急性冠症候群とは
指導/上石哲生
東京医科歯科大学医学部循環器内科


▼急性冠症候群の基礎知識
 急性冠症候群は、心臓の栄養血管である冠動脈壁の内側に動脈硬化の原因であるLDLコレステロールなどを含んだ脂質の塊、「プラーク」ができて狭くなり、さらに血の塊(「血栓」)が急に生じることにより、血液の流れが非常に悪くなったり、血管が詰まってしまうことで起こるといわれています。
 従来の急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死を病気の起こる仕組みからひとまとめにした呼び方ですが、原因が同じなので治療方法にも共通部分が多いです。

▼薬物治療と服用上の注意点
 急性冠症候群の治療にはカテーテル治療、冠動脈バイパス術、薬物治療の3つの方法がありますが、薬物治療が何よりも基本となり、その他の治療と組み合わせて行われます。
 薬物治療には大きく2つの目的があり、それぞれの目的に応じたくすりが使用されます。
1. 狭心症発作を解消し、生活の質(“QOL”)を改善するためのくすりです。
硝酸薬:血管を拡張させて、狭心症の発作を改善します。内服後に頭痛がみられる人がいます。
β(ベータ)遮断薬:心拍数を減らして心臓の酸素消費量を減らします。
カルシウム拮抗薬:冠動脈を拡張して、冠動脈の痙攣を伴う狭心症を改善します。
2.心筋梗塞への移行を抑制し、長期予防や再発防止に役立つくすりです。
抗血小板薬(アスピリン):血液を固まりにくくします。鼻血や傷口などからの出血が止まりにくくなることがあ り、長時間にわたって止まらないようであれば、主治医に相談してください。
高脂血症薬:肝臓でコレステロールの合成を抑制することで血中のLDLコレステロールを下げます。狭心症や心筋梗 塞の再発を防ぐと言われています。筋肉痛・肝障害などがみられることがあります。
ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB):血圧を下げる作用に加え心臓保護作用があると言われています。
 くすりは長期間服用しなければならないので、安全性の高いくすりが選択されます。不安や疑問がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。

▼予防のための日常生活指導
食生活:満腹を避けて、食事に含まれる脂質を減らしましょう。
運動:水泳、ウォーキングなどの有酸素運動を1回30分程度、週3、4回行うことが急性冠症候群の予防、再発の予防に有効です。「ややきつい」と感じる程度の運動を一定時間続けることに意味があり、腕立て伏せなどの一時的な激しい運動は血圧が上昇し逆に心臓に負担がかかりますので避けてください。また早朝と深夜には運動は避けたほうが良いでしょう。
ストレス:心拍数や血圧が上昇して心筋梗塞や不整脈の原因になることがあります。十分な睡眠や気分転換でストレスをうまく解消することが大切です。
飲酒、喫煙:過度な飲酒は慎みましょう。たばこを吸うと急性冠症候群が発症しやすくなります。予防のためには禁煙が必要です。

参考:JAPAN-ACS ホームページ(URL http://www.japan-acs.or.jp/



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