スマイル通信(令和元年11月 第164号)
はじめに:健康で笑いの絶えない暮らしを願ってスマイル通信第164号を発刊します。今回はパーキンソン病について考えたいと思います。
パーキンソン病てどんな病気?
パーキンソン病は、脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気です。
現在、日本には約15万人の患者さんがいるといわれています。高齢者に多くみられる病気ですが(60歳以上では100人に1人)、若い人でも発症することがあります。
パーキンソン病の症状は?

振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を主な運動症状とする病気です。パーキンソン病は、何年もかけてゆっくりと進行する病気です。
以前は、「パーキンソン病を発症すると、10年後には寝たきりになる」といわれていました。(ホーン&ヤールの重症度分類を参照ください)
しかし、現在は効果的な治療薬もあるため、発症から長い年数にわたり、よい状態を保つことができます。


なぜパーキンソン病になるの?
私たちが体を動かそうとするときは、脳の「大脳皮質」から全身の筋肉に、運動の指令が伝わります。このとき、私たちの思いどおりに体が動くように、運動の調節を指令しているのが神経伝達物質の「ドパミン」です。
ドパミンは、脳の奥の「黒質」にある「ドパミン神経」で作られています。
パーキンソン病になると、このドパミン神経が減少し、ドパミンが十分につくられなくなります。その結果、運動の調節がうまくいかなくなり、体の動きに障害があらわれるのです。ドパミン神経がなぜ、変性して減少するのかはまだ詳しいことはわかっていません。

その他の症状について

パーキンソン病では、黒質のドパミン神経の減少に加え、他の中枢神経や自律神経もダメージを受けます。これにより、手足の震えなどの代表的な症状に加え、精神症状(抑うつ、幻覚、高齢の重度の患者さんでは認知症なども合併することがあります)や自律神経の障害(8割の患者さんに便秘が見られます)があらわれることもあります。


どうやって診断するの?

まず、問診をして、神経学的な診察を行います。さらにパーキンソン病と似た疾患を区別するのに、ドパミントランスポーターシンチグラフィーが有用です。これは脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポーターを画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査です。脳にくすりが集まるまで3〜6時間待ちます。それ以降、仰向けに寝て、カメラで頭を撮影します。なおパーキンソン病では脳MRI検査やCTでは健常な人とほとんど区別ができません。


パーキンソン病と似たような症状が出る疾患について

手のふるえや筋肉のこわばり、歩きにくさなどパーキンソン病のような症状をきたす疾患がいくつかあり、鑑別が必要です。
パーキンソン病を含め、パーキンソン病のような症状をきたす疾患の総称を、パーキンソン症候群といいます。パーキンソン症候群には、パーキンソン病の他、多発性ラクナ梗塞、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、パーキンソン病類縁疾患、薬剤性パーキンソン症候群などがあります。それぞれ原因が違うため、しっかりと診断しておかないと治療が成り立ちません。これらの鑑別には、CT、MRI、ドーパミントランスポータースキャンが有用です。
薬剤性パーキンソン症候群とは、ドパミンに何らかの影響を及ぼす薬を飲んでいて、パーキンソン症候群になるものを言いますが、ドグマチール、ナウゼリン、プリンペラン、セロクエル、リスパダール、パキシル、アルドメット、ヘルベッサーなどでの報告がありますので要注意です。