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田口小児科医院小児の感染症1

ヘルパンギーナ
のどに発疹が出るのが特徴的な流行性の病気で、突然の発熱ではじまります。 
流行は初夏から夏に多く、いわゆる夏かぜの代表です。 
年齢は幼児でも幼いほうに多く、特に集団生活をしている幼稚園児や 
保育園児に目立ちます。 

【原因】 
病原はコクサッキーウィルスA群が主です。 
コクサッキーウィルスB群やエコーウィルスでも起こります。 
潜伏期は2〜5日といわれています。 

【症状】 
のどの奥に小さい水疱ができ、痛みのために食欲が落ちることがあります。 
高熱が1-3日続きます。 
哺乳不良、不機嫌、よく眠らない、泣くなどの不定の症状が見られることも 
あります。 
吐気がみられたり軽度の下痢も見られることがあります。 

【治療】 
ヘルパンギーナを治すための特別な治療はありません。 
熱を下げたり、痛みを和らげたり、二次感染を防いだりといった対症療法が中心となります。 
発熱が続くときは、脱水にならないように水分摂取を心がけましょう。 

【経過】 
通常は自然に治る病気ですので高い熱が出ていても原因がはっきりしていればあまり心配は要りません。 
幼稚園や学校は熱が下がるまでお休みしましょう。 
まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎を起こすことがありますので、ぐったりして 
元気がない、頭痛を訴えて頻回に吐く、といった強い症状が見られるときは早めに受診しましょう。

咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウィルスによる感染症です。 
学校、幼稚園などでプールの時期に爆発的に流行したことからプール熱と 
呼ばれるようになりました。 
必ずしもプールでうつるわけではなく、飛沫や目やにから感染します。 
【原因】 
病原はアデノウィルス1型〜8型で、中でも3、4型が多いようです。 
アデノウィルスには型がたくさんあるので、何度もかかることがあります。 
季節的には夏に流行が多いのですが、一年中見られる疾患です。 
【症状】 
潜伏期は5〜7日です。 
主な症状は名前の通り、咽頭炎、結膜炎、発熱です。 
発熱は突然始まり、39℃以上の高熱で、朝やや下降し、午後から夜に上昇することが多いようです。平均4〜5日続きます。 
結膜炎は熱や咽喉の症状と同時に起こることも、後や先にずれて起こることもあります。結膜炎を伴わないこともあります。 
その他の症状として鼻汁、咳、喘鳴などの呼吸器症状、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状も見られることがあります。 
【治療】 
アデノウィルスの感染を治すための特別な治療はありません。 
のどをぬぐって迅速にアデノウィルスを調べる検査がありますが、診断がついても治療は変わりませんので、熱が長引いて重病が潜んでいないか心配なときに検査をするのが良いでしょう。 
その他、高熱に対しては解熱剤、結膜炎に対しては念のために抗菌剤の点眼、呼吸器や消化器の症状に対してはそれぞれ対症療法を行います。 

【経過】 
通常は7〜10日の経過で自然に治る病気ですので高い熱が出ていてもあまり心配はいりません。ただ食欲が落ちて水分も取れないときは脱水が起きて点滴や入院を要することがあります。 
学校保健法では主要症状が消失したあと2日を経過するまで出席停止することになっています。ただし症状が軽ければこの限りではありません。 

手足口病
手、足、口に発疹がでる病気です。
英語でもHand-Foot-Mouth Diseaseと言われています。
夏に流行することが多く、夏かぜの一つといえます。

【原因】
主な病原はコクサッキーウィルスA16とエンテロウィルス71です。
コクサッキーウィルスA10による流行も時に見られます。
潜伏期は3〜7日で、唾液や便を介して感染します。

【症状】
手のひら、足の裏に平らな楕円形の赤黒い水疱のような発疹が出現します。
ひじ、ひざ、おしりにも発疹が出ることがよくあります。
発疹は数日で茶色くなって吸収され、かさぶたになることはあまりありません。口の中に直径2〜3ミリの粘膜疹(口内炎)が多数出現します。
歯ぐき、舌、のど、頬の粘膜のどこにでも出現します。
口内炎の痛みのために食欲が落ち、脱水の原因となることもあります。
発熱はあまり多くなく、もしあっても38℃台程度で1〜3日でおさまります。

【治療】
手足口病を治すための特別な治療はありません。
痛みを和らげたり、熱を下げたり、といった対症療法が中心となります。

【経過】
通常は自然に治る病気ですので、水分がとれていれば心配はいりません。
全身状態がよければ学校や幼稚園に行ってもかまわないことになっています。(できれば食欲が戻るまで自宅で様子を見たほうがよいでしょう。)

以前海外で手足口病の合併症として脳炎が起こり多数の死亡者が出て問題になったことがあります。日本でもまれに脳炎の報告があります。
一般的には自然に治る軽い病気ですが、ぐったりして元気がない、頭痛を訴えて頻回に吐く、意識がおかしい、などといった症状が見られるときは早めに受診してください。

伝染性紅斑(りんご病)
伝染性紅斑は、頬、上下肢に発疹が見られるのが特徴の病気で、小児を中心として流行しますが、時に成人もかかります
頬に発疹が出てりんごのほっぺに似ているため、日本では“りんご病”と呼ばれています。英語ではslapped cheek disease(ほっぺたひっぱたき病?)と呼ばれています。

【病因】
パルボウィルスB19というウィルスの感染が原因です。
聞きなれない名前ですが、日本では0〜4歳で10%、20〜30歳台で30〜40%、50歳以上で76%の人が抗体を持っています。
感染を受けても症状が出ない不顕性感染が約20%に見られるといわれています。

【臨床症状】
感染初期には発熱とともに筋肉痛や頭痛、関節痛、軽いかぜ症状(のどの痛み、咳)、消化器症状(下痢、嘔吐)などが出現します。これらの症状は非常に軽くて気づかれない場合もあります。その後4〜7日頃に発疹が出現します。
発疹は顔の蝶形の紅斑と全身、特に四肢の紅斑が中心です。
顔から始まって1〜2日遅れて四肢に拡がることが多く、紅斑は次第に融合してレース状、網目状、環状になっていきます。かゆみや熱感を伴うこともあります。発疹は数日から1週間ほどで軽快しますが、その後数ヶ月にわたって日光に当たったりこすれたりすると再燃することがあります。

【治療】
全身状態が悪化することはなく予後も良好なので特別な治療を必要としません。かゆみの強い場合には抗ヒスタミン剤、頭痛や関節痛には消炎鎮痛剤などを使用することがあります。

【その他の注意】
発疹が出現するのは感染してから16〜18日後ですが、この頃にはもうウィルスの排泄はないとされていますので、りんご病と診断されてから人との接触を避ける必要はないと考えられています。ただし溶血性貧血の患者さんは症状が悪化する恐れがあり、また妊娠中に罹ると流産や死産の可能性が高くなることが知られていますので、このような方々は流行の際には注意が必要です。