子宮頸がんとワクチン
 
 
監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授


子宮頸がんとは?
 
子宮頸がん? 子宮頸がんとは、ウイルスの感染により子宮の入り口(子宮頸部)に発生するがんです。
 発症年齢は、30代後半から40代に多いといわれていますが、最近では20代での発症も増加傾向にあります。ほとんどが性交によってウイルスに感染するため、性交経験のある人なら誰でも子宮頸がんを発症する可能性があります。
 子宮頸がんは、ワクチンの接種によりほぼ予防できる病気です。また、発症しても、早期発見により子宮を残すことも可能です。ワクチンの接種や婦人科検診を定期的に受けるよう心掛け、自分の身体を守りましょう

  症状は?
     発症初期では、ほとんど症状はありません。進行するにつれて、生理以外や性交時に出血がみられる、生理が長引いたり出血量が増えたりする、いつもと違う色やにおいのするおりものが増えるなどの症状が現れます。また、下腹部や腰の痛み、性交痛などがみられる場合もあります。

  発症の原因は?
     子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症します。HPVは100種類以上もあるウイルスであり、そのうち10数種類が子宮頸がんの原因となります。ほとんどが性交による感染といわれていますが、性器周辺の皮膚や粘膜の接触などにより感染する場合もあります。そのほか、喫煙が発がん要因との説もあります。


検査と診断
 
検査と診断 まずは問診を行い、初潮年齢や生理の状況、妊娠・出産経験の有無などについて質問します。次に内診を行います。内診では腟鏡という器具を使用して、子宮の形や大きさ、炎症の有無などを調べます。続いて、子宮の入り口付近を綿棒やヘラのようなものでこすって細胞を採取し、異常の有無を顕微鏡で調べます。これを細胞診といいます。
 これらの検査は下着を外して行うため、受診時の服装はスカートの方がよいでしょう。また、正しい診断のためにも、生理中や生理直後の受診は避けましょう。
 細胞診の結果、子宮頸がんの疑いがある場合には、より詳しく調べるために精密検査を行います。子宮頸がんと診断されると、がんの進行の程度を調べる検査を行い、0〜IV期の病期(ステージ)に分類されます。


【子宮頸がんを診断するための精密検査】
組織診
子宮頸がんの疑いがある部分の組織を切り取り、異常な細胞の有無を顕微鏡で調べる。
コルポスコピー(腟拡大鏡)診
子宮頸部の粘膜表面を拡大して観察する。


【子宮頸がんの進行の程度を調べる検査】
超音波(エコー)検査
身体の表面や腟の中から超音波をあてて、ほかの臓器やリンパ節への転移の有無、子宮頸がんの状態などを調べる。
CT(Computed Tomography/コンピューター断層撮影)検査、MRI(Magnetic Resonance Imaging/磁気共鳴画像)検査
X線や磁気を使用して、ほかの臓器やリンパ節への転移の有無などを調べる。


治療法は?
 
 治療法は、手術、放射線治療、化学療法の大きく3つに分かれ、進行の程度や年齢、合併症の有無などにより選択されます。治療効果を高めるために、いくつかの治療法を組み合わせる場合もあります。そのほか、がん細胞を死滅させる方法として、がん細胞を凍結させる「凍結療法」、高周波を用いる「高周波療法」、レーザー光線を用いる「レーザー療法」などもありますが、いずれもごく初期のがんに対して行う治療法です。
 残念ながら、どの治療法にも後遺症や副作用の現れる可能性はあります。しかし、苦痛をやわらげる方法もありますので、我慢せず医師に相談しましょう。体調や再発の有無を確認するため、治療終了後も通院して経過観察を行う必要があります。


手術
 最もよく行われる治療法です。術式には、がん細胞部分を円すい状に切除する「円すい切除術」、子宮のみを摘出する「単純子宮全摘出術」、子宮に加えて腟と周囲の靭帯の一部を切除する「準広汎子宮全摘出術(じゅんこうはんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ)」、さらにリンパ節も切除する「広汎子宮全摘出術(こうはんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ)」などがあります。がんの進行の程度により術式を決定します。
 手術の後遺症として、更年期のような症状や性交障害、排便・排尿障害、むくみなどがみられる場合もあります。


放射線治療
 高エネルギーの放射線をがん細胞に照射する治療法です。照射方法には、放射線を身体の外から照射する「外部照射」と、腟から子宮頸がんのある部分に照射する「腔内照射」があります。
 副作用として、照射部位に皮膚炎や粘膜炎などが現れたり、倦怠感や吐き気、食欲低下、白血球の減少などがみられたりする場合もあります。また、しばらくたってから、直腸炎や膀胱炎などの合併症が起こる可能性もあります。


化学療法
 抗がん剤を投与する治療法です。抗がん剤には、経口薬や点滴による投与などがあります。抗がん剤の効果を高めることから、いくつかの薬を併用する場合もあります。薬によって投与日数は異なりますが、投薬期間と休薬期間を設けて交互に繰り返します。場合によっては、入院して投薬を行うこともあります。
 副作用として、脱毛や口内炎、下痢、白血球の減少などがみられる場合もあります。そのほか、吐き気や動悸、不整脈がみられたり、肝臓や腎臓に障害が現れたりする場合もあります。


予防法は?
 
ワクチン接種 子宮頸がんは、ワクチンの接種によりほぼ予防することのできる病気です。ワクチンの十分な効果を得るためには、半年に3回接種する必要があります。その効果は最長で6年ほど持続するといわれています。ワクチンを接種した部位が痛んだり赤くなったりする場合もありますが、たいていは数日で治まります。しかし、まれにアナフィラキシーショック(※)が現れる場合もありますので、アレルギー既往歴のある患者さんは、接種の際に医師に相談することが不可欠です。
 ワクチンの接種は、10歳以上の女性であれば、一般医療機関で受けることができます。ただし、発熱している、妊娠の可能性があるなどの場合は、ワクチンの接種を受けることができません。また、健康保険が適用されないため、接種費用は全額自己負担となります。詳しくは、お近くの医療機関にお問い合わせください。
 ワクチンを接種しても、ウイルスの感染を完全に防げるわけではありません。ワクチンを接種した後も、年1回は婦人科検診を受けるよう心掛けましょう。
アナフィラキシーショック・・・・・・血圧低下や呼吸困難などの全身症状が現れた状態


日常生活における注意点
 
  子宮頸がんは、日常生活においても予防することが可能です。婦人科検診やワクチンの接種に加えて、次の点を心掛けましょう。


コンドームの使用で感染予防を
 性交時には、コンドームの使用を心掛けましょう。コンドームの使用は、HPV感染だけではなく、ほかの性感染症予防にも効果があります。しかし、HPVは性交時以外に感染する可能性もあるため、油断は禁物です。


禁煙を心掛けて
 喫煙は、子宮頸がん発症のリスクを高めるといわれています。できれば禁煙するのが望ましいでしょう。


上手にストレス解消を
 ストレスは病気に対する免疫力を弱めます。適度に運動したり好きな音楽を聴いたりするなど、上手にストレスを解消しましょう。



子宮頸がんの情報は、下記サイトでもご確認いただけます。
国立がん研究センター がん対策情報センター:
http://ganjoho.jp/
子宮頸がんの情報サイト:
http://allwomen.jp/


編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
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