乳がんとは
指導/宮本康敬
浜松オンコロジーセンター薬剤部


▼病気に関する基礎知識
病気に関する基礎知識 乳腺(にゅうせん)は、乳汁を作る「小葉(しょうよう)」と乳汁が通る「乳管(にゅうかん)」で構成されています。これらの乳腺細胞が異常に増殖したがんを「乳がん」といいます。乳がん細胞が乳管の外にまで及び、血管やリンパ管の中に入り込んでいる場合を「浸潤がん(しんじゅんがん)」といいます。浸潤がんの場合、すでに目に見えない転移が全身に広がっている可能性もありますので、再発を防ぐ目的で、効果が全身に及ぶ薬物療法による「全身治療」が必要になります。
▼乳がんの初期治療
 乳がんと診断され、他の臓器に転移がない場合、まず最初に受ける治療を「初期治療」と呼びます。初期治療では、治癒(ちゆ)を目標に治療を行います。初期治療には、手術・放射線治療といった「局所治療」と、抗がん剤・ホルモン剤・抗HER2治療剤(こうハーツーちりょうざい)などを用いた薬物療法による「全身治療」が含まれます。抗HER2治療剤は、がん細胞の増殖に関係するタンパクである「HER2」の働きを抑えます。
 薬物療法を選択する場合には、ホルモン受容体発現の有無、HER2タンパク過剰発現の有無、がん細胞の悪性度、閉経状態などによって、これらの治療剤を使い分けます。数種類の薬剤を組み合わせる場合もあります。
乳がんの初期治療 ホルモン受容体が陽性の場合(乳がん全体の70〜80%)はホルモン剤を、HER2タンパク過剰発現がある場合(乳がん全体の15〜20%)は抗HER2治療剤を使用します。「ホルモン受容体が陰性」、「HER2タンパク過剰発現がある」、「がん細胞の悪性度が高い」などの場合は、抗がん剤を使用します。
 手術の前に行う抗がん剤治療は、乳房温存の可能性を高める、薬物療法の効果が実感されやすいといったメリットがあり、手術の後に行う場合と治療効果も同じであることから標準療法のひとつとなっています。

▼乳がんの転移・再発後治療
 転移・再発後の治療では、がんの治癒を目指すのではなく、がんの進行を抑えたり症状を和らげたりしてQOL(生活の質)を保ちながら、がんと共存するための治療を行います。くすりにはたくさんの種類があり、ひとつの治療法を行って効果があるうちはそれを続け、効果がなくなってきたら別の治療法を順次行います。がんによる痛みがある場合は、オピオイド鎮痛薬を使用します。


ページ制作:株式会社ライフメディコム/情報提供:株式会社スズケン

>> ご利用規約
株式会社スズケン