横須賀中央駅,横須賀市,若松町 泌尿器科 里見腎泌尿器科
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32.血尿に気づいたら。

稀に危ない時もありますが。

■先日32歳の女性が血尿で来院しました。3日前から尿が赤いのに気づき、職場の近くの病院でCT検査を行い異常はないということで様子を見ていたようです。その後血尿は更に濃くなり血液の固まりも混じるようになったので当院を受診しました。膀胱鏡を行い右腎から出血していることが分かりました。血液検査でかなりの貧血に陥っており、思いのほか大量の出血で輸血も必要なほどでした。Y病院に緊急で入院し、腎の動静脈瘻(奇形)という稀な病気と診断され、カテーテルを用いて止血され治癒しました。

■血尿に気付いた患者さんは、一瞬どきっとしてこのまま出血がとまらず命にかかわるのではないかと心配し、なかには夜中に救急病院へ駆け込む人もいます。実は非常に濃い血尿だと思えても、尿中の血液の量はせいぜい1〜2%、最高でも5%くらいなので1日50〜100mlの出血では直ちに命を脅かしません。救急車などは呼ばないで下さいという話を以前(当紙26号)書きました。しかしこのケースは例外でした。

■この様な極めて稀な病気を除き、血尿の大部分はそれほど緊急性はないのです。あなたの尿に血が混じっているのが分かったら次の様に考えてみて下さい。
1)痛み(排尿時の痛み)を伴う血尿は多くは感染症によるもので安心して対応して下さい。
女性の場合は大部分が急性膀胱炎、男性の場合は前立腺の感染(急性前立腺炎)が多く、発熱も伴い尿が急に出にくくなります。

2)痛みを伴う場合でも片側の背部(腎臓部)痛〜側腹痛を伴う血尿の場合は尿管結石を疑います。腎臓の超音波検査と一枚の腹部の単純レントゲン撮影でほぼ診断できます。(最近すぐCTを撮りたがる医者がいます。1回で15〜30msv(ミリシーベルト)の放射線をあびます。単純レントゲン撮影では0.1〜0.2msvです。横道にそれました)

3)痛みを伴わない場合、あなたが50歳以上の時は5〜20%の確率で腎、尿管、膀胱に悪性腫瘍のある可能性がありますので慎重に検査をすすめます。①尿の細胞診:classI〜Vまで分類され、IV、Vはがんの可能性大、classI、IIは正常で、IIIは可能性50%くらいです。ただclassI、IIでも時々癌があります。②静脈性腎盂撮影(IVP)で腎尿管を調べ③膀胱内視鏡検査で膀胱を調べ、④CTで腎実質の腫瘍、血管病変を調べます。

健康診断などで尿潜血陽性を言われた場合は2つに分けて考えます。1つの腎(腎は2個あります)に100万個ある糸球体という小器官から血液の液体成分が濾されて尿がつくられてきますが、この膜に異常があると赤血球も漏れて来ます。糸球体由来の赤血球は形が小さく変形しており、顕微鏡で比較的容易にわかります。蛋白尿も伴えば腎炎も疑いますが、高血圧、糖尿病、高尿酸血症などがあれば原疾患の治療が必要です。もう一つは正常の大きさの赤血球が出る時で、尿路の結石や腫瘍や血管病変から血管が切れて出血する血尿で、一視野(400倍顕微鏡で見られる各視野)に10個以上の赤血球が認められる場合は肉眼的血尿と同等と考え対応します。

■1回きりの血尿でその後何もないからと安心することは危険です。一度は泌尿器科を尋ねて下さい。50歳を過ぎた中高年のあなたのために。

2012.12
発行:里見腎泌尿器科・里見 佳昭



33.セカンドオピニオンの実例

1、前立腺がん患者さんの迷い
30歳代で本当に前立腺がんか?


 判断の難しい病気の際には、もう一人の専門医の意見を聞くということが当り前の世の中になってきつつあります。セカンド・オピニオン・ドクターを標榜して開業した私にとっては、これが本当に普及しているのであれば喜ばしいことと思ってます。今回どの様な患者さんが相談に来られているのか、2012年に来院された方の中から選んで紹介します。ちなみに1年間で11名で、内訳は前立腺がん5名、その疑い1名、腎がん2名、腎盂尿管移行部狭窄2名、前立腺肥大症1名でした。

Aさん。38歳、男性。
  東京在住の方で、ある病院で前立腺がんと診断され、この診断が正しいのか不安があり、紹介状(セカンドオピニオンの依頼状)と診断の根拠となった病理組織のプレパラートをたずさえて当院に相談に来ました。当院を選んだ理由は、「ゆうゆうひろば21号」に書いた同じ38歳の前立腺がん患者さんが実は癌でなかった話を、私のホームページで読んだからなのです。前立腺がんは、40歳代後半でもかなり珍しいのですが、30歳代は極めて稀なのです。しかしこの方のプレパラートを拝見(顕微鏡でみる)、病理に素人の私でも典型的な癌組織と思われました。前回と同様に早速、前立腺がんの病理医の日本の権威であるH先生に紹介状を書き、電話でご都合をきき、指定の日にプレパラートと共に患者自身が会いに行ってもらいました。即日見て下さり、やはり前立腺がんと診断され、本人も納得、すっきりした気分で前向きに治療に専念できると喜んでいました。実はこの方は、若いので勃起障害を避ける治療法(放射線療法かロボット手術)の選択が重要で、治療に関して更にセカンドオピニオンが必要かも知れません。今回偉かったのは、奥様がインターネットで検索したこと、勇気をもってセカンドオピニオンの紹介状を書いてもらったこと、そして自分の診断に自信をもって依頼状を書いた病院の主治医、多忙のところ、無料で全くの厚意で即日診断してくれたH先生、そしてちょっぴり、相談にのった私でした。

Bさん、63歳男性。
 群馬県高崎市在住の方でインターネットで当院を探し主治医に内緒で来院されました。2007年5月に前立腺がんが発見され、術前内分泌療法を行い前立腺を小さくしてから2008年1月に前立腺摘出手術をしています。腫瘍マーカーのPSAは初診時10.9ng/mlでしたが、ホルモン療法後は0.084まで下降し術直後は不明ですが2008年10月には1.38となり天皇陛下と同様がんが取りきれず残っていると考えられ、その後4年間内分泌療法を続け現在PSA0.01と低値におさえられています。今、内分泌療法も充分有効であるが、がんの悪性度が高いので(グリーソンスコア9)、放射線療法をしたいのだがどうだろうかという相談でした。悪性度が高い前立腺がんは一般的にホルモン療法の効果が短く5年くらいで再燃しますが、時に10年たっても効果が続いているケースがあり、一概には判断できません。この方は長期に効果がある可能性のあるケースかと思いますが、尿道と膀胱の吻合部への放射線照射はよい方法で(悪性度の高いがんには低いものより少し効果が悪いのですが)賛成しました。ただホルモン療法の効果がなくなったPSA0.4〜1.0くらいになってからでもよいのではというのが私の意見です。

2013.5
発行:里見腎泌尿器科・里見 佳昭



34.水分を大量に摂っても血液はサラサラになりません。

 あなたは「水分を十分摂れば血液がサラサラになり、脳梗塞や心筋梗塞が予防できる」という根拠のない風説をまだ信じているのですか。
今迄も何度も本紙に書いているのですが読んでいただいてないのか、私に信用がないのか一向に改善傾向が見られないのが残念です。そこで今回は第一面に取り上げこれでもかという、少し怒りも込めて書かせてもらいました。

■今年の夏も猛暑でした。朝からテレビのアナウンサーが十分な水分の補給を促していましたが、あれは脱水にならないようにと言っているので、脳梗塞の予防のためとは決して言っていません。ただ、脱水は脳梗塞の原因の1つになる可能性はあり注意しなければなりませんが、脱水状態にない人がさらに十分な水分を摂っても脳梗塞を予防しないことを知って下さい。脱水の心配の方には1日(24時間)の尿量測定をすすめます。大汗をかいたとき、発熱のとき、下痢が続いている時など以外は普通脱水になりません。その人の体重により尿の適量は違いますが、学会では25〜30ml/kgといわれています。50kgの人で1200〜1400ml、60kgの人では1400〜1700ml、70kgの人では1700〜2000mlの1日量あれば十分なのです。

■血液サラサラに関し次の様な学術論文があります。(興味のある方のために文献をお知らせします。Sugaya K:Change of blood viscosity and urinary frequency by high water intake Int J UroL14:470-472,2007.日本で発行している雑誌です。)はじめ予備実験で、ボランティア6人に1ℓの水を5分以内で飲水してもらい、1時間後、2時間後には3〜6%の血液粘稠度(サラサラ度)の減少を確認し、次に21人のボランティアに、連日2ℓ以上の飲水を1週間継続飲水し粘稠度を調べると、調査前と調査後の粘稠度に変化はないという結果でした。1日2ℓの水ではとてもサラサラにならないということです。しかし、予備実験で一時的に大量に飲めばわずか数%下がるようですから、どうしても飲水でサラサラにしたいのであれば、毎日5〜10ℓ飲めば少しサラサラの状態が続くかも知れません。

■厚労省の科学研究費でなされた「水を沢山飲むと脳梗塞を予防するか」という研究が5編ほどありますが、いずれも脳梗塞は予防しないという結論でした。水を飲んでも血液をサラサラにしないのですから当然の結果ですよね。

■先日1日12回の頻尿(正常は6〜7回以下)で来院した中年男性に、排尿記録をつけてもらいますと1日尿量4700mlで明らかに水分の摂りすぎによるものと判明しました。1日6ℓ以上の水分を摂らないとこの尿量は出ないのですが、本人はそんなに摂っていないと言い張ります。慢性の下痢症で脱水予防に少しは多く摂っているというのですが。水分を減らせば、下痢も改善するかも知れないのに、本人は今のままでいくと譲らず話し合いは決裂しました。

■ここまでお読みになってそれでも水分を大量に摂った方がよいと思っている血液サラサラ教の信者の方はどうぞご勝手にというだけです。水分摂取は患者さんの生活習慣で自由ですから。医者に言われても減らすことはないのです。夜中何回もトイレに行けばよいのですから。

2013.11
発行:里見腎泌尿器科・里見 佳昭



35.セカンド・オピニオン 自分の努力で、自分の命を救った患者さんの話

 今回はセカンドオピニオンを求めて来院された患者さんから多くのことを教えられましたので、本人の承諾の上ご紹介させていただきます。

■患者さんは78歳のお元気な横浜市在住の男性で、定年後地域でボランティア活動をされている方です。2年半前から赤い尿(肉眼的血尿)が時々見られ、今まで30回以上間欠的に続いていました。はじめ近くの泌尿器科の開業医を受診し検査をしました。原因がわからず、東京のA大学病院を紹介され6か月間通院検査を続け、ナットクラッカー症候群による腎盂からの出血と診断され、以後は元の泌尿器科開業医で様子をみてもらっていました。繰り返す血尿は患者さんを憂鬱にさせるもので、もうボランティア活動を辞めようと考えておられた様です。人づてにセカンドオピニオンをしている私を見つけ思い切って来院されました。とても78歳には見えない若々しい方で、原因をはっきりさせ治るものなら治してボランティアの現役を引退せず、好きな海外旅行も続けられたら(今まで82カ国も出かけられたそうです)という思いがありました。
 
■肉眼的血尿の20%に癌があるという統計があります。かなりの高率ですから一度でも血尿を見たら、癌の有無をとことん調べなければなりません。頻度順に膀胱癌、腎癌、腎盂癌、尿管癌などで、CT、IVP、膀胱鏡の検査でほぼ判明します。尿細胞診も診断の助けになります。 A大学病院の結論は癌ではなくナットクラッカー(nutcracker=クルミ割り器)症候群による腎性血尿ということで一応安心して生活されていたのかと思います。
 
■ナットクラッカー症候群とは:図の様に左腎静脈は心臓にもどる下大静脈に入るためには壁の厚い直径2cmくらいの腹部大動脈と腸を養う上腸間膜動脈の間を通らなければなりません。そのすき間が狭い場合は時にくるみ割り器にはさまれた様に圧迫され血液の通過が悪く静脈は拡張し腎盂粘膜に静脈瘤を形成し血尿の原因になります。


 
■相談された私の助言としては、尿管へ内視鏡(尿管鏡といいます)を挿入し出血部位を見つけ、 小さい静脈瘤の破裂であればレーザーで焼けば治るのでぜひやるようにいうことでした。この治療は10数年前からはじめられ現在では大きな病院では簡単にやっているのです。しかし本人の希望で日本で最初に始め沢山の例をもっている岡山大学まで横浜から6日間通いました。その検査の途中で偶然左腎盂癌が発見されたのです。血尿の原因はこれだったのです。ご自身の希望で東京のB大学病院の泌尿器科で左腎尿管摘出術を行いリンパ節に転移もなくきれいに取れたようで大変幸運でした。摘出した組織は悪性度が高く、直径2cmあり、いよいよ転移のはじまる頃でした。もう少しで手遅れとなるところだったのです。ご自身が積極的にセカンドオピニオンを求め、治療した結果でした。自分自身の命を救ったことで、天晴れでした。今後もボランティア活動を続け、海外旅行も100カ国をめざすそうです。頑張れ。

2014.5
発行:里見腎泌尿器科・里見 佳昭



36.性感染症(性病)は静かに広まっています−横須賀市の集計を紹介します−

 性病は自分には関係のない病気とお思いの方が多いかと思いますが、今、普通の人が気づかない内に保菌者となっているのです。性風俗の関係者よりむしろ一般の人のほうが多くなっています。
私達が住んでいる横須賀市の性感染症の現状をご紹介します。この集計は40年以上前より、横須賀市医師会の性感染症予防委員会が中心になり横須賀市保健所の協力で毎年集計され、報告されたものをもとにしております。集計に協力して下さる泌尿器科、婦人科、皮膚科医療機関は80%を超えています。(病院7、診療所42)

■性感染症とは性行為によって感染する病気で主に細菌やウイルスが原因です。古い歴史を持つ梅毒、淋病からはじまり最近(10数年前から)原因菌が見つかり暴発的に増えているクラミジアや、淋菌でもなくクラミジアでない同様の症状を出す第3の原因のマイコプラズマなど主に尿道に感染するもののほか、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ(いづれもウイルス)など性器を中心に病変の出現するものが大部分ですが、局所に全く症状が出ない血液感染症群のB型肝炎、C型肝炎、成人T細胞性白血病、エイズなども含め広義の性感染症といいます。勿論後者の4疾患は性行為での感染はわずかなのですが、稀に性行為による感染の危険性はあるのです。

■昔からの性病の代表の梅毒は、昭和52年には年間150例以上ありましたが、昭和57年頃から減少しはじめ、平成3年には年間10例以下となり、最近では3例内外となってきています。若い泌尿器科医は見たことがなく見逃す危険があります。(この病気の診断にかぎり、月に何例も診てきた私の方が優れています。)

■淋菌感染症(淋病)は梅毒と入れかわるように増加して来ており、昭和56〜58年頃は毎年180人以上見つかっています。平成4年頃には、エイズの危険が叫ばれ一時20人程度となりましたがのど元すぎればで平成10年台は120〜160人と増え少し減少しては増えたりを繰返し、昨年度も140人も集計されました。淋菌は性風俗の女性からの感染が多いといわれておりましたが、最近は普通の女性も多く感染しています。感染をしても女性は症状が出ていないからやっかいです。

■クラミジア感染症は淋菌性感染症を大きく(2〜3倍)超え性感染症のトップになっています。
クラミジア(微生物)が簡単に検査できるようになった平成11年頃からまだ15年きりたっていないのですが女性は男性のほぼ2倍で、男性100人以下なのに対し女性は200人を超えています。女性の感染は多くが症状を出さないため治療が遅くなり、不妊症になる危険をはらんでいます。(詳細は当紙3頁のまめ知識を読んで下さい)

■性器に少し痛みのある小さな水泡やびらん(潰瘍)ができるヘルペスは140名ほどで特に増減はありません。性器のイボ状の尖圭コンジローマは年内50例〜70例です。コンジローマはウイルス感染症で、中には陰茎癌や子宮癌の原因になるものもあり注意を要します。

■クラミジアや淋菌はのど(咽頭)にも感染します。クラミジア感染症をもっている女性の30%には咽頭にも感染しているという報告もあります。実際には多くの医者は咽頭まで検査をしていないので(健康保険が認められにくく)発見数は少ないのですが、明らかにのどが痛いという患者さんがいます。昨年は横須賀で11名が見つかっています。多くの耳鼻科医では調査していないと思いますが、かなり多くの患者がいる危険はありますので、ディープキスやオーラルセックスは要注意です。(詳細は当紙3頁まめ知識で)

■横須賀市の全性感染症の数は平成11年頃は900人、15年頃から800人台、17年から600人台に減りましたが、又24年から急激に増加し25年度には782人になっています。
以上が横須賀市における性感染症の実情です。横須賀市が他の地域に比較して多いのか少ないのか、残念ながら比較する資料がありません。

2014.11
発行:里見腎泌尿器科・里見 佳昭


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