緊張型頭痛と群発(ぐんぱつ)頭痛
 
 
監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授


 
 慢性的な頭痛の大半は『機能性頭痛』と呼ばれるものです。『機能性頭痛』の代表的なものとしては「緊張型頭痛」と「群発頭痛」があります。「片頭痛」もこの一種で、いずれも生命に危険を及ぼす頭痛ではありません。
  「緊張型頭痛」は、頭痛全体の7〜8割を占め、日本人では成人の約22%がこの頭痛に悩まされているといわれています。中高年の男女に多く見られ、ストレスが原因で起こることが多い頭痛です。
 一方、「群発頭痛」は、20〜30歳代の男性に多く、群発地震のように一定期間内にひっきりなしに頭痛が起こることから、この名前で呼ばれています。
(※『機能性頭痛』に対し、生命に危険を及ぼしかねない頭痛を『症候性頭痛』と呼び、脳腫瘍などがこれに当たります。)



   
緊張型頭痛ってどんな病気?
 緊張型頭痛の主な原因は、不安や緊張などの精神的ストレスと悪い姿勢などによる身体的ストレスです。ほぼ毎日痛みが続く「慢性」と月の半分以上ないしは1年に数回痛みがある「反復性」の大きく二つに分けられますが、片頭痛(ズキズキする痛みがあり、吐き気を伴う頭痛)を併発する混在型もみられます。

群発頭痛ってどんな病気?
 群発頭痛は、目の奥にある内頸動脈(ないけいどうみゃく:脳に栄養を送るための太い血管)が何らかの原因で拡張して起こると考えられています。群発期(群発頭痛の発作が起こっている期間)を過ぎるとしばらくの間、症状はおさまりますが、2〜3年周期で発作が始まっては、またおさまるという状態を繰り返します。この頭痛は下記のような自律神経の症状を伴います。


発作が起こると頭痛のほかにもさまざまな症状が…
 群発頭痛は、自律神経が刺激されて次のような症状が起こります。
◇痛くなる方の目が赤く充血する
◇涙が出る ◇鼻がつまる
◇まぶたが腫れる ◇鼻水が出る
◇まぶたが下がる ◇汗をかく  など

種類 緊張型頭痛 群発頭痛
痛みの特徴 頭を鉢巻でしめつけられるように痛む。痛み始めも終わりもはっきりせず痛みがずるずると続く。フワフワしためまいを感じることもある。 どちらか片方の目の周囲や、目の奥、こめかみあたりが、えぐられるように激しく痛む。夜中や早朝に起こることが多い。
痛みの持続期間 30分〜1週間程度 15分〜3時間程度
痛みの程度 軽度または中等度
日常生活は普通に送ることができる
重度
日常生活に支障をきたす


 一般的な検査として、血圧・体温・脈拍・呼吸の状態などを調べます。必要に応じて、眼底検査を行い、脳の血管の状態などについても調べます。
 機能性頭痛か症候性頭痛(脳腫瘍などを原因とするもの)を判別するために、CT(Computed Tomography/コンピュータ断層撮影)やMRI(Magnetic Resonance Imaging/磁気共鳴断層撮影)などの画像検査を行って、頭蓋内の様子を精密に調べることもあります。


 緊張性頭痛は、発症頻度と頭痛の持続時間などで診断します。
 群発頭痛は、主に頭痛発作の部位や持続時間、目の充血や鼻づまりなどの症状を伴っているかどうかで診断します。その他、頭痛発症の時間帯や季節、家族の病歴、生活様式、内服薬の有無なども診断のポイントとなります。



   
 緊張型頭痛の治療法としては、ストレスのコントロールと薬物療法があります。

ストレスのコントロール
 緊張型頭痛は、心身面の過度な緊張が原因になっていることが多いので、生活習慣を改善することが第一です。
 過労を避け、適度な休息をとるとともに、首や肩の筋肉に負担がかからないよう正しい姿勢を保つようにしましょう。
 強い不安感や心労などの精神的なストレスも頭痛の原因となります。ストレスの存在を自覚し、気分転換のための趣味を持つなど、ストレスをコントロールすることが大切です。

薬物療法
身体的ストレス・精神的ストレスを緩和するために、必要に応じて薬を用います。
◎身体的ストレスの場合
鎮痛薬 … 非ステロイド性抗炎症剤NSAIDs(エヌセイズ)
  筋弛緩薬 … 塩酸エペリゾン製剤・塩酸チザニジン製剤 など
◎精神的ストレスの場合
抗不安薬 … ジアゼパム製剤
  三環系抗うつ薬 … 塩酸アミトリプチリン製剤・塩酸イミプラミン製剤
  SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
フルボキサミン製剤・パロキセチン製剤 など

   
 群発頭痛の治療法は、発作時の痛みを改善する治療と、発作そのものを起こりにくくする予防的治療の2種類があります。
スマトリプタン(皮下注射薬・点鼻薬)
血管収縮作用をもつスマトリプタンは、優れた頭痛鎮静効果があります。
この薬は群発頭痛の発作時の第一選択の薬として使われています。
   
ただし虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や末梢血管障害(手先・足先など、からだの末梢への血液の流れが悪くなる疾患)のある人には使えません。
  酸素吸入
発作時の痛みには酸素の吸入も有効です。
※この治療法は医療保険がききません。

エルゴタミン製剤
頭痛が起こる前(就寝前など)にタイミングよく服用することで予防効果があります。
ただし痛みが本格化してからの服用は効果がないので注意が必要です。
  カルシウム拮抗薬 … 塩酸ロメリジン製剤・塩酸ベラパミル製剤
  副腎皮質ステロイドホルモン … プレドニゾロン製剤
  抗てんかん薬 … バルプロ酸ナトリウム製剤
  抗うつ薬 … 炭酸リチウム製剤  など



   
 緊張型頭痛を軽減するためには、心と体をリラックスさせることが大切です。デスクワークなど長時間同じ姿勢で仕事をするときは、ときどき席を立ってストレッチや体操をするようにしましょう。
  マッサージや入浴は、筋肉を温めて血流をよくするため、頭痛を緩和する効果があります。水泳やウォーキングなどの運動を生活に取り入れると体がほぐれ、気分転換にも最適です。
 枕の高さが合わなかったり、眼鏡の度が合っていなかったりすると頭痛の原因になります。そのような場合は、枕の高さや眼鏡の度を調整してください。

   
 群発頭痛は、発作を助長する要因を取り除くことが大事です。
 群発期の飲酒は発作を誘発するため、アルコールは一切避けてください。ただし群発期が終われば、飲酒は可能です。入浴の際に発作が起こることもあるため、浴槽につからずにシャワーで済ませるなどの注意が必要です。
 群発期に狭心症の治療薬であるニトログリセリンなどを服用すると、血管が拡張して発作が起こりやすくなるので、そのような薬を服用する際には専門医に相談してください。

   


編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
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