大木更一郎医師のご紹介

平成16年より大木皮膚科の診療を担当。日本医科大学講師。

ナローバンドUVB

乾癬、白斑、アトピー、円形脱毛症などに有効な新しい紫外線療法。平成24〜エキシマライトも導入

皮膚科疾患のご説明 1

湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、乾癬、掌蹠膿疱症などに関して

皮膚科疾患のご説明 2

水虫、ニキビ、いぼ・水いぼ、ヘルペス、帯状疱疹、やけど 、魚の目 、皮膚良性腫瘍に関して

皮膚科疾患のご説明 3

巻き爪治療、プロペシア、白斑、肝斑、円形脱毛症、皮膚悪性腫瘍、漢方治療などに関して

ステロイド外用剤について

ステロイド外用剤に関する良くある質問と注意すべき副作用について

良くある質問

・アトピー性皮膚炎の原因,治療
・水虫治療のポイント
・いぼ治療の実際
・粉瘤などの局所麻酔手術 

ステロイド外用剤について

当院におけるステロイド外用剤のご説明

“ステロイドって、怖い薬なんですか?・・出来れば、使いたいないんです“という患者さんが未だにいらっしゃいます。2014年現在、インターネットなどでステロイド外用剤について調べても、その作用・副作用について正しい情報が出てくることが多いですが、90年代のマスコミによるステロイドパッシングを知っている方にとってはステロイド外用剤は抵抗があるのかも知れません。

※当院では基本的にステロイド外用剤を使うようお勧めしますが、診察時間内でお話しきれないステロイド外用剤の説明内容をまとめてみましたので、ご参考にされてください。ステロイド外用剤を安全かつ効果的に用いるためには、その特性を理解して適正使用量を守り正しく使っていくことが何よりも大切です。

ステロイド外用剤ってなんですか?

 ステロイド外用剤って長い間悪者扱いされてきましたが、ほんとは局所のアレルギー反応を強力に抑えこんでくれるとても頼もしい味方です。ただ、使い方を誤ってしまうと諸刃の剣となる可能性もあり、その副作用もしっかり理解する必要があります。

◆ステロイド外用剤の基礎知識◆
 ステロイド外用剤には下記のように強さのランクが5段階あり、部位・皮疹の重症度に合わせて使い分ける必要があります。

  Strongest    ;最強      デルモベート、ダイアコートなど
  Very strong ;より強い    アンテベート、マイザーなど
  Strong   ;強い      リンデロンV、ボアラなど (⇒体に使う普通の強さ)
  Mild(Midium);穏やか     リドメックス、ロコイドなど
  Week    ;弱い     (現在、単剤では存在しない!)

 以上のようになっておりますが、普通に体に使われるリンデロンVクラスのステロイドがStrong(強い)という表記になっているので注意が必要です。

◆ステロイド外用剤の強さについて◆
 ステロイド外用剤はからだの部位によって吸収率に違いがあり、通常は体(首より下)に使うお薬はStrongクラス(中くらいの強さ)のお薬となり、少し炎症の強い湿疹ですとVery strongクラス(やや強い)のものを使うことが多くなります。Strongestクラス(最強)は、非常に強いため副作用も出やすく、非常に炎症の強い湿疹に限って、期間を限定して使うべきでしょう。

 注意点としては、顔面・陰部では血流が良くステロイドの吸収率が高いため、通常はStrongより1ランク弱いMildクラス(穏やか)の外用剤を使い、余程皮疹がひどい時には短期間Strongクラスも使います。顔面のおおよその範囲は、下顎(男性で髭が生える部分)より上、前髪より下、耳より前とご説明しています。

 お子さんにおいては、一般的に大人の場合より皮膚が薄くステロイドの吸収が良いとされておりますので、体に対してはMildクラス、顔に対してはWeekクラスと大人より1段階強さを落とすのが理想です。しかしWeekクラスの単剤ステロイドは現在作られていないためMildクラスのものを間歇的に使用するか、薄めて使われることが多いようです。
当院ではweekクラスの配合剤を中心に小児湿疹の治療をしております。

ステロイド外用剤の主な作用・副作用

 ステロイド外用剤は局所のアレルギー症状を強力に押さえ込むことが主たる作用であり湿疹治療に対して非常に有効なお薬ですが、注意すべき副作用が2つあります。

◆皮膚の菲薄化・毛細血管拡張
 ステロイドはアレルギーを抑える代わりに皮膚の細胞増生も押さえてしまう働きがあります。適切な強さ・量・使用目的の範囲内で使っていれば問題ないのですが、必要以上に強いものを長期に使っていると皮膚細胞の増殖が抑制されて皮膚が薄くなってきます。また、皮膚が薄くなるため皮下血管が透過され毛細血管が浮き上がってみえるようになります。これらの症状は顔面では頬部、体では前胸部、肘部、指先などで生じやすく、長期にステロイドを使う場合にはこれらの部位に着目して副作用がでていないかチェックすると良いでしょう。

※問題点は薬の能書書きや日本皮膚科学会でステロイドの安全な使用範囲・使用量に対する決まりが明確に決められていないことです。実際、どのくらいの量で皮膚菲薄化が起こるかは個人差があり明らかな基準がはっきりと決めにくいのかも知れませんね。当院では通常は顔面でmildクラスを月に5gまで、首から下の体ではstrongクラスを月に30〜50g程度までが皮膚の菲薄化を起こさない適正な使用範囲と考えております。

◆にきび、ヘルペス、カンジダなど感染症に弱い
 ステロイド外用剤はアレルギーを抑えるとともに、皮膚表面の免疫系の働きも抑えてしまいます。この副作用は免疫抑制剤であるプロトピック軟膏にも同様に見られます。顔面は皮脂腺も多く、毛穴が化膿しやすい体質の方もいます。顔の赤みの全てがアレルギーが原因とは限らず、症状により薬を使い分ける必要があるでしょう。また、ヘルペス感染症や乳児のカンジダ症などに誤ってステロイドを塗ると免疫が抑え込まれるため症状が悪化する恐れがあります。

 ステロイド外用剤には他にも様々な副作用が報告されていますが、上記2つに比べると重篤なものは少なく、また頻度も稀であるようです。注意すべきは上の2点であり、長期に使うと効果が減弱する、皮膚に蓄積する、副腎が抑制され骨が弱くなる、などということはステロイド外用剤では通常起こりえません。

※その他の副作用(例);創傷治癒遅延、紫斑、多毛など

ステロイド外用剤Q&A;副作用のうそ、ホント? 

 ステロイド外用剤とはもともと内服や注射用として開発されたステロイドを全身的な副作用を軽減して局所にしっかり効果を出すために開発されたという経緯があります。良くある誤解はステロイド内服薬の副作用(全身的な副作用)との混同です。

◆ステロイドを一度使うとやめれらなくなる△、ステロイド依存症になる×
 ステロイドの役目はあくまでアレルギー性の炎症を抑えるだけであり病気そのものを治してしまうわけではありません。しかし、かぶれや急性の湿疹などステロイド外用剤を使って症状を抑えこんでいると1〜2週間程度で治ってしまう病気もたくさんあります。   
 一方、皮膚科ではアトピー、痒疹、尋常性乾癬など長くステロイド外用剤を使わざるを得ない慢性的な皮膚疾患が数多くあります。ある一定量(strongクラスで月300g以上)を超えなければ全身的副作用は出ないとされていますが、局所的な副作用が出ていないかは、かかりつけの皮膚科で使っている量・強さに問題ないかを時々チェックをしてもらうと良いでしょう。アトピー性皮膚炎治療においては、ステロイド外用剤を完全に止めることが目的ではなく、ある一定量以内で症状をコントロールして快適に日常生活を送れるようになることがステロイド治療の目標とも考えられています。
 よく脱ステロイドのサイトに書いてあるようなステロイド依存症・ステロイド依存性皮膚といったものはなく、だんだん利かなくなってしまうこともありません。もし、効果が薄れてしまうならステロイド外用剤の一番大きな副作用である皮膚が薄くなることはありませんから・・

◆ステロイド外用剤を中止するとリバウンドがある×〜△
 通常はステロイド外用剤を使っていてリバウンドを起こすことはありません。炎症の強い皮疹や慢性化した皮膚病変では、ステロイド外用剤を使って炎症が多少収まり痒みが退いた後もかさかさ、ぷつぷつしている間は皮膚に炎症が残り続けています。この時点でいきなりステロイド外用剤を止めるとちょっとした刺激、汗などで痒みが再燃してしまいますがこれはリバウンドとは言いません。
 また日頃の治療が不十分で皮膚の苔癬化病変が高度、皮疹のコントロールが悪い場合には、多少の体調の変化やストレスなどで急に状態が悪化してしまうことがあります。この場合は少量のステロイドを使っても効果が不充分で必要十分量のステロイド外用剤を使っていく必要があります。この場合もリバウドという言葉は使いません。
 一方、顔面などでステロイドが一部合わない方がいるようです。そのような方にステロイドを長期に使っていると治まる(もしくは使っているとかえって悪化する)が、ステロイドを突然やめてしまうとさらに悪化することがあります。この様なリバウンド現象は普通の体質の方、もしくは首から下の体ではめったに起きることはありません。かつて取り沙汰された脱ステロイド派の書籍などをみてみるとステロイドの副作用が起きた、リバウドが起こったとされる部位は9割が顔であるとされています。
 顔面は血流がよくステロイドの吸収が良いだけでなく皮脂腺が多く吹き出物など化膿もおきやすい部位なことも関係していると思われます。これはステロイド外用剤が悪いのではなく、合わない体質の方に症状を見極めずにステロイドを使ってしまった為と考えられます。ステロイドの作用・副作用をしっかり理解して使えばこのような事は起こらないわけですから、一方的に悪者にされてしまったストロイド外用剤が被害者であるとも言えます。

※医学的にみるとステロイド皮膚症、口囲皮膚炎と呼ばれますが、はっきりした原因が分かってないとされています。明らかな統計はありませんが、日々患者さんを拝見しているとアトピーや赤ら顔の方の約1割程度でそのような素因を持った方がいるようです。

◆ステロイド外用剤を使うと骨がぼろぼろになる×
 内服や注射ステロイドを長期に使っていると骨がもろくなる、皮膚が薄くなる、正常な副腎機能が抑制されるなどの全身的副作用が出てきます。ステロイド外用剤はもともとステロイドの全身的副作用を減らし、局所の皮膚にしっかり効果が出るように工夫されてできたものです。最強クラスであるデルモベートで1日5g(月に150g)、strongクラス(中くらいの強さ)で月に300gというかなり多い量を使わなければ全身的な副作用はでることはなく、吸収されるステロイドも極微量なので副腎機能の抑制や骨がぼろぼろなる、成長障害などを起こすことはありません。

◆ステロイド外用剤を使用すると皮膚の色が黒くなってしまう。×
 よく患者さんからステロイド外用剤を使っていると色が黒くなるのではという質問があります。皮膚の炎症が酷かったり慢性化した部位にステロイド外用剤をしっかり使っていくと炎症・赤み・痒みがおさまり治ってくる課程で必ず皮膚は黒ずんでカサカサしてくるので、これを副作用と勘違いしてステロイド外用をやめてしまう方がいます。痒みが止まってカサカサして黒ずんでいる場合は、まだ治る途中であり皮膚の中に炎症がくすぶっていますので、いきなりステロイド外用剤の塗布をやめずに1日1,2回と外用を続ける必要があります。
 炎症がくすぶっているときにある黒ずみはステロイド外用を継続していくと段々に薄れて普通の柔らかい皮膚に戻っていきます。ステロイドを継続してどんどん色が付いてしまうことは通常ありません。余りに炎症が強いと皮膚に傷跡を残したり炎症後色素沈着・色素脱失という形で残ってしまうこともありますが、これはステロイド塗布とは無関係に起こる現象です。よくある間違ったステロイドの使い方は、2,3日〜1週くらい塗って急に止めてしまうことであり、炎症がまだ残っているのに塗布を中断してしまう方もあり注意が必要と思われます。

◆ステロイド外用剤は皮膚に蓄積する×、酸化ステロイドが沈着する×
 ステロイド外用剤が皮膚に沈着することはありません。一部の脱ステロイドを唱える医師たちが自分たちの正当性を理論武装するために作った根拠のない仮説であると考えられます。アトピ−性皮膚炎などで皮疹が慢性化して硬くなったりぶつぶつする状態、もしくは症状が寛解したあとにもぶつぶつが残ってしまう様子をみて、そのように考えたのかもしれません。
 ステロイド外用剤は皮膚に塗布したのちに1〜2時間すると、その8割程度が皮膚に吸収され効果を現し、種類にも寄りますが2,3日掛けて皮膚から血液中などに徐々に移行して消失すると考えられています。ステロイド外用剤は症状が寛解したあとも週2,3回程度塗布を行うだけでも新たな湿疹を抑制する効果があることが分かっています(プロアクティブ療法)が、塗布後1〜2日間は効果が少しずつ持続するからなんですね。
 もしステロイドが皮膚に沈着するのであれば、もっと塗布の間隔をあけても効果があるはずですが実際はあまり外用をサボってしまうとまた、ぶつぶつや痒みが出てきてしまいます。余程皮疹が落ち着いても週2,3回程度はステロイドを使ってしないと悪くなるのは当然なんですね。

◆妊娠中や授乳中にステロイド外用剤を使っても問題ありませんか?〇
 妊婦さんが病院にかかるときまず心配されるのがお薬を使って大丈夫なのかということです。一般的にステロイド外用剤は皮膚から吸収される量は極少量であり、ご自身の副腎からでる内因性のステロイドに比べても、はるかに少ないため胎児や母乳に対する影響はほぼ無いと考えられています。逆にステロイドを使わずに皮疹が悪化して痒みがでた場合に起こる不眠やストレスの方がかえって悪影響が心配されます。
 しかしながら、妊娠3,4ヶ月までの器官形成期までを過ぎるまでは内服薬はなるべく避けた方が良いと考えられています。皮膚科では痒み止め(抗アレルギー剤)がよく処方されますが、内服を用いるよりもまず、ステロイド外用剤を用いた方が安全性が高いと考えられます。
※いくつかの抗アレルギー剤は海外の基準では妊娠中につかっても比較的安全であるとされています。

◆目の周りに使うと白内障になる×
 眼瞼(まぶた)の皮膚は体の中でも最も薄く、また涙の塩分、目やに、髪の毛の刺激などによって痒くなりやすく、湿疹も慢性化する傾向にあり治りにくい部位の一つです。よく目の周りは軟膏が目に入るから眼軟膏の方が良いと指導する医師や薬局さんがあるようですが、眼軟膏は一緒に入っている抗菌成分でかぶれやすいことが分かっており、当院ではあまりお勧めしていません。
 大人の方であれば、通常のmildクラスのものを目の縁ぎりぎりまで塗って問題ありません。眼軟膏と普通の皮膚に使う軟膏の違いは、基剤に純度の高いワセリン(プロペト)を使っているかと、製造工程の最後に加熱滅菌をしているかの2点とされています。あえて皮膚の軟膏を目に入れるようなことをしなければ問題は起こしません。
 薬の能書書きには、白内障などの合併症も記載されていますが、重症のアトピー性皮膚炎の患者さんでは以前から白内障が生じることが知られております。ステロイド外用剤が広く使われるようになってからもその発生率の変化はなく、現在では目を擦ったり叩いたりすること、皮膚自体の炎症が悪化することが白内障の原因と考えられています。

当院では・・・

 当院では、ステロイド外用剤は正しい知識を持って適正使用量を守って使えば、決して怖くないお薬であると考えております。ステロイド外用剤につき疑問があったり、ご不安を持つ方には、その作用・副作用つき御説明させていただき、場合によりパンフレットなどもお渡ししております。
 しかし、最近でも知人に聞いたりインターネット情報を鵜呑みにしてステロイド外用剤を忌避もしくは拒否される方が時々来院される場合があります。一般的に体質改善や悪化因子の除去のみではアトピー性皮膚炎をコントロールすることは非常に困難です。残念ですがそのような場合には当院では全くお力になることはできませんのでご了承のほどお願い申し上げます。

 ステロイド外用剤が皆様の治療のお役に立ち、健やかな皮膚の回復をお手伝いさせていただければと願っております。

※続編として、ステロイド外用剤の使い方、プロトピック軟膏、脱ステロイド・ステロイドパッシングなどにつき新しいホームページに順次掲載予定です。
※ステロイド外用剤については新しいホームページステロイド外用剤の作用と副作用もご参考にされてください。