慢性腎臓病(CKD)とは
指導/要 伸也
杏林大学医学部第一内科准教授


▼慢性腎臓病(CKD)の基礎知識
 CKDとは、原因によらず(1)タンパク尿などの腎障害、 (2)腎機能低下が3ヵ月以上続く状態を指します。CKDでは、腎不全の進行と共に心臓病発症のリスクも増大しており、心・腎同時保護を目指した多角的な治療を行います。
*糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう)が60mL/分/1.73m2以下
▼慢性腎臓病(CKD)の治療
ACE阻害薬とARB腎臓の保護
 腎臓の悪化要因には、(1)基礎病変によるもの、(2)一時的に腎機能低下を招くもの、(3)腎不全に共通する進展因子の3つがあり、それぞれに対する対策が必要です。
 (1)は原因の慢性腎炎や糖尿病に対する治療、(2)は脱水、かぜ、ストレス、腎臓に悪い薬を避けるなど、(3)に対してはに示すような腎保護療法を行います。中でも、レニン・アンジオテンシン(RA)系の抑制が重要で、「アンジオテンシン変換酵素阻害薬(へんかんこうそそがいやく):ACE阻害薬」と「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(じゅようたいきっこうやく):ARB」という、2つの降圧薬が用いられます。これらの薬剤には、全身の血圧と関係なく、腎糸球体出口の血管拡張によって糸球体内圧を下げる作用があり、さらに心・血管系の保護作用も併せもっています。

表 CKDにおける治療方針
血圧*1のコントロール(130/80mmHg*2未満)
RA系抑制薬(+利尿薬、カルシウム拮抗薬)
タンパク尿をできるだけ少なくする
糖尿病性腎症ではインスリンなどで血糖コントロール(ヘモグロビンA1c 6.5%以下)
食事療法(タンパク制限、十分なカロリー、塩分制限1日6g未満)
ライフスタイルの改善(禁煙、運動、肥満対策 BMI 25未満)
スタチンなどで脂質異常症の改善(LDLコレステロール 100〜120mg/dL以下)
貧血の改善(ヘモグロビン濃度 10g/dL以上12g/dL未満)
心不全のコントロール
心血管疾患リスク因子のチェック、予防、治療(アスピリンも含む)
*1:早期血圧にも注意
*2:尿タンパク量が多い場合は125/75mmHg未満

心・血管系の保護
 心・血管系の他のリスク因子(糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリック症候群など)をできる限り是正します。多くは腎保護対策と重なっています。
腎不全の合併症対策
 慢性腎不全が進行すると、むくみ、高カリウム血症などの体液異常や、高尿酸血症、貧血などの合併症が現れます。食事療法やくすりでこれらを是正します。



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