【心房細動について】
心房細動を発症する方は、40才以上の方のうちの2%以上、65才以上の方のうちの5%以上と大変多く、その原因は、長期に渡る高血圧、心臓病、多量の飲酒、加齢などにより、心臓の一部である心房の壁が変化してしまう為です。
心房細動が発症すると毎分90〜100拍以上の頻脈となり、比較的短時間で心不全となります。その際は、不規則な脈による動悸以外にぜいぜいする感じや息苦しさなどを感じる場合が多く、逆にその様な症状を感じたら緊急に治療が必要となります。
又心房細動が48時間以上続くと左心房内に血栓が形成されることが多く、その血栓の一部が心臓から流れ出て脳の比較的太い血管をつまらせ、重症脳梗塞を発症させます!
心房細動が原因で発症する心原性脳梗塞は脳梗塞全体の30%を占め、後遺症も重度で40%の方は要介護〜寝たきり状態と言われています。この為心房細動の治療、管理は社会的にも極めて重要です。
大半を含める非弁膜性心房細動(心臓弁膜症以外の方に発症するタイプ)は多くの場合、治療をしなくとも自然と正常の脈(洞調律)に戻る発作性の心房細動として発症し、発作をくり返した後に、持続性、そしてやがては恒久化(慢性化)し、心房細動が生涯続くことになります。
発作性あるいは持続性心房細動に対し、心房壁内面をカテーテルで焼く(と言っても焦がすのではなく、カテーテルに弱い電流を流し、「シャブシャブの肉」程度に変化させる。)カテーテルアブレーション治療が行われていますが、治療時間は数時間を必要とし、又実施可能な病院が限られており一般的な治療ではありません。全んどの方には内服薬による治療が行われています。
心房細動の治療方針は2つに分かれます。ひとつは心房細動を可能な限り正常の脈(洞調律)に戻そうとする治療で「リズムコントロール」と呼ばれています。(カテーテルアブレーションもリズムコントロールを目的とした治療)
ナトリウムチャネル遮断薬もしくは多チャネル遮断薬などの抗不整脈薬を服用し、洞調律に戻るかどうか数日間、場合により4〜5ヶ月間経過を見ます。但しこれ等の抗不整脈薬は重篤な副作用があり、慎重に投与されます。
どうしても洞調律に戻らない場合はもうひとつの方法、「レートコントロール」と呼ばれる治療を行います。心房細動はそのままにして、β受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリスなどを組み合わせて服用し、心拍数を毎分80拍以下に抑え、血栓が出来ない様に抗凝固薬を服用します。抗凝固薬は効果の点からワルファリンが推奨されていますが、ワルファリンは出血を持たらすという副作用があり服用に関するガイドラインが作られています。
心房細動以外に、心不全状態、高血圧、年齢が75才以上、糖尿病のうちどれか2つ以上合併しているか、過去に脳梗塞を発症した方にはワルファリンの服用が推奨されています。又以上の病気のうちどれかひとつしか合併が無い方でもワルファリンを服用した方が良いと言われています。ワルファリン服用は、発作性、持続性心房細動も同様に扱われます。又ワルファリンを服用している方は1〜3ヶ月ごとに採血しPT-INRを測定、その数値を1.6〜2.6に保つ様、服用量を調整する必要があります。(但しPT-INRの適値は年齢や合併症により若干の差あり。)
なお、過去に行われたAFFIRM、J-RHYTHMと呼ばれる臨床試験などでは、リズムコントロール治療とレートコントロール治療の比較では生命や予后に関しては差が無かった事が証明されましたが、患者様のQOL(生活の質)に関してはリズムコントロール治療の方が良いとの結論が出ています。
リズムコントロール治療に内服薬より有効なカテーテルアブレーションに関し、今後、より高性能な電子機器の開発やカテーテルなど器具の改良が進み、今後はカテーテルアブレーションによる治療が普及し、慢性化した心房細動にも適応が拡がると云う方向に向かっています。
以上心房細動に付いてでした。
|