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肥満遺伝子とメタボ
個人の体質に合わせたオーダーメイドの肥満治療のために、肥満遺伝子診断が有用です。これまで知られている代表的な肥満遺伝子には以下の三つがあります。当クリニックでは希望者に肥満遺伝子診断(6800円、消費税込)を行い、カウンセリングを通じて、体質に合ったよりきめこまかい食事・運動指導を行っています。
1)β3-アドレナリン受容体(β3-AR)遺伝子 β3-ARはカテコールアミンによる白色脂肪組織での脂肪分解による体脂肪減少に加え、褐色脂肪細胞での熱産生によるエネルギー消費に対し重要な役割を果たしています。この遺伝子に変異があると一日あたりの基礎代謝量が約200Kcal低下し、内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)、インスリン抵抗性、2型糖尿病の早期発症に関与することがわかっています。34%の日本人にβ3-AR遺伝子の変異が存在します。糖質を過剰に摂りすぎるとお腹周りに脂肪が付きやすく、食事では糖質制限、運動療法では有酸素運動を積極的に行います。 2)β2-アドレナリン受容体(β2-AR)遺伝子 β2-ARは心臓、気管支平滑筋などに存在し、脂肪組織中では脂肪分解能の亢進と関連します。この遺伝子の変異は日本人の16%に存在します。通常太りにくいタイプですが、一度太りだすと痩せにくい欠点があります。肥満者では適切なカロリー摂取と併せて、運動療法(特に筋力トレーニング)を積極的に行うことで、安静時代謝量が100-300Kcal亢進し、肥満改善が期待できます。 3)脱共役蛋白質1(Uncoupling Protein;UCP1)遺伝子 褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に存在する熱産生蛋白質で、この遺伝子の変異は体脂肪蓄積に関与します。日本人の16%にUCP1異常が認められ、安静時基礎代謝が約100Kcal減弱しています。脂質の過剰摂取により下半身に脂肪が付きやすくなる特徴があります。そこで食事療法では脂質の制限を行い、脂肪代謝を高めるL−カルニチンなどのサプリメントを用います。 肥満遺伝子検査を行い肥満治療された症例の実際はウェルネスササキクリニック新HPをご覧ください。
厚生労働省の最近の調査によると、日本では働き盛りの人のリタイヤや突然死に、心血管病(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)がかなりの割合を占めているという調査報告があり、その原因としての動脈硬化の予防に重点が置かれています。動脈硬化という言葉は、誰もがしばしば耳にする言葉で、高血圧、コレステロール、糖尿病などが動脈硬化を促進させる危険因子であることも、広く知られるようになりました。しかし血管の老化現象である動脈硬化は、男性は働き盛りの45歳、女性は閉経時期の55歳ごろより、まったく自覚症状なく、身体の中で進行します。つまり男性の場合、先に述べた心血管病の予防は、50歳になってから行うのでは、すでに遅いのです。
下の図は、動脈硬化の危険因子数と、心臓病の発症リスクの関係を表しています。危険因子(肥満、高血圧、高血糖、脂質代謝異常)を3つ以上、たとえそれが軽微であっても、重複して保有する人では、危険因子ゼロの人に比べて、心臓病の発症リスクは31倍に跳ね上がることがわかります。今日、生活習慣病と呼ばれる高血圧、高脂血症、糖尿病などは、体質(遺伝的素因)に加えて、運動不足や肥満など、現代人に共通する生活背景(環境因子)があって発症する病気と考えられており、一つの病気が見つかった人は、すでに別の病気の芽を宿している可能性が高いのです。こうした病態はメタボリックシンドローム(代謝症候群)と呼ばれます。その基礎病態は腹部の内臓脂肪蓄積(下図CT写真の赤色の部分)ですが、上手に食事をし、適切に運動することは、この内臓脂肪を改善して、全ての病気を芽のうちに摘み取るために、もっとも確実で有効な手段となります。 ![]() ![]() |
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