病気のマメ知識


病気のマメ知識



■50歳代以上に多い「変形性脊椎症」 
『上半身をしっかり支えられているのは腰のお陰』

 歳をとると、いろいろなところに「ガタ」がきて、さまざまな症状が出てきます。中でも最も多くの人が訴えるのが腰痛です。そもそも腰には上半身の重さがドッシリとかかっています。上半身の重さは全体重の約60%を占めていますから、体重が60kgの人だと約36kgもの重さが腰にかかっている計算になります。その上、ひねったり、物を持ったり、おじぎをしたりといった上半身の動きを支えるのですから、腰への負担はかなりなもの。
 腰の部分は背骨(脊柱=脊椎)の一部である腰椎と椎間板からできています。腰椎は5つの椎骨からなり、椎骨の前方部分(お腹側)には円形状の椎体があります。椎間板は椎体と椎体の間で、椎体への刺激を吸収するクッションのような役目を果たしています。

 ところで、成長期にある若い人たちは、朝起きたとき、背の高さが夜眠る前より1.5〜2cmくらい高いことを知っていますか。これは、椎間板の中心部にある髄核が寝ている間に増え膨化するため。朝起きて動き出すと、椎間板が押されて、水分が絞り出され狭くなり、身長は元に戻ります。ところが、髄核の水分は加齢とともに減っていくので、膨化しにくくなります。また、水分が減ることによって椎間板の弾力性がなくなり、椎間板の厚みも薄くなります。歳をとったら背が縮まる原因の1つがコレです。

『体を動かし出したときに痛みが起こるのが特徴』

 椎間板がだんだん薄くなってくると、後方で上下の椎骨をつないでいる関節にかかる負担が増し、関節の接触面がすり減ってきます。摩耗が起きると、その部分を補おうと体はせっせと骨をつくろうとします。その結果、トゲのような形をした骨の出っ張り(骨棘=こっきょく)が椎体の縁にでき、脊柱が変形します。その影響を受けて、周囲の靱帯や関節などが刺激を受け、痛みやしびれを起こすのが変形性脊椎症です。

 変形性脊椎症は、脊柱のどこの部分でも起こりますが、中でも重い体重を支える腰椎に多く発生します。

 腰部変形性脊椎症の主な症状は腰痛です。最初のうちは鈍痛や腰のだるさを覚えます。やがて、朝起きあがろうとしたとき、あるいはイスから立ち上がろうとするときなど、動作を開始したときに痛みが強く現れ、動いているうちに軽くなるのが特徴です。

『薬やコルセットなどの方法で痛みを和らげる』

 いったん形の変わった椎間板や脊柱を元通りにすることは現代医学をもっても不可能です。となると、治療はどうしても対症療法になってしまいます。痛みのあるところに抗炎症作用のある薬を塗ったり貼ったり、あるいは飲み薬や坐薬を用いることもあります。そのほか、血行を促して痛みを和らげるホットパックやマイクロウェーブ波による温熱療法、腰痛コルセットを付ける装具療法、専門的な器具で腰椎を引っ張る牽引療法、局所麻酔を注射して痛みの伝達を遮断する神経ブロック療法などが試みられます。

 自宅でもできることがいろいろあります。例えば、湯船にゆっくりつかるのは一種の温熱療法といえます。また、柔軟体操やストレッチング、筋力トレーニングを毎日続けることもおすすめです。なお、重いものを持ち上げたり、前かがみの姿勢で作業を続けると腰に負担をかけるのでなるべく避けましょう。