糖尿病とは
指導/森 保道
国家公務員共済組合連合会虎の門病院内分泌代謝科部長


▼糖尿病の基礎知識
 糖尿病は、インスリンの不足と働きの低下により、慢性的に血糖値(けっとうち)が上昇する病気です。のどの渇き、尿量や排尿回数の増加、全身のだるさ、疲れやすさ、体重減少などの自覚症状がみられる場合もありますが、全く症状がなく健康診断を受けて初めて気付く方も多いのが特徴です。血糖値の上昇は、長期間放置すると全身にさまざまな合併症(表)を起こすため、早期から適正な水準に血糖値を維持することが重要です。糖尿病の治療は、患者さん一人ひとりの病状に適した食事療法と運動療法が基本となり、その効果が十分でないときにくすりの治療を組み合わせます。


表 糖尿病の慢性合併症
糖尿病性網膜症 眼底出血や視力低下の原因となります
糖尿病性腎症 高血圧から腎臓の働きが低下し、タンパク尿やむくみが出ます
糖尿病性神経障害 手足の末梢神経の痛みやしびれ、自律神経からくる便秘、排尿異常、立ちくらみが起こります
動脈硬化 脳や心臓、足の動脈が狭くなり、血流をさまたげます。脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、足の血行障害の原因となります
▼糖尿病のくすり
 糖尿病のくすりには、インスリン製剤といくつかの内服薬があります。病状や血糖値の状態に合わせて用います。必要に応じて複数のくすりを組み合わせて用いることもあります。なお、妊娠中および授乳中の方は、内服薬は使用できません。


くすりの種類 特徴と副作用


インスリン製剤 膵臓で作られるインスリンを人工的に合成したくすりです。不足しているインスリンを補うために用います。低血糖(血糖値の下がりすぎ)に注意します。








インスリン分泌促進薬 膵臓から分泌されるインスリンを増やすくすりで、スルホニル尿素薬と速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)があります。副作用として低血糖と体重増加があります。
ビグアナイド薬 おもに肝臓でのインスリンの働きを助けるくすりです。副作用として下痢、腹痛などの胃腸症状、まれに乳酸アシドーシスがあります。腎機能の低下した方は使用できません。
チアゾリジン薬 おもに筋肉でのインスリンの働きを助けるくすりです。副作用としてむくみ、体重増加、肝機能の異常があります。心不全のある方は使用できません。
α-グルコシダーゼ阻害薬 小腸にあるα-グルコシダーゼという酵素の働きを抑えて、糖分の吸収をおだやかにするくすりです。副作用として腹満感、おなら、下痢などの胃腸症状があります。
DPP-4 阻害薬 腸から分泌されるインクレチン(GLP-1)の働きを高め、インスリンを増やしたり、血糖値を上げる原因となるグルカゴンを減らしたりするくすりです。副作用として、のどの痛みなどがあります。スルホニル尿素薬との組み合わせでは低血糖に注意します。
▼低血糖に注意
 血糖値が正常域より低下すると、動悸、手のふるえ、冷や汗、めまいなどの症状がみられます。医師の指示に従い低血糖に備えて、砂糖またはブドウ糖を常に携帯しましょう。特にα-グルコシダーゼ阻害薬を服用中の方は、必ずブドウ糖を服用してください。



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