片頭痛ってどんな頭痛
 
 
監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授


  片頭痛は、女性に多い?
   
 頭痛はよく見られる病気ですが、中でも多いのは片頭痛と呼ばれるタイプの頭痛です。
 日本人の約8%が片頭痛に悩まされているというデータもあり、男性よりも女性に多くみ見られるのが特徴です。
 片頭痛に悩まされている女性は男性の4倍も多く、その原因は、頭痛の発症に女性ホルモンが影響していると考えられています。
 片頭痛は、脈に合わせてズキンズキンとした痛みが、頭の片側に限らず両側、あるいは後頭部にも発作的に出ることがあります。
 さらに片頭痛がひどくなると頭全体に痛みが広がり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
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  片頭痛の前兆とは
     片頭痛の特徴の1つは、頭痛の起こる前兆を訴える人が20〜30%もいることです。そこで片頭痛は「前兆がある」ものと「前兆がない」ものの2種類に分けることができます。
 よく知られている症状は、頭痛の起こる30分から数時間前に目の前にチカチカと輝く光が現れ、視野の中心から片隅にかけて部分的に見えにくくなることです。これは閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれ、片頭痛の特徴的な前兆です。
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  片頭痛の原因としくみ
     片頭痛は頭の血管が過度に拡張することが原因と考えられています。頭の血管では、ストレスなどが引き金となって神経伝達物質の1つであるセロトニンという物質が異常に増えます。増えたセロトニンが、太い血管を収縮させた後、次は過度に拡張します。この結果、腫れや炎症を起こして頭痛が起こるのです。
 また、血管の周囲を取り巻き、顔面の知覚・咬筋(こうきん)の動きをつかさどる三叉(さんさ)神経が、ストレスなどの刺激を受けて血管を拡張する物質や刺激物質などを放出し、血管の過度な拡張と血管周囲の炎症が起こるという説もあります。
   

  症状
     片頭痛は、検査でわかる病気ではありません。症状をできるだけ正確に医師に伝えることが特に重要です。
    症状の特徴
   
頭痛の頻度 頭痛の回数は月に1〜2回から、多い場合は週に1〜2回くらい繰り返して起こる。
痛みの長さ 痛みは1〜2時間で頂点に達し、4〜72時間程度続く。
痛み方 ズキンズキンまたはガンガンとした激しい痛みが脈拍と一致して続く。
痛む場所 痛みは頭の片側、もしくは両側が痛むこともある。ひどくなると頭全体が激しく痛む。
痛みの程度 痛みのせいで仕事や勉強が手につかない。体を少し動かすだけでも痛みが強くなり、つらくて寝込んでしまう。吐き気や嘔吐を伴うこともある。
悪化の要因 頭痛が始まると音や光に過敏になることが多く、明るい場所や騒音も痛みの悪化要因となる。入浴、運動、飲酒なども痛みを悪化させる。
前兆 頭痛が始まる前に、眼の前にチカチカした光が見え、視野の中心部が見えにくくなるなどの前兆がある。あくびや肩こり、首のこりなどが見られることもある。
   

  一度は病院で
     片頭痛かどうかを調べる検査は特にありませんが、脳腫瘍やくも膜下出血など、生命にかかわる病気が原因となる頭痛もあります。片頭痛の陰にそのような頭痛が隠れていないかどうかを調べるために、内科でも眼底検査を行うことがあります。
 いつもの頭痛にまぎれて、危険な頭痛を見逃す可能性もありますので、一度は病院で受診することも大切です。
   

  診断のポイント
   
 医師が片頭痛かどうかを診断する根拠は、問診が最大の情報源となります。
片頭痛の全てに前兆が起こるわけではありませんが、前兆の有無は診断のポイントになります。
 また、「頭痛が続く時間」「頭痛に伴う症状」「どんな薬を飲むと頭痛が改善するか」などを詳しく正確に医師に伝えるようにします。
 そして、いつもと少しでも違った症状があれば、自分で判断せずに必ず医師に伝えて下さい。できれば頭痛発作(頭痛に伴う様々な発作的な症状)について、具体的にメモをしておくとよいでしょう。
   

  治療の目的と薬の使い分け
   片頭痛の治療は、「予防」「痛みの緩和」「痛みを止める」といった目的によって治療薬を使い分けます。
 片頭痛が原因で仕事や日常生活に支障をきたす場合は、市販薬ばかりでなく、頭痛に詳しい医師の診察を受けたほうがよいでしょう。
    頭痛が起こる前に服用する・・主な予防薬
     予防薬は、頭痛発作が重なって日常生活に支障が起こる場合に使う薬で、医師の処方が必要です。
   
    痛みを和らげるときに服用する・・主な鎮痛薬
     軽い頭痛発作に使う薬で、市販されています。
   
    頭痛が起こったときに服用する・・・片頭痛を止める薬
     中等度の頭痛発作、あるいは激しい頭痛発作に対して医師が処方する薬です。

中等度の頭痛発作
エルゴタミン配合剤:酒石酸エルゴタミン+無水カフェインなど

激しい頭痛発作
トリプタン系製剤:コハク酸スマトリプタン、ゾルミトリプタン、臭化水素酸エレトリプタンなど
   
 「トリプタン系製剤」は、片頭痛の特効薬としてよく使用されます。これは血管と三叉神経に存在するセロトニン受容体に直接作用し、血管を収縮させるとともに神経からの刺激物質の放出を抑えて頭痛を改善します。
 また、悪心・嘔吐を伴うほどの重い片頭痛では、コハク酸スマトリプタンの注射が効果を示します。
   

  上手な片頭痛の対処法
   
 片頭痛は薬だけに頼らなくても、ある程度までなら痛みを鎮める方法があります。

〔1〕冷却グッズで冷やす
 片頭痛は頭の血管の過度な拡張が原因ですから、痛む場所をジェルシートなどの冷却グッズで直接冷やすと血管が収縮して痛みが軽くなります。逆に、シャワーや入浴などの温める行為は血管を拡張させるので避けるようにします。

〔2〕規則正しい生活を心がける
 ストレスの溜まるような生活の乱れや睡眠不足などは、頭痛が起こりやすくなります。眠り過ぎもよくありません。


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〔3〕片頭痛が起こりやすい食品を避ける
 人によっては、チョコレート、チーズ、ワインなどで片頭痛が起こることもあります。頭痛と特定の食べ物との関連がわかれば、その食品は避けるようにします。

〔4〕人ごみやまぶしい光を避ける
 デパートなどの人ごみで片頭痛が起こることがよくあります。騒音やまぶしい光が誘因となるからです。人ごみは避けるようにして、光に対してはサングラスなどで防ぐ工夫が必要です。
   


編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
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