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先天異常外来

【どんな先天異常が対象ですか?】
 一番多いのは手足の指の異常です。余分にあったり(多指症)くっついていたり(合指症)が最も良くみられます。大きかったり(巨指症)足りなかったり(欠指症)もたまにあります。次が、顔の披裂でその多くは口唇裂(昔はみつくちとか兎唇といった)口蓋裂、稀に顔面裂(鼻裂や巨口症も含む)です。そして、耳が小さい小耳症もたまに来られます。普通は片側ですが稀に両側性もあり、アゴの発育が悪い場合もあります。
 そのほかには、胸の真ん中が凹んでいる漏斗胸、片側の胸の発育が悪い「ポーランド症候群」もあります。乳頭が多い副乳、おへそが出ている臍ヘルニア、外性器の異常(亀頭の出ない真性包茎など)、四肢の絞扼輪(輪ゴムで締めているような)もあります。なお、顔面と手足の異常は、全身的な先天異常の一部であることもありますから、脳、心臓、消化管の方も小児科の先生によく診察して貰って下さい。

【手術はいつ行いますか?】
 生命に関らない異常は、全身麻酔が比較的安全にかけられる年齢まで待機して頂きます。また、機能的発育(ことばや歩行など)との兼ね合いで時期を決めることも大切です。
 以下に、大体の目安を示します。口唇裂:3ヶ月、口蓋裂:1〜1.5歳、多指(趾)症:1=2歳、合指症:1.5〜2歳、小耳症:6〜8歳。そのほかの先天異常は個々の状態によって異なります。

【専門のチームはありますか?】
 口蓋裂の場合は、手術までの期間哺乳床を作り装着して貰います。出生後、なるべく早くに小児歯科のチームに依頼するか来て頂きます。口唇裂、口蓋裂の手術後、言語訓練を船山美奈子先生(東京大学出身)にお願いしています。
  また、歯科矯正については東京歯科大学水道橋病院の谷田部賢一院長のチームとタイアップしています。口蓋裂児には浸出性中耳炎が合併することが多いので、当院の八木聰明耳鼻咽喉科教授のチームにお願いします。さらに、手術の傷跡を気にしなくて良いように、大きくなったらメイクアップセラピーをかづきれいこ先生のチームに習って頂くこともできます。また、小児期の手術時の管理は坂本篤裕教授はじめ専門の麻酔科医がついてくれますし、成長が正常かどうかなどについては小児科の福永慶隆小児科教授のチームが慎重に見守ってくれますので、何もご心配はいりません。

【口唇裂の手術はどういう方法でしますか?】
 当科の百束比古教授が30年かけて改良してきた方法で行います。それは、ミラード法、テニソン・ランダル法、スクーグ法という有名な3つの方法に、独自の改良を加えた方法です。図示すると以下のようになります。ここに示したのは不完全口唇裂の例です。鼻の奥まで割れている完全口唇裂でも、デザインは同じです。ただ、鼻の奥の土台の形成をしっかり行い、鼻の形も治しています。鼻の軟骨と皮膚はほとんどはがしません。



不全型口唇裂手術前 手術後5年

完全型口唇裂手術前 手術後3年

【口蓋裂はどのような方法で手術しますか?】
 前の方の硬い骨の部分から割れている場合と、後ろの骨の内部文だけが割れている場合とでは、手術の方法も違ってきます。しかし、大切なことは口蓋垂(のどちんこ)をきちんとつくって口蓋の縦方向の距離をしっかりと伸ばすことです。時に、前の方に穴が残って鼻から食べ物が出てくることがありますが、時期を見て閉鎖しますので、さほどご心配はいりません。

軟口蓋裂の手術前
(ファロー法のデザイン)
手術後
(穴がふさがっている)

【小耳症はどういう方法で手術しますか?】
 肋軟骨という肋骨と胸骨を連結している軟骨を3本位採取して、耳の形に組み立てて耳を創るところの皮膚の下に一旦埋め込みます。3ヶ月くらい経ってからこれを起こして耳の形が完成します。軟骨を埋め込むところに予めエクスパンダー(皮膚伸展器)を入れて皮膚を伸ばすこともありますが、現在ではあまりやりません。


手術前

肋軟骨を組み合わせてつくった耳フレーム

術後2年

肋軟骨を採取した部位はほとんど目立たない

【先天異常の子供を育てるにあたって注意点は何かありますか?】
 ご家族の理解と協力が一番です。先天異常のお子さんが生まれるには、お母さんが妊娠初期に放射線を浴びてないか、催奇形性のある薬剤を飲まなかったか等、一応伺っていますが、原因不明のことがほとんどです。遺伝性についても、確かにある種の先天異常は遺伝に関係があるらしいとはいわれますが、次のお子さんも同じと言うことはまずありません。昔は地域によっては先天異常に対して差別もあったようですが、今はその子の個性の一つくらいに受け取って、余り隠さずに育てる方が良いようです。人間とは公平にできているもので、先天異常のお子さんほど何か人に秀でた才能を発揮するようです。勉強にせよ、運動にせよ、そんな子を随分見てきました。明るい子に育てるよう環境を創るのが保護者の務めであると思いますし、私たちからも是非そうお願いします。(百束比古)

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美容外科後遺症外来

【どんな病気が対象ですか?】
 美容外科手術の結果が満足されなかったり、使用された異物がしこりを作ったりして、治療できないかというようなご相談に応じます。しかし、美容外科というのは主観的なものですので、結果に不満を遺されても医学的にはそれ以上治しようがない場合もありますから、明らかに左右のバランスが悪いとか、考えられないところに傷跡が目立っているといったような場合に限って、治療の対象になることをあらかじめご承知おきください。
 顔面や乳房に、何らかの異物を入れられた場合は、それが残って硬くなったり、皮膚を突き破って体外に出そうな場合は検査ならびに治療の対象になります。また、自分の脂肪を注射された場合は、顔面などに少量された場合は通常問題はありませんが、乳房などに大量に注入された場合は、しばしばしこりとなってレントゲン検査などでも乳がんとの区別がつきにくくなりますので、詳しく診察した上で部分的に組織をとって精密検査をすることがあります。

【どんな後遺症があるのでしょうか?】
1. 手術によるもの
 (1)しわとり手術の傷跡が目立つ、もみ上げがなくなった、耳の形がかわった。
 (2)重瞼術の後、左右の線が違う・角膜炎を繰り返す。
 (3)隆鼻術の後、入れた固形プロテーゼが炎症を起こし一部が出そうになっている。
 (4)レーザー治療のあと、ケロイドのような傷跡が残ってしまった。
 (5)陥没乳頭の手術後、また戻ってしまった。
 (6)腋臭の手術のあと醜い傷跡やしこりが残ってしまった。

2. 異物によるもの
1) 顔面
 鼻やアゴに入れる固形のシリコンなどでできているプロテーゼなら、比較的安全で皮膚が赤くなったりした場合のみ、取り出す必要が生じることもあります。しかし、注入された異物がしこりや変形をもたらした場合、治療はやっかいで何もできないこともあります。
 異物には吸収性のもの(コラーゲンやヒアルロン酸)と非吸収性のもの(ポリアクリラマイドや混合性のもの)があります。しかし、吸収性といっても入れ方を間違えるとしこりになったり、血管に入ってしまい視力に障害が遺ったり鼻の一部が腐ってしまうこともごくまれですがあります。非吸収性のものは心ある医師であれば注入することはないと思いますが、様々なものが出回っているので、業者のいうがままに安全性を信じて使用される医師もいるようです。
 もっと怖いのは、日本国の医師免許を持っていないと思われる方に、若干の廉価で注入される場合です。このような行為は医療行為ですので、必ず信頼できる日本の医師免許を持っている医師に、事前に十分な説明を受けてから決断してほしいものです。

2) 乳房 
 いわゆる豊胸手術の術後トラブルは、1960年代から1970年代に社会問題になるほど蔓延しました。これは当時、ワセリン、パラフィンといった炭化水素系物質や、シリコン液。油・ジェルを注射で入れていたからです。その結果岩のような硬いしこりを作ったり、全身に流動してヒト・アジュバント病(この病気の存否には諸説がある)という免疫に異常を来す疾患にかかり、死亡する女性まで現れたからです。しかし、1980年代からはシリコンバッグプロテーゼと言って、シリコンゴムのバッグにシリコンジェルを封入した製品が流通し、バッグが破裂したり溶けたりしない限り、前ほどひどい後遺症はなくなりました。しかし、バッグの寿命は永久ではありませんので、定期的に検査をして問題があれば取り換えたり、抜きとったりしなくてはなりません。
 1990年代に入って、アメリカのFDA(日本の厚生労働省)の勧告により、シリコンバッグでも容易に破壊したりして、しこりをつくったり、免疫に異常を来すこともありうるので、シリコンバッグは生産できなくなり、生産していた会社は、問題があった患者さんへの保証で倒産したほどです。その後、生理食塩水を満たしたバッグが主流になりました。しかし、欧米では、依然としてシリコンバッグは使用され、さらにハイドロジェルという水分主体の物質(非吸収性)をバッグに封入した製品も出回り、多く使われました。2000年以後は、コヒーシブシリコンというあまり流動性のないジェルをバッグに封入した製品が開発され、日本でも使用されています。アメリカのFDAでは、これを乳癌手術後の乳房再建に限って使用承認するといった動きもあります。しかし、これらの新しく開発されたプロテーゼにしたところで、体内に大きな異物を入れるのですから、絶対安全とは言えないはずです。実際、バッグが破れたりしぼんで、しこりや違和感に悩まれ、受診する方もまれとはいえません。
 最近、ハイドロジェルやシリコン液と思われる物質を注入されて来られる患者さんが増えています。しかも、日本以外のアジア諸国や、日本のアンダーグラウンドと思しき場所で受けられるようです。注射する人は多くはどうも医師ではないようです。今はやりの美容海外ツアーなどで、異物を注入されることには呉々も気を付けて下さい。異物による豊胸術後の後遺症には、局所の痛み、しびれ、発赤、変形、しこりなどがあります。全身的な後遺症には、微熱が続く、だるい、発疹が出る、関節が痛む、など種々あります。中にはうつ状態に悩まれる方もおられます。

3.脂肪注入によるもの
 自分の脂肪をまた体内に入れるということは、いくつもの問題があります。まず、小指の頭ほどの脂肪でしたら、顔の凹みに注射で分散して入れる方法があります。このくらいの脂肪でしたら体内に入れても生着(血管が入り込んで再び自分のものになる)するでしょう。しかし、乳房を大きくする程の量の脂肪はどんなに細かく分散して入れても、その全てが生着するとは思えません。それでは、生着しなかった脂肪はどうなるのでしょう。どろどろになってその周りに硬いカプセルができ、要するにパラフィンやワセリンの注入でできるしこりと同じようになります。すると、乳癌との区別が難しいので、早期発見できないかもしれません。
 心と知識のある形成外科医・美容外科医であれば、そのような豊胸術は、患者さんと術前にリスクとアフターケアについて、十分なインフォームドコンセントを交わさない限りはやらないと思います。

4. 精神的な後遺症
 美容外科手術を受ける方には、大きく分けて3通りの方がおられると思います。1つの場合は、本当に手術を受けないとならないような場合。たとえば、生まれつきまぶたがひとえで厚ぼったく、大きな目があけられない方。周りの人にも迷惑なくらいワキガが強くて困っている方、ダイエットの結果皮膚があちこち垂れ下がって邪魔になっている場合、年取ってシワやシミを更新したい場合などです。
 もう1つの場合は、仕事上容姿が重要な場合。たとえばモデルや俳優の方がいつまでも顔や体型を保つために、手術が必要になる場合などです。
 第3に、客観的にはさして問題がないにもかかわらず、ご本人の主観が美容外科手術を望む場合です。このような方には精神的な問題を抱えておられる方も少なくありません。
 キャリアのある医師であればこのような方には手術はしませんが、経験の浅い美容外科医ですと、うっかり手術してしまうことがあります。そうすると、患者さんの悩みは前よりひどくなることがあります。ここに示した3番目の例で、精神的なカウンセリングを受けて頂いた方がよいこともあります。また、1番目や2番目の方でも、結果が思うようでないと精神的に後遺症を残される場合があります。そういうことがないように、手術を受けられる場合は事前に執刀される医師の説明とアフターケアについて良く聞いておいて下さい。

【どんな検査をするのですか?】
 手術で治す場合は、方法を十分に検討し、説明と同意(インフォームドコンセント)をきちんと取り交わした上で手術日を決定し、手術前の検査(局所麻酔の手術であれば採血だけ、全身麻酔の手術であればさらに心電図やレントゲン撮影など)を行います。手術日が先であれば検査も日を改めてさせて頂きます。
 体内異物の後遺症で来診された場合は、詳しい病歴を伺った上で免疫系に異常がないかの血液検査、レントゲン撮影、場合によってはCTやMRIの予約を致します。乳癌との区別が付かない場合、超音波検査やPET検査をして頂く場合もあります。
  治療はケースバイケースですが、入っている異物は破損していないバッグプロテーゼでない限り、完全に取り出すことはできません。物質の成分に疑問がある場合は、一部を取って化学分析にかけることもあります。

【できれば守っていただきたいこと】
 原因となる治療をされた先生に、紹介状か診療情報を書いて貰ってきて下さい。もう二度と前の先生の顔を見たくないとか、行っても無下にされたという場合は仕方がないので、こちらから情報提供のお願いを直接することもありますので、正直にお話下さい。

【美容外科後遺症に対する手術の専門は何ですか?】
1 眼瞼下垂、下まぶたのたるみとり、顔面の傷跡修正、唇裂手術後変形(鼻の変形を含む)など。
2 耳のピアス後ケロイド、体の傷跡やケロイドなど。
3 ワキガや腋窩の多汗症、その傷跡。
4 陥没乳頭とその再発。手術の後の固定具に特徴があります。
(インバーピアス:http://ritz100.jp/
5 乳房異物の摘出と血管付き脂肪による再建手術。
6 加齢による体のたるみや乳房の下垂。

【健康保険が使えますか?】
 美容手術は保険が使えません。 ただし、患者さんが美容と思っていても保険適応のある疾患もありますので医師とご相談下さい。 詳しくは以下の百束比古教授の本に書いてあります。「間違いだらけの美容外科選びー後悔しない病院のかかり方」PHP出版、インターネットでも販売しております。表記の本名で検索して下さい。(百束比古)


20年前に入れたシリコンバッグの変形と、
下まぶたに非吸収性物質〔→〕を注射され、しこりとなっていた。

シリコンバッグは溶けていた。
シリコンや周囲のしこりを取り除き、お腹の脂肪を血管付きで移植して、乳房再建を行った
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乳癌術後再建再生外来

【乳房再建手術について】
 現在日本人女性の30人に1人が乳癌になると言われています。日本医科大学形成外科は、不幸にして乳癌により乳房を完全に、ないしは部分的に喪失してしまった患者様に対し乳房再建手術を行っております。  
 
 その方法として日本医科大学形成外科は主に御自身の体の一部(例えばお腹や背中の脂肪や皮膚)を、血行を保ったまま移植することでより質の高い乳房再建を行っています。またこの治療法は健康保険が適用されます。但し患者様の御希望によってはシリコンなどの人工乳房を用いることもあります。更にこれから乳癌摘出術をお受けになろうとしている患者様に対しては乳腺外科医と共同して摘出と同時にその場で再建手術も行うこともあります。


 術前:乳癌によって右乳房が切除された
 術中:お腹から皮膚と皮下脂肪を血管付きで採取し、取った部位は縫い縮めて1本の傷にする。血管付きで採取した皮膚と皮下脂肪は、胸に移植された(胸の血管と顕微鏡下でつないでいる)。
 術後:お腹は1本の傷に、右の乳房は左と同じボリュームとなった。

【乳癌術後再建再生外来について】
 日本医科大学形成外科は乳房再建を御希望される患者様に対し、完全予約制の特別外来を御用意しております。詳しくは形成外科外来までお電話にてお気軽にお尋ねください。(水野博司)  

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