前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)のくすり
指導/松島 常
東京警察病院 泌尿器科


▼前立腺肥大症とは
 前立腺は骨盤底にある尿道を取り囲む男性特有の器官です。前立腺肥大症は、前立腺移行域の細胞が増殖して過形成結節を形成し、排尿障害〔排尿困難・頻尿(ひんにょう)・尿意切迫感(にょういせっぱくかん)など〕をもたらす病気です。
▼治療に用いられるくすり
α1ブロッカー
タムスロシン(ハルナール®)、シロドシン(ユリーフ®)、ナフトピジル(フリバス®
α1受容体を遮断して前立腺平滑筋(ぜんりつせんへいかつきん)を弛緩させます。これにより尿道抵抗が低下し排尿症状が改善します。副作用としては、血圧低下に伴うめまい、ふらつきが生じる場合があります。シロドシンは最も強力なα1a受容体選択的遮断作用があるため、射精障害をきたすことがあります。ナフトピジルは、α1d受容体遮断作用を併せもつため蓄尿改善効果が期待できます。
5α還元酵素阻害薬(5αかんげんこうそそがいやく)
デュタステリド(アボルブ®
テストステロン(男性ホルモン)を前立腺組織内でDHT(活性型男性ホルモン)に変換する酵素を阻害することにより、前立腺を縮小させ排尿症状を改善させます。α1ブロッカーよりも効果の発現に時間がかかりますが、比較的大きな前立腺肥大症に有効です。副作用として勃起力が低下することがあります。
PDE5阻害薬
タダラフィル(ザルティア®
前立腺や血管内皮に存在するcGMP(情報伝達物質の一種)の分解を妨げることで平滑筋の弛緩、血管拡張作用を有することから前立腺肥大症による排尿障害にも効果があります。ニトログリセリン製剤との併用は禁忌とされています。
抗アンドロゲン剤
酢酸クロルマジノン(プロスタール®
合成黄体ホルモンの一種で男性ホルモンの働きを妨げることにより前立腺を縮小する効果があります。副作用として勃起機能障害(ED)があります。また、耐糖能低下を起こすことから糖尿病のある方には注意が必要です。
その他
植物製剤(エビプロスタット®、セルニルトン®)、漢方製剤〔八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)〕
植物製剤は抗炎症効果を有し、前立腺肥大症に伴う炎症を和らげ排尿症状改善効果を示します。牛車腎気丸は夜間頻尿に効果を示す場合があります。
▼生活上の注意点
生活上の注意点過度の飲酒は避けましょう
便通を整えましょう
刺激物、からい食べ物は控えましょう
適度な運動をしましょう
風邪薬や向精神薬の服用は慎重に


ページ制作:株式会社ライフメディコム/情報提供:株式会社スズケン

>> ご利用規約
株式会社スズケン