監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授
 この病気につけられた「痛風」という名前には、風に吹かれただけでも痛い、という意味があります。痛いという症状が、そのまま名前になっている点でユニークな病気です。

 痛風は西洋では古くから知られた病気ですが、日本では明治以前までなかったといわれています。
 この病気が増加するようになったのは1960年代に入ってからです。
 主な原因として食生活が欧米化した結果、動物性タンパク質や動物性脂質を取りすぎるようになったことが指摘されています。
 現在では、約60万人の痛風患者さんがいるといわれ、その90%が男性です。年齢は40〜50歳代に多く、女性の場合はほとんどが閉経後になります。
 痛風を起こす人は、起こさない人よりも心筋梗塞や脳梗塞になりやすいことも知られています。
 これは、痛風に肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が合併しやすく、動脈硬化がどんどん進展するためです。

 
 突然、足の親指が痛みだし、赤く腫れ上がっている、痛みは締めつけられるように激しく、足を動かすこともできない、という症状が痛風発作です。
 治療をしないと痛風発作は3日くらい続き、その後少しずつ強くなって10日もするとウソのように回復します。
 さらにほうっておくと半年から1年ごとに繰り返し、足の親指以外の関節まで腫れ、痛風発作の間隔も短くなっていきます。
 そして関節だけでなく腎臓にも症状が広がり、腎臓の働きが悪くなって尿毒症が起こります。

 
 痛風の検査は、血液検査による尿酸値(血清尿酸値)の測定が基本となります。日を変えて採取した血液の平均の尿酸値が7.0mg/dl以上であると、高尿酸血症と診断されます。
 仮に尿酸値が7.0mg/dl以上であっても必ず痛風になるわけではありませんが、非常になりやすい状態といえます。
 そのほかの検査として、一日に排泄される尿から尿酸排泄量を調べる検査や、発作を起こした関節から関節液を採取して調べる検査、さらに関節X線検査、結節部の組織片を採取して顕微鏡で観察する検査などもあります。

 
 痛風の治療は、痛風発作が起きているときは発作を止めることが第一です。痛風発作が起きていないときは血液中の尿酸を減らすことが目的になります。

 新陳代謝で細胞が壊されるとプリン体も分解されて尿酸になります。
 これに食事から吸収されるプリン体が加わり、1日700mgの尿酸が生まれます。一方、同じ量の尿酸も毎日体から排泄されています。
 また、体にはあらかじめ一定量の尿酸があり、これを尿酸プールといい、正常な人では常に1200mgとされていますので、このうち700mgが毎日入れかわっていることになります。
 ここで出入りする尿酸のバランスが崩れ、尿酸プールが増えると血液中の尿酸値も上昇します。これが高尿酸血症と呼ばれる状態です。
 尿酸が増える原因は、体の中でつくられる尿酸の量が過剰になる 1)「尿酸合成過剰型」と、体から排泄される尿酸が低下する 2)「尿酸排泄低下型」およびこの両者が混じる 3)「混合型」に分けることができます。
 治療を行う際には、このタイプ分けをもとに薬を選びます。


1)「尿酸合成過剰型」
 尿酸の合成を減らす尿酸合成阻害薬(アロプリノール)を使います。




2)「尿酸排泄低下型」
 尿酸がたくさん尿へ排泄されるように尿酸排泄促進薬(プロベネシド)を使います。
 また尿が酸性(pH<6.0)になると尿酸が溶けにくくなるため、これを防ぐ尿アルカリ化剤(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム)を併用します。



3)「混合型」
 尿酸合成阻害薬と排泄促進薬を併用しますが、どのタイプでも時間をかけて少しずつ尿酸を減らしていくことが大事です。
 痛風発作を抑えるためには、主として非ステロイド系の消炎鎮痛薬(ナプロキセンなど)が使われます。

 
(1)カロリーを抑えた食事
 食事の総カロリーを抑え、肥満を防ぐことが第一に勧められます。肥満度が高いほど尿酸値は高くなります。
(2)アルコール飲料は控える
 アルコールが体の中で分解されると尿酸ができます。
(3)水分を十分にとる
 夏でも冬でも毎日2リットル以上の水分をとるようにします。体の水分が足りなくなると尿酸値が上がります。理想的には1日2リットル以上の尿が出るようにします。
(4)軽い運動を行う
 激しい運動は尿酸値を上げるので逆効果になりますが、ウォーキングなどの軽い有酸素運動は肥満の解消にもつながります。
(5)ストレスの緩和に努める
 ストレスは尿酸値の上昇に影響すると考えられています。気分転換や、のんびりする工夫が大切です。

編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
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