スマイル通信(令和元年10月 第163号)
はじめに:健康で笑いの絶えない暮らしを願ってスマイル通信第163号を発刊します。国が積極的な接種呼びかけを中止している子宮頸がんワクチン接種について全国97自治体で見直しされ独自に通知がされていると9/1中日新聞に掲載されました。今回は、この点について考えてみます。

子宮頸がんワクチンとは?

子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウィルスであることが分かっています。このウィルスは性交渉によって感染するのですが、ワクチンで予防ができることから、全世界70か国以上で定期接種が行われています。
わが国では以前接種率は70%ありましたが、副作用のため積極的勧奨を控えるようになりました。そのため現在では接種率は1%未満です。それに対し、海外では50〜85%と高く、子宮頸がんの発症も減少傾向にあります。


我が国の子宮がんの発症状況

子宮頸がんは20歳代から増加し、年間約1万人が罹患し、2700人が年間死亡しています。ワクチンを打ち、検診をきちんと受けていれば、子宮頸がんで亡くなる方はほとんどいないと考えられています。ワクチンの効果も勘案し、理論的には、毎年2000人の命がワクチンで救われる計算です。


どんな副作用が起きて、積極的接種勧奨がなくなったの?

国が接種を呼びかけた子宮頸(けい)がんワクチンが全身の痛み、記憶障害、学習障害などの健康被害を引き起こしたとして、全国の15〜22歳の女性63人が27日、国と製薬会社2社に1人当たり1500万円の損害賠償を求め、東京、名古屋、大阪、福岡各地裁に一斉提訴しました。全身の痛みは「複合性局所疼痛症候群」と考えられ、骨折・捻挫などの外傷をきっかけとして生じる、原因不明の慢性の疼痛症候群です。子宮頸がんワクチンは筋肉注射で痛みもほかのワクチンより強いため、このような副作用が、他のワクチンよりも起きやすいのかもしれません。痛みは長期化して、精神的な苦痛も強く、ワクチンを受けなければよかったと、国に損害賠償を求める裁判の原告は130人を超え、各地で審議が続いています。


ワクチンのメリットをとるかデメリットを重く見るか?
 
メリット
デメリット
ワクチンを打つ事
子宮頸がんを予防できる。(7割)子宮頸がんにならなければ,子供を産める。(※)
複合性疼痛症候群などの重い副作用が出る可能性がある(10万人に5人)
ワクチンを打たない事
ワクチン接種による、複合性疼痛症候群などの副作用は回避できるかもしれない。
子宮頸がんになる可能性がある。100-200人に1人が子宮頸がんに罹患し、そのうち1/4が死亡する。

※日本では毎年約1万人が子宮頸がんに罹り,うち100人弱は妊娠中にがんが見つかり、妊娠継続を諦めています。子宮頸がんワクチンの接種によって176人に接種との因果関係が否定できない重篤な有害事象が起こった一方で、接種により回避することができた子宮頸がん患者数は1万3000〜2万人、死亡者は3600〜5600人と推計されています。


改めて子宮頸がんワクチンについて

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウィルスの60〜70%が16型か18型であり、サーバリックス、ガーダシルどちらのワクチンも有効率は90%以上です。

 
サーバリックス
(グラクソ・スミスクライン社)
ガーダシル
(メルク社 日本ではMSD社)
予防するHPV
16型、18型
6型、11型、16型、18型
接種
スケジュール
対象年齢
12歳〜16歳(小学6年〜高校1年相当)の女子
ただし、子宮頸がん予防ワクチンは全ての子宮頸がんを予防することはできませんので、接種後も定期的な子宮頸がん検診を必ず受けましょう。

子宮頸がんと子宮体がんの違い

癌の発生する場所が違いますが、頸がんは好発年齢が若く、発生頻度も高く要注意です。