スマイル通信(令和元年9月 第162号)
はじめに:健康で笑いの絶えない暮らしを願ってスマイル通信第162号を発刊します。健診などで肝機能異常を指摘されることがありますが、その多くは脂肪肝です。あ〜少し太っているからしょうがないかと軽く考えられてしまいがちですが、中に肝硬変、肝臓がんまで進む脂肪肝炎という疾患が混ざっています。今回は脂肪肝炎について考えてみます。
肝機能の見方
血液検査でALT(GOT)、AST(GPT)、γGTPを見てください。これらは肝臓に多くある酵素の一つですが、肝細胞が壊れたり、肝臓に負担がかかると上昇します。 正常値はALT、ASTは40以下(厳しくいうと30以下)、γGTPは女性は30以下、男性は80以下となっています。

健診で肝機能異常をみたら何を考えるか?

健診を行うと中高年の人では30%に肝機能異常が見られます。最も多いのが脂肪肝です。その中に、肝硬変まで進行してしまう「脂肪肝炎」 が10%ほどあります。B型肝炎、C型肝炎の人も1%くらい見られます。以前は肝臓がんの原因の90%がB型肝炎やC型肝炎といわれていましたが、最近では脂肪肝炎やアルコール性肝障害が原因となることが増えています。脂肪肝炎は肥満と関連があり、今後わが国でも増加してくると考えられます。

脂肪肝とは

脂肪肝は肝細胞に30%以上中性脂肪がたまった状態です。「フォアグラ」や「あん肝」など脂肪ののった肝臓の状態です。
アルコールが原因のものと、アルコールを飲んでいないにも関わらず食べすぎや運動不足などが原因で脂肪肝になるものがあります。

脂肪肝炎とは
食べすぎや運動不足などで、まず通常の脂肪肝となったあと、何らかの原因が加わると、肝臓の中で慢性持続性の炎症が起こり、脂肪肝炎となります。炎症が長く続くほど肝臓に線維が増えてきて、ごつごつとした状態、すなわち肝硬変になります。脂肪肝炎となると5-10年で25%の人が肝硬変に移行するというデータもあり、要注意です。


脂肪肝炎の診断(通常の脂肪肝との区別)

アルコールをとっておらず、B型、C型肝炎などにも罹患していない脂肪肝の人で、脂肪肝炎があるかどうかを区別するには肝生検を行い、肝臓の組織に炎症や線維化などがないか顕微鏡で見るしか確定診断ができません。しかし、脂肪肝の人を全て肝生検するのは侵襲もある検査で入院も必要で、なかなかできません。そこで役立つのが肝臓の線維化マーカーです。肝臓に線維が増えている状態ということは、脂肪肝炎が疑われます。これらが高い人は要注意で、一度病院での精査を受けることをお勧めしています。

肝臓の線維化マーカー

1. Fib-4 index:年齢、血小板、AST、ALTから計算式で産出される数値で、肝臓の線維化を示します。1.3未満なら線維化は少なく、経過観察でいいと思います。しかし1.3以上では線維化が疑われますので、次の検査を行うといいでしょう。

2. M2BPGi:Mac-2結合タンパク糖鎖修飾異性体(難しくて説明できませんが、とにかく、この検査値は慢性肝炎や肝硬変で上昇してきます。
1+で慢性肝炎、2+で肝硬変レベルの肝線維化と考えられます。