慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常とは
指導/田中元子
松下会あけぼのクリニック腎臓内科


▼病気に関する基礎知識
 ビタミンDは、カルシウムの吸収を促す働きをもっています。しかし、腎臓の機能が低下するとビタミンDの働きが障害されるため、カルシウムが食事によって体内に吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下します。また、尿中へのリンの排泄機能が低下するため、血液中のリン濃度が上昇します。慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の患者さんでは、カルシウムとリンの血中濃度の異常を調節しようとして、副甲状腺(ふくこうじょうせん)ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の量が増加します。このような状態を「二次性副甲状腺機能亢進症(にじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)」とよびます。PTHは、骨から血液中へとカルシウムを移動させる働きをもつため、PTHが増え続けると骨のカルシウムが減少し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。基礎知識二次性副甲状腺機能亢進症がさらに進行すると、高カルシウム・高リン状態が持続して、血液中で過剰になったカルシウム・リンが血管壁の石灰化を起こします。このように、CKDでみられるカルシウム・リン・PTHの異常により引き起こされる病気を「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-mineral and bone disorder:CKD-MBD)」といいます。
▼慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常の治療
 透析患者さんの血液検査の目標値は、リン値3.5〜6.0mg/dL、補正カルシウム値8.4〜10.0mg/dL、PTH値60〜180pg/mLです。リン・カルシウム・PTHをコントロールするくすりには、食事に含まれるリンと結合して体外へ排泄する「リン吸着薬」や、腸管からのカルシウム吸収を助けて骨を守る「ビタミンD製剤」、PTHの産生を抑える「カルシウム受容体作動薬」があります。
 食事療法、十分な透析、薬物療法を行っても二次性副甲状腺機能亢進症が悪化する時には、早めに副甲状腺摘出術(ふくこうじょうせんてきしゅつじゅつ)や副甲状腺PEIT(ふくこうじょうせんエタノール注入療法)を受けましょう。
▼日常生活における留意点
制限 リンは食事によって体内に取り込まれるため、リンを多く含む食品を制限します。リンを多く含む食品としては、肉や魚といった高タンパク質のもの、乳製品、スナック菓子や加工食品などがあります。CKD患者さん用の低リン食品がありますので、上手に活用してみるのもよいでしょう。


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