水ぼうそうは、しっかり治そう!
 
 
監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授


水ぼうそうは子供だけではありません
     水ぼうそうは医学用語で水痘(すいとう)といわれ、水痘・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスの感染による皮膚感染症です。
  水ぼうそうは、主に子供が感染する病気で1〜4歳ごろに最も多くみられます。健康な子供であれば、この病気に感染しても軽症ですむことがほとんどです。
  一方、他の病気などで免疫機能が低下しているような場合、症状が悪化することがあるので注意が必要です。
   
 また、大人になってから感染すると子供が感染した場合より、熱が高くなるなど重症化する場合が多いことが知られています。
  水ぼうそうは、1度感染すると免疫ができ、この免疫は生涯続きます。

  感染したら
     水ぼうそうは、ウイルスに感染してから症状が現れるまで約2週間の潜伏期間があります。
  また、水ぼうそうが治ったからといってウイルスがいなくなるわけではありません。ウイルスは、知覚神経の神経節に隠れていつまでも潜伏し続けます。
  しかし数十年後、加齢による体力低下、または大きなストレスや病気などで体の免疫力が低下すると、ウイルスは神経節から出てきて増殖しようとします。このため「帯状疱疹」が起こると考えられています。
  水ぼうそうは、冬から春にかけて流行がみられ、保育園や幼稚園などで集団発生する場合があります。
 子供が水ぼうそうに感染した場合、治るまで他の子供たちとの接触は避けるようにします。
   

水ぼうそうの症状と現れかた
     水ぼうそうの症状は、全身に小さな赤い発疹(ほっしん)や水疱(すいほう)が現れ、強いかゆみや発熱がみられます。

  発疹
   
 最初、赤くて小さい発疹が、体の中心あたりに2〜3個現れます。それから半日くらいの間に、頭、顔、腕、足などの全身に広がります。
  また、口の中や、まれにまぶたと目の結膜に現れることもあります。
  発疹は1日経つと、強いかゆみを伴う水疱に変わります。最初の発疹が現れてから3〜4日の間に新しい発疹が次々と現れて、水疱に変わります。水疱は、3〜4日経つと乾いてかさぶたに変わるため、病気のピーク時には、発疹と水疱、かさぶたが入り混じった状態になります。また、すべてのかさぶたが自然にはがれ落ちるまで約3週間かかります。
   
水疱を潰したり、かさぶたをかきむしったりすると細菌感染を起こして化膿する場合があるので注意してください。
水疱にはウイルスがたくさん含まれているので、直接手で触れないようにします。触れた場合は、すぐに手を洗うようにしてください。

    発熱
   

 発疹が現れると、同時に発熱します。10歳くらいまでは、熱もそれほど高くなく、37〜38度が3〜5日間続きます。
  発疹の数が多いほど熱は高くなる傾向があり、重症になると39度前後の熱が1週間近く続く場合があります。
 
また、新しい発疹が現れなくなると熱は徐々に下がります。

   

検査
     水ぼうそうの場合は、問診と視診以外に特別な検査はありませんが、幼児や小児の場合、家族が経過を把握して、しっかりと医師に伝えることが大切です。
  また、確定診断のために血液検査で、ウイルスの抗原や抗体を調べたり、水疱からウイルスを特定したりすることもあります。
   

診断
     発疹、水疱、かさぶた、またはそれに伴う強いかゆみ、発熱、年齢という特徴的な症状により診断されます。
 水ぼうそうは法定伝染病とされているため、医師の許可が出るまで幼稚園や小学校は休まなければなりません。
   

治療
     治療には、対症療法と抗ウイルス療法があります。

 
   
かゆみを和らげる治療
「フェノール亜鉛華軟膏の外用」「抗ヒスタミン薬の使用」
外用薬は、水疱を破らないように注意して、丁寧に塗ります。水疱が破れても、手で直接触れないように、綿棒を使うといいでしょう。
細菌感染を防ぐ治療
「抗生物質の使用」
かゆみで皮膚をかきむしったりした場合、細菌感染で化膿することがあり、その際には抗生物質が使用されます。

  抗ウイルス療法
   
「抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビル)の使用」
抗ウイルス薬は、体内でウイルスが増殖するのを抑制する作用があります。
発症48時間以内に服用すると、発疹や水疱が少なくなり軽症ですみます。
抗ウイルス薬は、必ず医師の指示を守って服用してください。

  治療上の注意とケア
   
市販の解熱剤には、アスピリンなど子供に強い副作用(ライ症候群:激しい嘔吐や痙攣(けいれん)などが起こり、生命の危険がある病気)が現れる可能性のある成分が入っているため、服用する場合は必ず医師に相談してください。

発疹や水疱をかきむしらないようにするため、子供の爪は短く切ります。できれば手袋をするとよいでしょう。子供の手にも、ウイルスがついている場合があるのでよく洗って清潔にします。

食事は、食欲があれば何を食べてもかまいませんが、口の中に発疹があると痛むので喉越しのよいヨーグルト、ゼリー、麺類などにします。


水疱がかさぶたになるまでは、入浴を控えます。
お尻や外陰部にできた水疱は、かさぶたになりにくいのでシャワーなどで洗い流し、清潔にして他の細菌感染を起こさないようにしましょう。
水疱が潰れると衣類や寝具が汚れます。下着やパジャマ、シーツや枕カバーなどはこまめに替えるようにしましょう。

水疱が現れている間は、人への感染力を持っています。全ての水疱がかさぶたになるまでは外出を控えるようにしましょう。
 

予防はワクチン接種
   予防法の第一は、水ぼうそうのワクチン接種を受けることです。このワクチンは、副作用がほとんどなく安全性が高いものです。受けておいたほうがよいとされる任意接種になります。
  水ぼうそうは非常に感染力が強く、ワクチンが使用されるようになるまでは(1995年)、子供の約90%が15歳までにこの病気にかかるといわれていました。現在では、ワクチンの普及で年間の水ぼうそう患者数は約70%も低下したとされます。
  ワクチンは、1歳から接種できますが、費用は自費です。
  一方、このワクチンは、免疫をつくる作用があまり強くないため100%の効果はありません。接種後に乳幼児の1〜2割程度に感染がみられる場合がありますが、軽症ですみます。
 また、アトピー性皮膚炎などで皮膚の弱っている場合、水ぼうそうにかかると症状が重くなるので、ワクチン接種をしたほうがよいとされます。


(注意) 妊婦は水ぼうそうのワクチン接種が禁じられています。また、家族内に妊婦・授乳をしている人がいる場合は医師に相談してください。
 



編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
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