子供が小児喘息と言われたら
 
 
監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授

 
小児喘息とは?
   喘息は、空気の通り道である気管支が急激に収縮し、呼吸困難の発作を繰り返す病気です。この発作を喘息発作といいます。
 小児喘息でも気管支に激しい収縮が起こり、喘息発作を繰り返します。しかし、乳幼児は大人と違って言葉で症状を伝えることができないため、泣いたり、ぐずったりと不機嫌になることで喘息発作を訴えることがあります。軽い咳(せき)でも、喘息が隠れていることがあるので油断はできません。
 小児喘息の場合、乳児から幼児、学童期まで様々な成長発育の段階にあることから診察や治療を行う上で大人とは異なった対処法が必要になります。
 また、小児喘息の発症は3歳までが約70%、5歳までが約90%を占めるとされています。
  〔1〕アレルギーの影響が大きい
     ハウスダスト、ダニ、花粉といった生活環境の中の物質が原因となるアレルギーで喘息が起こることが多いといわれています。
 もしアレルギーを起こす原因物質がわかっていれば、それを子供のまわりから除去するようにします。
  〔2〕自然によくなる割合が多い
   
 小児喘息の約70%は、思春期までに自然によくなるといわれます。これは、治療をしなくてもよいということではありません。
 喘息発作を放置すれば呼吸困難がひどくなるばかりではなく、喘息が重症化し、喘息死の可能性も出てきます。また、成長に悪影響を与えることもあります。
 適切な治療を行えば、成長によるアレルギー体質の改善とともに小児喘息もよくなることが多いと考えてください。
 

  症状は「ゼーゼー、ヒューヒュー」
     小児喘息の発作では、呼吸をするときに「ゼーゼー、ヒューヒュー」と聞こえる苦しそうな症状を繰り返します。これは、喘息発作で狭くなった気管支を息が通るときに出る音で、喘鳴(ぜんめい)とも呼ばれ、呼吸困難のときにみられる症状です。
 喘鳴は、昼間より夜間や明け方に多く起こります。昼間の症状は夜間や明け方に比べて比較的軽い場合があるので、見逃さないように注意しましょう。
 小児喘息では、運動した後や風邪を引いたときにもこの症状が現れます。また、乳児や幼児では、喘息発作を起こしても喘鳴がはっきりしないこともあります。
 明らかな「ゼーゼー、ヒューヒュー」が聞きとれなくても、息苦しさを訴えているかどうかを読み取ってあげることが大切です。
 特に、初めての喘息発作は症状がわかりにくく、見逃すと喘息を悪化させてしまうこともあります。少しでも異常を感じたら積極的に医師にかかるようにしましょう。
     

  検査は大人と同じようにはできない
     喘息の検査には呼吸機能試験や気道過敏性試験などがありますが、乳児や幼児の場合は検査を受けることが難しいことも多いようです。
 簡単な呼吸機能測定器具であるピークフローメーターが使用できるくらい成長していれば(5〜6歳)、1日のピークフロー値の変動幅をみることで喘息かどうかを推定することができます。
     

  お母さんからの情報が重要!
   
 「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴は、喘息以外の病気でも起こる場合がありますが、医師は喘鳴がみられれば、第一に喘息と考えます。
 日本の小児喘息のガイドライン(「小児気管支喘息治療ガイドライン2002」より)では2回以上の喘鳴があれば喘息と診断します。
 しかし、「ゼーゼー、ヒューヒュー」は夜間や明け方、または運動後にみられることが多く、医師の診察中に必ず聞けるとは限りません。
 子供と一番長く接しているお母さんが、普段の症状をできるだけ正確に医師に伝えることが重要となります。
 いつ、どこで、どんなとき、どの程度の喘鳴があったかなど、お母さんがメモしておくと正確な情報が伝わります。
 また、小児喘息はアレルギーの影響が大きく、食べ物が原因になることもあるので食事内容を伝える必要もあります。
     

  発作が出た時の薬
     喘息発作が起こった時は、収縮した気管支を拡げて発作を抑える薬を使います。
 また、喘息発作は気管支の炎症が原因になっていることがわかっているため、炎症を改善する薬を使い、発作を起こりにくくします。さらに、アレルギーの影響を受けないように抗アレルギー薬を併用する場合もあります。


気管支を拡げる主な薬
−発作が出そうな時や、起こったときに抑える−
 ・β
2(ベータ・ツー)刺激薬:吸入薬、内服薬、貼付薬
 ・テオフィリン製剤:内服薬

喘息発作を予防する薬
−気管支の炎症を改善し、発作を起こりにくくする−
 ・吸入ステロイド薬
 ・抗アレルギー薬:吸入薬、内服薬
     

  吸入ステロイド薬が治療のポイント
     ステロイド薬と聞くと、副作用の心配を考えて躊躇(ちゅうちょ)する方がいます。しかし、全身に薬がまわる内服や注射と違って、吸入ステロイド薬は口から喉(のど)、気管支と限られた範囲内にとどまり、また、薬剤の量が極めて少量という特徴がありますので副作用の少ないステロイド薬と言えます。

吸入ステロイド薬の上手な使い方
〔1〕決まった量を毎日吸入する
 吸入ステロイド薬だけでは喘息発作を抑えることはできませんが、一定の量を毎日決められた回数続けていくと3ヵ月、または半年のうちに発作の回数は明らかに低下します。 
 発作の回数が少なくなれば、吸入ステロイド薬の量を減らしていくことができます。ただし、勝手に吸入ステロイド薬の量や、回数を減らさないでください。必ず医師と相談したうえで薬の使用量を決めるようにしてください。
〔2〕正しく吸入する
 吸入ステロイド薬は、気管支に入らないと効果が現れません。正しく吸入できているかどうか常にチェックしてください。おかしいと思ったら医師の前で吸入し、間違っていないかどうか確認してください。
〔3〕吸入後は必ずうがいをする
 口の中や喉に吸入ステロイド薬が付着したままだと、声がれ、カンジタ症などの副作用が起こることがあるので吸入後は必ずうがいをしてください。
     

  目標はふつうの子供と同じ生活
     小児喘息だからといって毎日安静にしているわけにはいきません。子供は、大事な成長過程にあるわけですから、遊びや運動も必要です。学校に通うようになれば勉強や団体生活にもついていかなければなりません。できるだけふつうの子供と同じ生活をすることが治療の目標になります。
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編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
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