癌に対する治療)
(?:咳が出るしくみが不明であり、有効な治療法が確立されていない。)

ここで重要なことは鎮咳剤(いわゆる咳止めと呼ばれるクスリ)は治療薬として上げられていないことが判ります。
私自身の日本呼吸器専門医としての経験として風邪、気管支炎に対して短期間の非麻薬性鎮咳剤を使用することはあります。しかし麻薬性鎮咳剤(リン酸コデイン等)は肺ガン、間質性肺炎といった原因疾患の治療が困難な場合以外には殆ど使用したことはありません。

咳は気道内分泌物や異物を除去するための生体防御反応であるので、鎮咳剤でむやみに咳を止めようとしないで、原因疾患に対する治療を優先させるべきと考えます。また、鎮咳剤の効かない咳もあります。また喫煙は原因が何であれ、咳に対して悪い影響がありますので控えるべきだと思います。
風邪、インフルエンザの際の発熱について
・かぜの症状の多くは、かぜを治すための生体防御反応であり合目的
・苦痛でない症状を止めようとする必要はありません
・むしろ利用するくらいの心持ちがよいでしょう。

★発熟は生体の防御反応のひとつ
・ ウイルスの活動を鈍らせ たり、微生物を外へ追い出す線毛運動の働きを活発にします。
・ 解熱鎮痛剤でこの反応を無くしてしまうと、病原体はかえって活発化し、身体の奥深くに侵入するために、病気を長引かせる結果にもなりかねます。
・ 解熱鎮痛剤は確かに症状を緩和してくれますが、原因の治療薬ではありません。
・ 時に発熱が食事や水分摂取や睡眠の妨げになる場合もあります。そのような際には解熱させて、飲んだり、寝たりして、再び熱をだしてかぜと戦う体力をつけた方が良いかもしれません。
・発熱は、上がったり下がったりしながら徐々に落ち着いてきます。あまり熱に神経質になったり一喜一憂しないほうが良いと思います。
・ あまり発熱が長引く場合はかぜ以外の疾患も考える必要もあります。


解熱剤はどんなときに使うべきか
*体温が40度を超えたら解熱剤を使った方がいいでしょう。

それ以下のときは、体温よりもその人の全体状況から判断します。 
*元気で食事も水分もとれる状態 
 服用の必要はありません。かりに39度をさしていても全く元気で、食事をとれると言う場合があります。こういうときは、解熱剤を使う必要はありません。頭の下に氷枕、腋にアイスノンをはさみ体を冷やして下さい。

*体が非常にだるく食欲もなく頭痛もする 
熱で体が非常にだるく食欲もなく頭痛もするという場合は解熱剤を服用してもいいでしょう。解熱剤を飲んで体が楽になったところで栄養のある物を食べたり、水分補給をしましょう。

「解熱剤の使い方」
・ 解熱鎮痛剤を一日三回などと、定期的に投与して、症状をコントロールしてしまう方法は、以前は良く行われていた治療法です。しかし近年ではこれは生体の正常な感染防御反応を抑制して、かえって治癒を遅らせることにもなることが判ってきました。
・ 発熱、苦痛が著しい場合にのみ「頓用で使用」することは理にかなった方法といえるでしょう。
・ 高熱で命をおとすとか、脳に障害をおよぼすことは、よほどの熱中症か悪性症候群などごく限られた疾患でしかありません。
・解熱のために非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)を使用すると、時にショック、低体温、胃十二指腸潰瘍(消化管出血)、腎不全、肝不全、感染の増悪、ライ症候群、血液障害など、種々の重篤な副作用の危険があります。
・解熱剤の副作用は乳幼児や高齢者では出やすく、また、心不全や高血圧、喘息など基礎疾患のある患者にも同様に注意が必要です。
・一般に非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)よりアセトアミノフェンの方が安全性が高いとされています。

かぜの際の注射について
時に風邪の際に注射を希望される場合もあるかと思われます。炎症性疾患である風邪が劇的に治癒する魔法の治療は現在では残念ながらありません。
・過去にアンプル入りかぜ薬が原因と思われる死亡事故が相次ぎました。中央薬事審議会は、「アンプル剤は錠剤、粉末に比べて吸収速度が極めて早いため血中濃度が急速に高値に達しその毒性の発現が著しく強い」と説明 しています。
・薬剤を使用する場合はなるべく安全な投与方法、経路をとることが望まれます。つまり注射は経口投与も座薬の使用も不可能な患者さんにのみ限定されて使用する薬剤と考えます。

静脈注射、筋肉注射?マ吸収速度が速い。
経口、座薬?マ胃、腸を経由して徐々に吸収される。
吸収速度が速いというのは身体に対し、急激な変化を及ぼすので負担が強い。お酒の一気飲みと同じ。確かに自覚症状の変化が速いが、副作用の発現率が高い。
最終的な薬理作用は注射も経口も同じです。
血管を守るために
血管は一つのゴムホースのようなモノです。長く使い続けていると水アカが貯まったり弾力性が失われて脆くなったり、裂けやすくなったりします。動脈硬化とはこの状態に似ています。
 動脈硬化が進行すると、狭心症・心筋梗塞といった虚血性心臓病や脳卒中の発症率が上がり、死亡率も高くなってきます。
 始めのうちは痛いとか かゆいといった症状はありません。しかし、治療しないでおくと 知らない間に動脈硬化は徐々に進行していきます。 この「自覚症状が無い」という点が一番恐いところです。

動脈硬化を起こしたり、進めたりする条件を「危険因子」と呼んでいますが、その中には「男性であること」「齢をとること」のように、自分ではどうにもならないものから、「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」などのように、自分の意志次第でコントロールできるものもあります。
こうした危険因子を多く持つ人ほど、動脈硬化が加速度的に速まることがわかっています。
 ライフスタイルの修正や場合によっては薬物療法によって危険因子を一つでも減らすようにするのが望まれます。


(1)高血圧
高血圧は、細い動脈の硬化を促すだけでなく、より太い動脈に生じる硬化も進める重大な危険因子です。塩分の取り過ぎや肥満で血圧が高くなっていくのは、皆さんよくご存じのことです。
動脈硬化が進みやすい血圧は「収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合」で、血圧が高いほど脳梗塞や心臓病などにかかるリスクは当然、高くなります。

(2)高脂血症
高脂血症とは血液中のコレステロールや中性脂肪が上昇した状態です。この中には悪玉(総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪)と、反対に上昇すると動脈硬化を抑制する善玉(HDLコレステロール)があります。

(3)喫煙
1日20本以上の喫煙者では、虚血性心臓病の発生が50〜60%も高くなります。喫煙は、がん、肺や消化器などの病気だけでなく、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患の発症を促す強力因子です。
また喫煙はほかの危険因子にも影響し、総コレステロール値、LDL(悪玉)コレステロール値を高め、逆にHDL(善玉)コレステロール値を下げますから、二重のリスクをもたらします。
喫煙で血が固まりやすくなり、血栓症を起こす危険も高まります。血管も収縮しやすい状態になります。動脈硬化の予防・治療にまず禁煙が必要なのはいうまでもありません。
喫煙者だけでなく、そばにいて、たばこの煙を吸わされる「受動喫煙者」にも健康被害を与えていることをよく知ってほしいのです。

(4)肥満
肥満の程度を示す指標としてBMI(ボディ・マス・インデックス)があります。
BMI値=体重(Kg)÷[身長(m)×身長(m)]
例えば、体重65キロ、身長170センチの人ですと、
65÷[1.7×1.7]で、BMI値は22.5となります。

日本肥満学会の基準では、19.8〜24.2は「正常範囲」、24.2〜26.4は「過多体重」、26.4以上は「肥満」としています。

(5)糖尿病
糖尿病の治療目的は、腎症や網膜症、神経障害などの3大合併症に加え、心筋梗塞や脳卒中などの心・血管の合併症を防ぐことにあります。糖尿病があるだけで、心筋梗塞の既往歴を有する人と同等の発症のリスクがあること、さらには糖尿病が進行するほど病変が多枝にわたることから、重症化しやすいといえます。また急性心筋梗塞で搬送された時点での血糖値を調べてみると、約2/3に糖代謝異常が認められたとの報告もあります。そのため血糖のコントロールはより軽症の段階から積極的に対応するのが望ましいと思われます。



以上に上げた危険因子は相互に関係しており、因子が増えれば雪ダルマ式にリスクが高まる反面、一つでも因子を減らせば、よい影響も雪ダルマ式に広がります。治療にも予防にも危険因子を減らすことがいかに重要な意味をもつか、おわかりいただければと思います。