糖尿病性神経障害のくすり
指導/佐々木秀行
和歌山県立医科大学内科学第一講座 准教授


▼糖尿病性神経障害の基礎知識
 糖尿病では、末梢神経の働きが悪くなり、しばしば足先や足裏のしびれ・痛みが起こります。
進行すると感覚がなくなり、足潰瘍(あしかいよう)の原因となります。心臓や胃腸、膀胱(ぼうこう)などの働きも悪くなり、立ちくらみ、頑固な便秘や下痢、尿が出にくいなどの自覚症状に悩まされることもあります。これが糖尿病性神経障害で、くすりには、高血糖が神経におよぼす悪影響を軽減するくすりと、激しい痛みや立ちくらみなどの症状を緩和するくすりがあります。前者にはアルドース還元酵素阻害薬(かんげんこうそそがいやく)とビタミンB12があり、後者にも自覚症状の緩和のためのさまざまなくすりがあります()。

*足にできた治りにくい傷

 
表 糖尿病性神経障害の自覚症状とその治療
自覚症状 治療薬と日常生活での留意点
足のしびれ、痛み メキシレチン、消炎鎮痛薬
ある種のうつ病の薬、てんかんの薬
立ちくらみ、めまい 血圧を上げる薬や血液量を増やす薬
弾性ストッキングや腹部圧迫帯の着用
頑固な便秘 便秘の薬、整腸薬
食物繊維の多い食事、規則正しい生活
夜間に多い下痢 下痢を止める薬、整腸薬、抗菌薬
脂肪が少なく消化の良い食事
尿が出にくい、残尿 排尿を促す薬
十分な飲水と規則的な排尿習慣
糖尿病性神経障害の自覚症状
▼くすりの副作用と注意点
 アルドース還元酵素阻害薬は、服用により尿が黄褐色または赤色になることがあります。心配はありませんが尿検査に影響することがありますので、他の医療機関で診察を受ける際には、服用していることを伝えてください。副作用には肝臓の障害などがありますが、頻度はまれです。ビタミンB12には特に副作用はありません。どちらのくすりも症状をなくす効果は強くありませんが、悪化を防ぐ効果で知られています。もし効果が現れない場合は、担当の先生とよく相談してください。
 また、症状を緩和するくすりには副作用がまれでないものもあり、使用時には担当の先生と薬剤師から十分な説明を受けてください。
▼日常生活での留意点
 何といっても血糖コントロールが一番大切です。血糖コントロールの良い人の方がくすりが効きやすいことも知られています。食事・運動療法をきちんと行って、良好な血糖コントロールを維持しましょう。



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