糖尿病に合併する心疾患
指導/島田 健
和歌山県立医科大学第一内科


▼疾患に関する基礎知識
 糖尿病では血糖値を調節するホルモン(インスリン)の分泌量の低下やインスリン抵抗性と呼ばれるインスリンの作用不足の状態にあります。慢性的な高血糖が持続すると口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、急激な体重減少などの自覚症状が出現しますが、無自覚に経過する場合もあります。
 糖尿病に加え、高血圧、高脂血症などの生活習慣病、肥満体質、喫煙習慣は動脈硬化の危険因子として知られています。動脈硬化が進行すると微小血管の血流障害により眼底の網膜症や腎障害、神経障害が糖尿病の三大合併症としてよく引き起こされます。また、大血管の血流障害では脳血管障害、心血管障害、閉塞性動脈硬化症などが起こります。中でも心臓に栄養を運んでいる冠状動脈が血流不足になると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こします。通常締め付けられるような強い胸痛がありますが、糖尿病の患者さんでは痛みがないこともあります。虚血性心疾患は、治療が遅れると致死的な状態になる危険性が高いので注意が必要です。

▼日常生活での注意
 糖尿病をはじめとする生活習慣病では、食生活の管理や適度な運動習慣、禁煙といった日常生活の改善が不可欠です。生活習慣病と診断されている患者さんは、危険因子のコントロールに努め、動脈硬化の進行を未然に食い止めることが重要です。生活習慣を見直し、主治医と相談のうえで必要に応じた薬物治療を行いましょう。

●食事療法

1)暴飲暴食は避け、時間をかけてゆっくりよくかんで食べる。
2)食物繊維を多く含む食品(野菜、海草、きのこなど)を積極的にとる。
3)塩分や動物性の脂肪は控えめにし、栄養バランスのとれた献立にする。
4)朝、昼、夕、1日3食規則正しく食べる。


●運動療法

1)15〜30分の運動を1日2回、1日摂取カロリーの10%以上を運動で消費することを目標にする(歩行に換算すると1日1万歩程度が目安)。
2)趣味のサークル活動への参加など、積極的な屋外での活動を楽しみながら続けられる工夫をする。
 運動療法は筋肉を増やし、体脂肪を減少させ、末梢組織のインスリン抵抗性を改善させる効果が期待できます。ただし、血糖値が極度に高い人や眼底出血がある人、重度の腎障害、自律神経障害、心肺機能の低下している人は運動療法を制限する必要がありますので、必ず主治医のチェックを受けてから、その指示に従って開始するようにしましょう。


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