- 『放っておくと恐い頭痛』について -


はじめに
前回は頭痛の原因でもっとも多い緊張型頭痛についてお話ししたのですが、今回は“放っておくと恐い頭痛”について少し御説明します。
頭痛の原因の中には見逃すと取り返しのつかなくなる頭痛があります。それを見逃さないためには、やはり頭痛の原因の確実な診断が必要です。そのためには精度の高い画像診断を受けることが先決です。現在は、頭部の画像診断としてはMRI(磁気共鳴画像診断)検査がもっとも適切です。

MRI画像検査
すでにMRI検査を受けられた方も多くいらっしゃると思いますが、MRIは磁気を用いた画期的な頭部の画像検査法で、多少検査時間がかかりますが副作用・合併症もなく安全で、しかも脳組織を鮮明に写し出すことができます。従来のCT検査ではわからないような小さな脳梗塞や早期の脳腫瘍なども診断することができます。さらにMRA(脳血管画像診断)検査といって脳の大事な血管(脳動脈)を見ることができることも重要な利点です。ただ、撮影時間が約30〜40分と長いため小児には適しません。

放っておくと恐い頭痛
頭痛の中でも“たかが頭痛”と放置してはいけないものとしては、次のようなものがあります。

(1)脳動脈瘤 (写真1・2)
これはよく知られているクモ膜下出血の原因となる、脳動脈にできた“瘤(こぶ)”状の血管の膨らみです。この脳動脈瘤が一旦破裂するとクモ膜下出血をきたします。クモ膜下出血は突然おこる激しい頭痛と嘔吐で発症し、出血の量が多いと急激に意識が低下し、直ちに救急車ということになります。この様な重症例を見逃すことはないのですが、その一方でクモ膜下出血を起こしても幸い出血量が少ないと、軽い頭痛程度で済んでしまうことも少なくありません。そのような軽度のクモ膜下出血の場合、頭痛の専門外の病院へ行っても、風邪や単なる肩こりとして見過ごされることがあります。また、脳動脈瘤が破裂する数日前からクモ膜下出血の前触れとして、強い頭痛が始まることもしばしば経験されます。また、稀にではありますが解離性脳動脈瘤といって、クモ膜下出血を伴わない突然の後頭部痛で始まる恐い動脈瘤もあります。これらはCT検査では決して診断できません。診断するには高性能のMRIによるMRA(脳血管画像診断)検査が必要です。このような脳動脈瘤を万が一にも見逃さないためには、頭痛の専門病院を受診し、すみやかにMRA検査を受け、確実な診断を行うことが重要です。
写真->

(2)脳腫瘍
脳腫瘍は頭蓋内で徐々に大きくなるため、脳腫瘍に伴う頭痛は突然起こるクモ膜下出血の頭痛と違い、脳腫瘍の発育とともにゆっくりと進行します。最初は軽い頭重感に始まり、次第に頭痛は強く持続するようになり、ふらつきや嘔気・嘔吐を伴ってきます。もともと頭痛などに縁がなかった人が次第に増強する頭痛に気付いた時は要注意です。
写真->

(3)慢性硬膜下血腫
これは御高齢の方が頭を打った後、約1〜2ヶ月して頭蓋内の硬膜という脳を覆っている膜の下に血腫、つまり血液の塊(かたまり)が溜まってくる病気です。頭を打った直後は何ともなくても、しばらくして頭痛や物忘れ、歩行障害などが出現してきます。高齢に加えて症状の進行が比較的ゆっくりしていることもあり、症状が進行するまで見過ごされることも少なくありません。ただ、この慢性硬膜下血腫は簡単な手術によって治療することが可能ですから、御高齢の方で“近頃少し様子がおかしい”と気付いたら、すぐ画像診断を受けることが大切です。
写真->

(4)急性副鼻腔炎
鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こり、膿(うみ)が溜まってくるのが副鼻腔炎です。この副鼻腔炎が急速にひろがると額から眼の周囲や頬にかけて強い痛みが起こります。この急性副鼻腔炎の診断が遅れると、炎症が頭蓋内や眼球に波及し髄膜炎や脳炎など大変なことになるので、早期の診断と治療が必要です。急性副鼻腔炎はMRIで容易に診断できます。

まとめ
これらは、“放っておくと恐い頭痛”を伴う病気の一部です。頭痛の原因の中では、その頻度はそれほど高くないのですが、いずれも見過ごすと生命にかかわるものです。
“頭がいつもと違う”と感じたら、“たかが頭痛”と放置することなく、頭痛の専門病院を受診し、すみやかなMRI画像検査による正確な診断と適切な治療を受けられることをお勧めします。
写真->

HOME

Copyright (C) 2010 Meinohama Neurosurgical Clinic All Rights Reserved.
病院検索TOP