矯正治療に関する院長の考えを随時お送りするコラムが開設されました。どうぞご覧下さい。
義歯治療についての院長の考えを述べた院長コラムが開設されました。どうぞご覧下さい。
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矯正治療
虫歯治療(3Mix療法)
スポーツマウスガード
接着歯学
SOD様作用食品 等
インプラント治療について思うこと
その1
院長の診療へのこだわり
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■17:30に診療受付を終わる理由  なぜならそれは・・・・
歯科医院も現在は68,000件程度あると言われており、コンビニエンスストアが45,000件ですので、コンビニエンスストアの1,5倍の数となります。
数が増えれば、当然競争も激しくなりますから、診療時間を遅くまでにする所も多くなります。
ただ、当院の場合は、17:30に受付を終了しています。
なぜならば、診療が終わった後に、私自身必ずしておかなくてはならないことがあるからです。
これは勤務しているときから変わっていません。
ひとつは新しい技術(例えば矯正治療やインプラント治療、再生療法)の取得に要する時間がいるということです。つまり、診療が終わった後に、勉強もしたいのです。 技術は日々進歩していますから。
もうひとつは、その日に行った診療の整理、型をとれば全ての模型のチェック(例えば入れ歯であれば設計といった仕事)、技工指示書への詳細な記入といった作業です。
そしてもうひとつは翌日来院される方のカルテ全てに目を通し、ポイントのチェックと私の頭の中で診療についてのシュミレーションを行い、次の日の診療の流れをイメージします。
これら全てを行うと(その他食事もして)0:00〜1:00ぐらいになります。
ですから患者さんには、もう少し遅くまでという御要望もおありと思いますが、これが私の診療スタイルであるということでお伝えしておきたいと思うのです。


■前日に翌日の診療のシュミレーションをする訳
 当院は予約制をとっています。1回の治療を30分、長いケースでは2時間とることもあります。前日に診療のシュミレーションをすることによって、予約して頂いた時間を非常に効率よく使うことができます。 診療している時に「あの器具がなかった」「あの材料を準備しておけばよかった」ということはあってはいけません。それが時間のロスになるからです。私はいつも密度の高い診療を行いたいと思っています。
 当院では 朝礼を20分程度行っています。この朝礼では、その日に来院される患者さんの診療にあたっての細かな注意事項を指示し、診療準備を完璧にするべく打合せを行っています。また現在の歯科医療の流れ、あるいは社会の流れなども話をして、大きな視点から歯科医療というものをスタッフ全員でみることができるように注意を払っています。
 当院に予約時間に来院された患者さんのために私は少しの時間も無駄にしたくありません。そして常に、その時間は技術の限りを尽くしたいと思っております。


■私が治療で一番心掛けていること その(1) 
 私が治療で一番心掛けていることは、後戻りできないこと(不可逆的)な治療を行わないということです。後戻りできないということは、例えば歯を抜くことや神経を取るといったことです。それが必要な時ももちろんありますが、歯を残せる可能性、神経を残せる可能性があれば患者さんの意向も聞き、極力残すように努めています。
 元々、体に備わっているものを損なわない治療が大切だと思っています。インプラント術も大切ですが、天然歯、そしてそれに備わっているものを残す技術に私はこだわっています。誰しも元々自分の体に授かったものを損なうことは好まれないと思います。
 そしてもう一つ、患者さんとよく話をすることにもこだわっています。御自身の考え、思いを伝えて頂きたいのです。「素人だから、お任せします」と言われる前に、御自身の考え、希望も教えて下さい。私がそれについて、それはできます、それは難しいですといったことをお伝えしながら、治療方法が考えられると思います。


 
■生涯修行である。理論に裏打ちされた技術こそが予後を左右する。 
私が常に思っていることは、頭でっかちでもダメであるし、器用のみでもダメということです。予後を左右するのは技術であることは間違いないと思いますが、それも理論に裏打ちされた技術でなくてはダメであるということです。常に新しい理論、技術を吸収していく情熱と向上心を 断やさないことが重要であると思っています。
 例えば歯周組織再生療法やインプラントであれば、ただメーカーのマニュアル通りにするのではなく、ひとつひとつのステップをなぜそのようにするのか、解剖学的に発生学的に今このステップでは、どのようなことを起こそうとしているのか、また起こっているのかを理解して行うことが、予後の良否に大きく左右すると考えています。
 勤務医時代 、私を高く評価して起用してくださり、常に情熱と向上心を持って学んでいくことの大切さを教えてくださった院長の存在こそが、私がこのように考えるようになったきっかけです。
 自分を成長させるためには、日々の地道なステップしかないと考えています。
そのために時にはゆっくりとしたくなる自分を叱咤激励して、理論と技術の修得に努めています。


■症例を通して自己の中で学習を重ねていく。
私はいつも思います。「患者さんこそ最高の師である」と。
治療にあたって私がいつも思うことは、信念を持って「1本の歯を残していく」という姿勢を貫くことが大切であるということです。崖っ淵に立たされた様な、ボロボロになった歯の治療に臨むときは、この信念が特に大切であると思うのです。歯科医療はつまるところ、「天然歯があった時の状態をいかに回復するか」がテーマであると思います。それならば、「抜いてインプラントにすれば良い」と考える前に、「抜いて何かを入れれば良い」と考える前に、今ある天然歯が厳しい状態であっても、残せる可能性が少しでもあるのならば、技術の限りを尽くして残したいと思います。
この信念を持ち、日々学習を重ね、そして毎日の診療を通して自己の中で理論を深めていくことによって「熟練した」技術という無形の財産が自らの中に形成されると思っております。
また、歯科という分野を細分化し過ぎずに、オールラウンドに精通し、技術武装していることが、多面的に疾患をみることができるということで大切であると考えています。
現在医療の崩壊が叫ばれていますが、医師の養成などは一朝一夕でできるものではないと私は思います。正にローマは一日にして成らずというのが熟練した医師の養成ではないでしょうか。


■歯科は自然科学であることを認識し、日々の治療にあたる。
私が治療において特に注意をしていることは、「ピントのずれたことをしない」ということです。
歯科は自然科学ですから、臨床で大切なことはポイントを外さないということであると思います。ですから常に自分の行った方法が、それぞれのケースにおいて自然の理にかなっているかどうか、チェックをかけながら治療をしています。
ポイントを外せば、例えばむし歯治療であれば、痛みはなかなか引かないですし、矯正治療であれば、ワイヤーを入れたとたんにひどい痛みが出るは、治療期間はなかなか歯が動かずに3年も4年もかかるは、ということになると思うのです。
臨床ではこのポイントを外さないということが、繰り返しますが、大切なことであると思うのです。
ポイントが外れていたら、いくら時間をかけてもこれはダメだと思うのです
ですから、ポイントを外さずに治療をする、これが結局は治療期間の短縮につながり、また、患者さんの不快を早期に取り除くことになると思うのです。


■時には慣れた手法を捨て、常に上を目指す。 
 歯科治療も日進月歩で、新しい治療法や材料が次々と出てきます。ベースとなることは変わらないと思いますが、より精密に、より早くといった方向に進んでいるのではないかと思います。従来自分が行っていた方法で、充分良い結果が出ていても、より確実で効率的な方法が出てくれば、システムを大きく見直し 、従来の方法は捨てるぐらいの覚悟でいないといけない、と私は常に思っています。
 例えば私は以前恩師に、「マイクロルーペ(拡大鏡)を使って治療をすると良いよ」とアドバイスを受けました。「裸眼で充分だ、そんなものは格好つけだ」という考えで、「そんなもの必要ない、そこまでする必要はない」と考えればあっという間に時流に遅れをとってしまいます。事実最近の若い歯科医師(20歳代)は、マイクロルーペの導入に非常に柔軟です。(私が大学教育を受けた頃と教育内容も違うからとは思いますが)  
 実際に使ってみると当初は一日中顕微鏡をみているようで戸惑いますが、慣れてくるとこれは手放せません。より精密な作業が楽にできるようになるからです。
 これは一例ですが、慣れた手法を変えるということは、勇気とそして多くの努力がいります。ただ、それが患者さんのためになるものであれば、私は積極的に行動し、変えていきたいと考えています。


■「わかる」と「できる」は違う。 
 歯科という仕事は特に手先を使う仕事ですので、「わかる」と「できる」ということが、はっきりと結果となって現れる仕事であると思われます。頭でっかちでもダメ、器用だけでも ダメということになると思うのです。
 論文を読んで理論としてはわかっていても、セミナーに出席して講師の手技をみても、正直に言ってそれですぐにできるようになるわけではありません。「わかる」から「できる」 になるには、私は、一日も例外をつくることなく、日々の積み重ねを行っていくしかないと思っています。
 新しい技術は理論ではわかっていても手がついていかない。こんな時にはイメージトレーニングを繰り返し、頭の中でシュミレーションをし、今日治療に30分かかったのならば、 明日は25分で終えるように努力をし、もっと効率の良い器具がないか検討し、さらにスタッフの教育も行っていく、といった例外ない毎日の積み重ねしか「できる」になる 方法はないと思います。
 これによって「わかる」から「できる」となりさらには熟練技術へと昇華していくものと思っています。


■臨床のコツは沢山あるものではない。 
 私は常に自然の法則とは「シンプルである」と考えています。治療においても、複雑化した方法は一見高度には見えますが、エラーが生じやすいと思います。
 例えば10ある行程で、それぞれ1のエラーを生ずればトータルでは10のエラーを生じていることになります。しかし10ある行程を3にすれば、1のエラーが生じたとしてもトータル では3のエラーで済みます。
 一般社会で製造業などはいかに行程を少なくし、エラーを少なくするかという方向で考えるようですが、歯科の世界では、複雑化したものを良しとする傾向があるように思います。
 私は矯正治療でもインプラント治療でも、また普段日常的に行ういわゆるむし歯治療や歯の根っこの中の治療でも、いかにシンプルに行うかを考えて研究しています。
 例えばインプラントの埋入では皮質骨(固い骨です)に穴を開けるときに、専用のドリルの使用を大抵どこのメーカーのシステムでも勧めますが、私は絶対に用いません。インプラントの失敗の 一番の原因は、この皮質骨を穿孔するときに骨に火傷を起こすことにあるからです。メーカーのドリルでは火傷を起こすことがあります。ですからここは私のオリジナルの方法があります。 必ず成功する方法です。何も沢山のドリルをそろえてそのメーカーの指示通りに行わなくても臨床にはポイントがあります。これはいわゆる「コツ」というものです。
 矯正治療にもコツはありますし、インプラント治療にも、入れ歯治療にも、再生療法にも、どんな治療方法にもコツはあります。そしてコツというのは本当に知ってしまえば簡単なもので、 100も200もありません。せいぜい1分野で10か多くて20程度ではないでしょうか。聞けば簡単なものですが、これを自ら切り拓いていって体得するには非常に 多くの時間と困難を究めます。もしもコツをすぐに知りたいとすれば、それはコツを知っている人に聞くしかないわけです。
 私はベンツを買えと一日説得されても絶対に買わない自信はありますが(興味がないのですから)、治療方法の研究に対しての情報を得ることへの投資は一切惜しみません。 自分がある壁にぶつかったとき、教えを受けられる師との出会いがあれば、必ず教えを受けに行くでしょう。
 日本人は情報というものに対して無料と考えている人が多いですが、情報とは有料のものであると思います。まして価値ある情報というものを得るには多くの対価が必要です。
 例えば矯正治療を身につけたいと思い、万巻の書物を読んでも実際にできるようにはなりませんが、矯正治療をよく理解しているスペシャリストに手ほどきを受ければ別であることと一緒です。
 自分が必要としている情報を得るときに自己投資できるか否かが、歯科医師としての技術を一段引き上げていくのに、とても大切なことであると私は考えています。  


■私は全ての治療を自分でします。なぜならそれは・・・・ 
 ときどき患者さんからのお問い合わせの電話であるのが、「矯正治療は、ほかから先生が来てされるのですか」 というものです。当院では矯正治療もインプラント治療も、もちろんむし歯治療といった一般の歯科治療も、責任をもって全て院長の私が行います。代診の先生やアルバイトの先生は居ません。ですから、例えば矯正治療の装置が外れたりなどといったトラブルについても、即座に対応できます。
 私が勤務医のときに恩師である院長に言われた言葉は、「口の中の狭い範囲のことぐらい、オールマイティにこなせなくてどうする」 というものでした。特殊な癌の治療などはともかく、あらゆる患者さんのニーズに応えるには、全て自分でできなくていはいけない と私は思っております。
 口の中をひとつの単位としてとらえ、必要以上に細分化しないことが大切であると私は考えています。私ひとりで全ての 処置を行うので、一日で診療できる人数というのは限られます。完全予約制にしているのもそのためです。
 「田中(私のことです)に治療をして欲しい」という患者さんに、私は120%の力を注ぎたいと考えているからです。


■臨床とは実践である 
 臨床というものは、私は結果が全てであると思っています。
 それでは「臨床とは何か?」と問われれば、私は「臨床とは実践である」と答えます。
 臨床とは机上の空論であってはならないのです。
 自分の身体を治療する医師が、セミナーでいかに勉強をしようが、いかに沢山の学術書を読もうが、どんな立派な博士号を持っていようが、患者さんにとってはそんなことはどうでもいい、関係のない話です。
 患者さんにとって、最も大切なことは、実践で成功するか、自分の病気が治癒するかどうか、それだけであり、当然のことながら、これが一番大切なのです。
 そして実践で成功を重ねられる者のみが名医であると私は考えています。そして私は常にそれを目指しています。
 私は歯科医師となったからには名医を目指したいのです。


■抜歯をするから難しくなる 
 歯を悪くすることは、歯を失うことからはじまる。
 歯を失えばインプラントを入れようが、入れ歯を入れようが、歯が全てそろっている人より確実に残っている歯の寿命は短くなる。
 だから歯科治療の中で極力避けなくてはならない行為は、「抜歯」であると私は常々考えている。
 抜歯をするから簡単なケースが余計に難しいケースになると考えている。

 抜歯をするにあたって、親知らずや顎の骨の中にわずかに歯の根の先端が残っているケース以外で、抜きにくいから歯を分割して抜くとか、1時間もかけて抜くなどというのは、少しおかしいのではないかと思う。 そんなにしっかりと植立しているのならば抜かなくて良いのではないか、私はそのように考える。
 抜歯を行えば数学で例えれば、もともと単純な計算式であった問題が、複雑な応用問題になってしまうぐらいのことであると考えている。
 例えれば、割れた歯でもケースによっては接着して残せる時代だ。このようなケースで、割れた歯を抜歯してインプラントにするにしても、 一度残すことを試みて、数年後再びダメになってからインプラントをしても良いではないか。
 突然に抜歯を宣告される患者さんの気持ち、私はそれを察すると、いたたまれない気持ちになる。
 抜歯をするにしても患者さんに「もう充分使った歯です。抜歯して下さい。」という気持ちがなければ、抜歯などとてもできるものではない。
 自分の親や奥さんや子供がそのような立場になったらどうするか。すぐに抜歯するであろうか。
 私は絶対に、何としても歯を残そうと、まずは努力するであろう。
 身内にできないことを患者さんにできるわけがない。それが人の道であると思う。
 もちろんプロフェッショナルとしての見解は必要であるが、最新の治療ありきの前に、患者さんの気持ちありきである。

 私はいつもこのように考えて、毎日の診療を行っている。

■麻酔について
 無痛的に治療をするということで、何でもかんでも麻酔をするということは、いかがなものであろうか。
 麻酔をしなくても無痛的な治療が可能なことは多い。よって私の場合、一日の治療で一度も麻酔をしない日も多い。
 できれば麻酔などはしない方が良いにきまっている。麻酔をすれば不快な感じが残るし、食べにくくもなる。また、ショックを起こすリスクもある。
 麻酔をするのであれば、必要なときに、しっかりと効かせることができ、しかも痛くない麻酔でなければいけないと私は思っている。患者さんに針を刺したことを感じられるようではいけない。
 そのためには私は電動の注射器は使用していない。一見ハイテク機器のようにみえ、私も一時使ったことがあるが、麻酔薬を注入する微妙なサジ加減が調整できない。従って私は今でも昔ながらの手圧で用いる注射器を使用している。これが一番微妙なコントロールがし易く、患者さんに痛みを与えることなく麻酔をすることができる。
 また、私はむし歯治療では、麻酔をしてはいけないと考えている。それは必要以上に、深く削り過ぎるリスクがあるからである。
 特に症状が全くないのに、むし歯が歯の中の神経の近くまで進んでいるケースでは注意をしなくてはいけない。この様なケースで麻酔を打って治療をすると、治療後熱いものや冷たい物が冷みるようになってしまい、もともと痛みの無かったものを痛くしてしまうことが多い。
 麻酔を行うにあたっては「歯の中の神経を取り除くとき」、「抜歯をするとき」、「インプラントを埋入するとき」とで打ち方に工夫がいる。もちろん局所麻酔(浸潤麻酔)で充分である。これには解剖学、組織学を充分に理解していることが大切であり、なおかつ臨床における手技と併せて、理論的に理解をしていなくてはならない。
 「患者さんが酒を良く飲むから麻酔が効きにくい」などということは、理論的に考えて麻酔を行えば、有り得ないのである。


■私は患者さんとの予約時間を大切にしています。 
 私が特に治療にあたってこだわっていることが、「予約時間を守る」ということです。
 予約時間に合わせて来院されるため、患者さんにはそれこそ様々な努力を払って頂いていると思うのです。
 子供さんの受診をされる方であれば、子供さんの食事時間や寝る時間、兄弟、姉妹がおられればその子のこと、雨が降っていれば雨具を着せてと、それはそれは大変なことだと思います。
 お勤めの方であれば、ご自身の仕事の調整をつけて、学生の方であれば学業やクラブ活動の時間を調整してとなると思います。
 当院に来院される患者さんの中には、まず遅刻される方がおられません。ほとんどゼロといってもよいと思います。時間を大切にされる方が多く、また当院の方針もよく御理解頂いていることを感謝している次第なのです。
 患者さんの時間を大切にするためにも、そして密度の高い治療を行っていくためにも、私は「予約時間の厳守」ということを今後も守っていきたいと考えています。


■技術では越えられないものがある
 歯科医師をしていると、「1年に1回」ぐらい息をのむほどの素晴らしい出来映えの入れ歯に出会うことがある。
 たいていは「入れ歯が壊れたので新しくつくって欲しい」という要望で来院されるのであるが、それは見事である。
 口の中で20年近く身体と一体になって機能してきたわけであるから、汚れてはいるが、人工歯の磨耗の仕方、粘膜へのなじみ方、そして口の中での適度な遊びなど芸術品ともいえる。
 私はこの様な時、修理をして元通りに使えるようであれば、卒直に新しい入れ歯をつくることをお断りする。「この様な入れ歯を越えるものは私にはつくれません」と。「20年かけてつくられた芸術品です」と。
 そして元通り修理をして、また使って頂ければ良いと考えている。
 数十年の歴史を数回の治療で再現できないことは明白だからである。


■日々の治療の中で考察をしていく
日々診療を行って感じることは、「一人一人の患者さんへの治療の中で考察をしていくことが大切である」ということである。
決して流されるままの日々の診療であってはならないと考えている。常に新たな気付きを求めて五感を鋭敏にしていなくてはならない。
学会やセミナーに出席すると何だか知識や技術が向上したような感じがするが、私はほとんど錯覚であると思う。
「患者さんこそ我が師である」と私は常に思っている。
患者さんには一人一人個性があり、誰一人として以前経験した症例と全く一緒というものはない。
患者さんから教えられることは多い。
私も学会やセミナーに出席するが、町医者の役割として診療日は休まないことをモットーにしているので、出席できるものは限られてくる。であるから、余計に日々の治療の中で考察をすることが大切なのである。
そしてセミナーにはあくまでも自分の臨床の確認のために出席している。セミナーに出席して講師に質問したときに、「この質問は臨床に多く取り組んでいるドクターでないとできない質問ですね」といわれるような質問が出るレベルになって、はじめてセミナーも意味のあるものになってくると思う。
私にとって学会やセミナーは、日々の自分の臨床を確認し、時には補足し修正をする場所である。
「現場が最も大切なのである」という姿勢を臨床医は忘れてはならないと思っている。


■一生の仕事 
よく、自分の思った通りの仕事には、なかなか就けないものだといわれます。
ですから自分の希望した通りの仕事に就ければ、それは幸せなことであると思うのです。
歯科という職業は、技術力があれば、これほどやりがいのある仕事も無いと思っています。
また、技術力さえあれば、必ず努力が報われる世界であるとも思います。

何といっても、治療が終わった時に患者さんに喜ばれる瞬間は、本当に嬉しいものです。
歯科という分野は、医科に比べればずっと狭い分野を扱っていますが、案外に奥は深いのです。
考えれば考えるほどにアイデアが頭に浮かび、精度の向上や、治療期間の短縮といった工夫ができます。
正に趣味にできる仕事でもあると思うのです。
私は自分の一生の仕事にできる歯科という職業にめぐりあえたことを感謝しているのです。

■インプラント治療について思うこと その1 NEW!!
歯科界ではインプラントが画期的な治療方法であり、第2の永久歯などという言われ方をするが、果たしてそうであろうか。
私はインプラントなどは所詮、「天然歯を守ることができなかった歯科医師の敗戦処理の一方法に過ぎない」と考えている。
ときどき歯科の論文で、「これ以上歯周病が進行するとインプラントを植立するための骨が減るので、歯周病が進行して骨が減る前に抜歯した」などという奇妙な一文をみることがある。私はこのような文を読むと、いつから歯科医師は歯周病を治すという医療行為を放棄したのかと思ってしまう。
歯科医師の一番の使命は、「一生自分の歯で食べられるように国民の歯を守ること」であることは論を待たないところであろう。1%でも残せる可能性のある歯ならば、残せる可能性を信じて手を尽くすことが歯科医師の使命ではないだろうか。
歯を抜いてインプラントを売るような歯科医師になってはいけないと思う。

「正しい優先順位」というものが医療にはあると思う。「医療行為」を行わないのか、それとも行えないのか、何のためらいもなく歯を抜いてしまい、インプラントを入れるといった、行っていることは最も原始的な歯抜き師(香具師)や入れ歯師(職人)になってはいけないと思う。
私はいつも歯や口腔の「医療」を行えるprofessionalでありたいと思っている。