AKA-博田法


AKA−博田法と腰痛の医学


20世紀型の医学では

AKA-博田法は21世紀の今後を象徴する医学です。過去20世紀はバブルに象徴されていたように、巨大な医療施設、高性能の検査機器、複雑化していく手術の技術が発達していった時代でした。しかしバブルの崩壊に続き、リーマンショックが医療の世界をも直撃し、医療崩壊の現実が待っていました。これは箱ものに投資し続けてきた20世紀の成長政策と全く同じことが医療にも行われてきたからです。いまやどこの病院でもWCT,MRIを数台常備するのがあたりまえで、患者さまも当然のように高額な医療費をはらって検査を受けています。

しかしMRIが腰痛の治療を改善し、よりよい結果を得たかというと、イギリスの医療エビデンスを調べる調査機関によれば、まったくそのようなことはなかったという結果がえられているのです。



なぜMRIで腰痛が診断できないのか?

実際の生体内で起こっている腰痛はMRIで覗いてみてもわかりません。MRIでわかるのはどの筋肉、靭帯、骨が正常とは異なる形をしていて神経を圧迫している可能性があるか、ということであり、あくまで形態検査です。そこから患者さまの今の痛みがでているかもしれない、という仮説をたてているだけで、今の痛みの原因であると証明しているわけではないのです。たとえば人体をくまなく探せば中年期以上の人ではだれでも骨の角が出っ張っていたり、軟骨がすり減っていたり、靭帯がゆるんでいたりする部分を発見できます。しかしそこから痛みがでることはほとんどなく日常生活を無事に過ごしています。たまたま痛い部位があって、たまたまMRIで故障個所とおもわれる部分がそこにあったとします。そこを手術しても、それでもよくならないという訴えが多いのは患者さまの訴えることとMRIの異常とが一致しないためです。

つまり痛みはMRIに写らないのです。これがMRIで腰痛を診断できない最大の理由です。



痛みには3つの種類がある

世界疼痛学会が痛みを3つに分類しました。少し難しい言葉が入りますが、その第一は神経障害性の痛みです。歯痛のように虫歯で歯の神経が痛みを感じるのがそれです。整形外科では椎間板ヘルニアのように神経にヘルニアがあたると、痛みを起こします。このような痛みを神経障害型といいます。

第二は関節障害型の痛みです。関節が脱臼したり、破損すると猛烈な痛みが出現します。この痛みは神経を麻酔剤でブロックしても治りません。関節をもとの位置に戻さない限り痛みは続きます。

最後は心因性の痛みです。最近増加傾向にあるといわれていますが、ストレスなどで架空の痛みを脳が表現してしまいます。しかしこれはごくわずかです。



神経障害型の痛みは少ない

神経障害型の痛みは非常にわかりやすい痛みです。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症では神経を圧迫し、しびれや痛みをおこします。

ところでこうした神経障害型の痛みは腰痛のなかでどのくらいの頻度なのでしょうか?

調査研究した論文によると、全腰痛のたった3〜5%しかないのです。これに骨折や感染性の痛み、心因性の痛みを加えても痛みの原因のわかっているのはたった10%程度なのです。腰痛の90%はその原因、さらにいえば痛みをおこしている部位がどこか、ということさえわからなかったのです。



神経障害型腰痛の発見法

神経障害型の腰痛の特徴は神経の経路を追跡していくと故障部位が判明します。神経を電線に例えると、停電した場合、電線を順番に、分岐していく部位を一本づつ点検していき電気の伝わらない部位が故障部位です。同じように神経をたどっていってその神経のつかさどる運動や感覚が失われた分岐した先に故障個所があるわけです。そこが椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による神経圧迫部位になります。



手術をむやみに勧める医師

ところが最近はこうした丹念な神経経路の検索を行わず、MRIで圧迫部位が見えるからそこが故障部だといって取り除く手術をする医師がいます。その手術の結果、痛みやしびれが無くならないのに、故障部位は取りましたといって終わりにしてしまう医師が出現してきました。私は若い医師の時代にこのような見込みだけでの手術を「悪魔の手術」であると先輩に固くいましめられたものです。

手術によって痛みやしびれがなくなるかは五分五分であるといわれて手術を受ける患者さまがいるでしょうか。おそらく、そうではなく、「そのままでは将来歩けなくなりますよ」といわれて手術を受けたのではないでしょうか。

ところが今のところ整形外科の最新の医学をもってしても、現在の症状から将来の症状を予測できるような確実な統計もなければ、エビデンスも全くないのです。腰痛は癌のような悪性の疾患では決してないのですから、このような手術の説明は危険です。

患部を少しも触れることがない医師、神経の反応をみるために触ったり、動かしたり、力を測ったりしない医師、MRIの説明しかしない医師、どのような神経障害があるか(神経脱落症状といいます)をきちんと説明できない医師は「悪魔の手術」を行う可能性があります。



本当の腰痛の原因は?

原因がわからないといわれている90%もの腰痛は一体どこから起こっているのでしょうか。関節の脱臼や骨折は神経ブロックが効かないといいましたが、関節にわずかな不適合があっても神経ブロックでは一時的にしか効かないのです。このわずかな不適合が起きる可能性のある場所は骨盤の後ろのほうの関節である仙腸関節です。もうひとつ椎間関節といって背骨の後方にある関節もあります。しかし仙腸関節は椎間関節と異なりそれを動かす筋肉がついていないため、一度不適合を起こすとなかなか自分で動かしたりしても治りません。このため医師の手で直接直さないとその不適合状態は長く続き、腰痛がなかなか治りにくい原因になっているのです。








仙腸関節とは?

どうしていままで腰痛の原因、治療が仙腸関節であるとわからなかったのでしょうか。それは仙腸関節という関節が動かない関節であると信じられてきたからです。動かない関節は痛みを起こすはずがないというわけです。仙腸関節が動くことは自分の骨盤を両手で触りながら腰を捻ったり、回したりすればすぐにわかります。それがどうして動かないと信じられてきたのでしょうか。これは解剖では確かに死後硬直した仙腸関節は全く動きません。そのため長らく仙腸関節は動かないと医師に信じられてきたのです。



腰痛は仙腸関節が動かなくなるのが原因

腰痛の患者さんでは腰を前後左右に動かすことが困難です。どこが動かなくなっているかをAKAの開発者である博田節夫先生(大阪大学整形外科)が実際に触診してみた結果、仙腸関節が主体で椎間関節はごくわずかであることがわかりました。そこで仙腸関節を動くようにすれば腰痛が治療できるのではないかと考え、関節運動学という最新の医学を応用して、関節の動きをよくするには関節の遊びを改善すればよいという結論に至ったのです。



AKA-博田法は仙腸関節の遊びを改善する

関節の動きをよくするには関節の痛みを我慢しながら無理やり動かしていくという古代からある方法がまず思いつくはずです。これはカイロプラクテックや整体など、リハビリテーションにおいては運動療法の考え方に今も残滓があります。こうした考えかたは原始的ではありますが、現代でも根強く残っています。ところがそれとはまったく別個に、関節運動学では関節の動きが悪くなると関節の遊びもなくなるということを発見しました。これを逆手にとって関節の遊びを改善すれば関節の動きがもとに戻るのではないか、と考えたのが博田先生です。

実際仙腸関節の隙間を手で広げたり、関節面同志を滑らせたりすると動かなくなっていた仙腸関節の動きがもとにもどり、そして痛みがなくなっていくことを博田先生が多数の腰痛患者において証明しました。これがAKA-博田法なのです。






(読売テレビで放映した映像「医療ルネッサンス」から。2005年)



AKA-博田法の実際

AKA-博田法は5分から10分間程度の治療です。患者さんは仙腸関節を触れられたと感じるだけでその施術中に痛みもなにもありません。仙腸関節が動くようになったかどうかを確認するために医師は下肢部を動かしてその前より動きがよくなったかを診察します。

患者さんはすぐに腰がらくになったと感じます。ぎっくり腰でも数日のうちに痛みがなくなります。



AKA-博田法の治療を受けるには

AKA-博田法は非常に難しい技術なので、普通の医師が行っても簡単には習得できません。そこでまだ健康保険に適応がありません。しかしこの治療法はあまりに素晴らしい効果があるのでこの治療が医学界に普及していくように当院では診察料以外の特別な治療費はいただいておりません。

この治療を受けたい場合は受付でそのように申し出ていただければ行います。しかし予約制ではなく、非常に混雑するときもありますので混雑状況を確認して来院されるとよいと思います。



日本AKA医学会について

日本AKA医学会は医師の作る非営利団体で、AKA-博田法を医師の間に普及し、研究する学会です。博田節夫先生が理事長、私が副理事長を務めています。医師の会員は約500名、理学療法士は理学療法士会を作り1,500名が登録されています。そのなかでAKA-博田法を習得した医師は指導医、専門医として70名ほどが登録されています。
詳細はホームページwww.aka-japan.gr.jpを参照ください。