炎症性腸疾患とは
指導/長沼 誠
東京医科歯科大学医学部消化器内科講師


▼炎症性腸疾患の基礎知識
 クローン病、潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患は、10〜20歳代に多く発症する再燃と寛解を繰り返す腸疾患であり、下痢、腹痛、粘血便、発熱、食欲不振などを主訴とします。
 原因は明らかではありませんが、腸内細菌や食事などの何らかの抗原が刺激となって、腸管内の組織で過剰な免疫反応が起こり、炎症性サイトカインが放出されることによって、腸管の炎症や障害が起こると考えられています。
▼クローン病にはどのような治療法があるのですか?
サイトカイン クローン病では、潰瘍性大腸炎に比べ、食事による影響がより強いため、脂肪を抑えた成分栄養療法を行います。栄養士から食事の指導を受けることが大事です。炎症が強い時期にはエレンタール®またはエンシュア・リキッド®などの経腸栄養剤を1日1,200 kcal以上摂取することが勧められます。また炎症が強く摂食困難な場合には、中心静脈から高カロリー輸液を行うこともありますが、多くの場合入院をする必要があります。
 薬物治療では、軽症から中等症のクローン病に対する治療薬として5-アミノサリチル酸製剤であるペンタサ®やステロイド製剤であるプレドニン®があります。炎症が改善されれば栄養療法の軽減やプレドニン®を少しずつ減量し、中止することもできます。プレドニン®減量中に再燃する症例や難治例には、免疫抑制薬であるロイケリン®*1を1日30〜50 mg投与することもあります。また最近では、中等症から重症の難治性クローン病に対して、レミケード®を点滴投与することもあります。この治療は投与開始時、開始後2週目、6週目の3回投与を行い、効果がみられた場合には再燃予防のため2ヵ月に1回、維持投与をします。
 内科的な治療で改善されない場合には、手術も考慮されます。
*1:ロイケリン®のクローン病に対する投与は保険適用外
▼潰瘍性大腸炎にはどのような治療法があるのですか?
 潰瘍性大腸炎では薬物治療が中心になります。軽症から中等症ではペンタサ®、サラゾピリン®を使用します。直腸炎型や遠位大腸炎型では、坐薬や注腸製剤により効果がみられる場合が多いです。これらの治療で改善されない場合は、プレドニン®の経口投与を行います。
 重症例や症状が強く摂食困難な場合は、入院して治療します。多くの場合、腸管安静のため禁食にし、プレドニン®の経静脈投与を行います。プレドニン®にて改善されない場合には白血球除去・顆粒球吸着療法が、重症であればシクロスポリン*2持続静注療法が行われることもあります。内科的な治療で改善されない場合には、手術も考慮されます。
*2:シクロスポリンの潰瘍性大腸炎に対する投与は保険適用外



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