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脳のしくみとてんかん

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認知症、うつ、不眠について

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診療の合間に−1

「母子保健奨励賞への感謝を込めて−私と母子保健−」
「股関節脱臼と赤ちゃんの向き癖について」

診療の合間に−2

「南方熊楠はてんかんであったか−扇谷明氏の論文から−」
「奥田英朗氏の著書にみるこころの病気」

診療の合間に−3

「てんかん診療と病診連携」
「開業医と発達相談」
「天地有情ー南木佳士のこと」

よくある質問

カゼの時は風呂に入ってはいけませんか?

 熱が37.5度くらいまでは汗を流したり、シャワーを浴びるくらいは差し支えないと言われています。風呂で長く遊ばせて湯冷めさせるのはよくないと思います。37.5度以上の場合も元気であれば、軽く汗を流して、着替えをしてゆっくり寝かせる(寝る)ほうが、気持ちがいいと思います。もちろん高熱の場合は論外です。タオルで汗をぬぐって、着替えをして寝かせてあげてください。

熱性けいれんはてんかんに移行しますか?

 熱性けいれんがてんかんに「移行」する要注意(危険)因子なるものがいくつか指摘されています。すなわち、基礎疾患(もともとの脳の病気)の存在、てんかんの家族歴、焦点性(部分性)けいれん、重積(けいれんが長く続くもの)、群発(1回のけいれんは短いが、分単位から時間単位で繰り返し何回も起こること)などです。
 しかしよく考えてみますと、もともとこれらの要注意因子そのものがてんかんを示唆するものです。てんかん発作が発熱時に誘発されただけではないのかという見解も成り立ちます。「移行」というと熱性けいれんがある時点でてんかんという別の病態に質的変化を遂げるという意味合いが強くなります。
 熱性けいれんにはもともといくつかの質的な差のある病態があり(「熱性けいれん症候群」なる用語も存在します)、一部は初発けいれんから既にてんかんであり、その発作が年齢とともに(すなわち脳の成熟とともに)より典型的な(てんかんとしての)態様を示すと考えるのが妥当ではないでしょうか。また、稀には幼児期に熱性けいれんの既往のある子どもに学齢期に小児欠神てんかんなどが出現することがあります。このような患者さんは「移行」というよりは、質的に異なる病態が年齢依存的に出現し、そこには何らかの素因が関与していると解釈できると思います。「移行」という言葉の使用には慎重さが要求されます。

けいれん性疾患があると予防接種はできないのでしょうか?

 1994年の予防接種法の改正以降、けいれん性疾患(主として、熱性けいれんとてんかん(良性乳児けいれんを含む))を有したり、既往のある小児への予防接種の垣根は低くなりました。つまり、特別な場合を除いて、予防接種を禁忌とするか、もしくは1年以上にわたって延期するようなけいれん性疾患はないといってよいでしょう。
 熱性けいれんは最終けいれんから2−3カ月経過すれば接種可能です。てんかんの場合は診断が確立し、てんかん診療担当医が許可すれば発作があっても接種可能です。しかし実際に接種する現場ではまだまだとまどいもあるのが実状です。接種基準を基に個別の症例などで、専門医と一般医が情報交換できる機会を多く持てるようにすることが必要でしょうし、保護者の皆様も遠慮なく医師や保健師に問い合わせてください。

熱性けいれんに対するジアゼパム坐剤(ダイアップ)の予防的投与について教えてください。

 熱性けいれんの再発予防にジアゼパム坐剤(ダイアップ)が有効であることは多くの研究から明らかです。
 臨床現場での問題は、1)投与のタイミング(毎日連続して体温を計測している訳ではないから37.5℃を越える場合といっても現実には投与時の体温はバラバラです。気が付くと38.5℃でけいれんを起こしていたり、39℃になっても平気であったり等々)、2)副作用への十分な理解をしておくこと(ふらつきや眠気、多動や興奮など)、3)投与が意識障害を修飾して重篤な疾患を見逃すことがあることに注意すること、などです。
 このような問題点を認識した上で、通常は過去に2回熱性けいれんがあれば、その後に37.5度以上の発熱があればダイアップを使うようにするといいと思います。なぜなら熱性けいれんを起こした子どもを調査しますと、5割以上の子どもは熱は何回も出しても、1回しか熱性けいれんを起こさないからです。
 ダイアップの使用量は体重が10〜15kgまでは4mgの坐薬、15〜25kgは6mgの坐薬、25kg以上は10mgというのがおおよその目安です。なお、ダイアップの代わりにジアゼパム経口薬のセルシンやホリゾンの同等量でも効果があります。大抵の熱性けいれんの子どもは5歳を境に熱を出してもけいれんは起こさなくなります。そしてダイアップも必要なくなります。

良性乳児けいれんについて教えてください。

 この疾患概念は1963年福山医師(元東京女子医大小児科教授)によって初めて報告されました。2歳未満の発症、無熱時の全身性強直間代性けいれん、群発傾向、精神運動発達および発作間歇期脳波は正常、発作予後も良好、などが特徴です。
 この概念は世界的にはあまり知られていなかったのですが、おそらくてんかんの一型として注目されずに扱われていたのでしょう。本邦では比較的多くみられます。全身性強直間代性けいれんについては、最近になって、発作時脳波の解析から、多くは焦点性(部分性)の発作であることが知られるようになりました。
 軽症下痢に伴う良性けいれん、乳児期の良性部分てんかん、良性乳児けいれんと突発性運動誘発性舞踏アテトーゼ(PKC)との関連など良性乳児けいれんをめぐる議論は本邦で多くの研究が行われています。
 40年を経て、今なおこの疾患概念が様々な形で研究対象になっていることを考えると、改めて福山医師の臨床医としての慧眼に敬意を表さずにはいられません。
 なお、この一群の病態には、ジアゼパム(ダイアップ、セルシンなど、坐薬、注射を含む)はあまり効果はなく、カルバマゼピン(テグレトールなど)の少量経口投与が著効することが最近知られるようになっています。

小児に対してインフルエンザワクチンの有効性はどのように評価されていますか?脳症を防ぐ効果はありますか?

(アステラスネットプレスより転載)
幼児のインフルエンザワクチンについては、その有効率が20〜30%であることを説明したうえで任意接種としてワクチン接種を推奨することが現段階で適切な方向であるといえます。幼児について一定の効果は見られますが、その有効性は十分に高いものではなく、すべての幼児に現行のワクチンを現行の方法で定期接種のようにすすめるべきほどのものではない、と考えられます。なお、乳児については現段階では、十分な評価はできていません。

インフルエンザワクチンによってインフルエンザ脳症発症阻止、あるいは脳症の重症化予防については不明ですが、「有効率20〜30%ではあるが、感染が減ずれば脳症発症の可能性のリスクも減じることはできるので、その分ワクチン接種の意義はある」と考えられます。