炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)のくすり
指導/小林 拓
北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター


▼病気に関する基礎知識
 潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とクローン病の二つをあわせて炎症性腸疾患とよび、20〜40代の比較的若年で多く発症するのが特徴です。本来身体を守るべき免疫システムが消化管を攻撃してしまう病気と理解されており、潰瘍性大腸炎では大腸のみが、クローン病では小腸、大腸をはじめとして消化管のさまざまな部位が侵されます。
▼治療に関する薬の解説
 治療には、抗炎症作用のある薬〔5-アミノサリチル酸、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド〕や免疫を抑える薬(アザチオプリン、タクロリムス、抗TNFα抗体)などが使用されます。5-アミノサリチル酸は副作用の少ない薬で多くの方に処方されますが、まれにアレルギーや下痢の副作用があります。ほかの薬で最も問題になるのは、免疫を抑えることによって感染症にかかりやすくなることです。それに加え、ステロイドではにきび・ムーンフェイス(顔がむくみ丸くなる)や長期使用に伴う骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、アザチオプリンでは肝障害や白血球減少、タクロリムスでは手指の震え・しびれや腎障害などが問題になることがあります。
 潰瘍性大腸炎に対しては、炎症のある部位に薬をしっかりと行き届かせるために、坐薬(ざやく)や注腸(ちゅうちょう)といった肛門(こうもん)から薬を投与する方法もあります。
▼疾患における留意点
 潰瘍性大腸炎では、体調が特に悪化している患者さん以外には、特別な食事・運動制限はありません。クローン病の方は脂肪分を控えめにして、野菜や魚中心のあっさりした食事を心がけてください。また、症状が落ち着いていると思っていても気づかないうちに病気が進行していることもありますので、処方されている薬はきちんと内服を続け、定期的な診察を必ず受けてください。


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