気管支喘息の上手なコントロール法
 
 
監修/北村 聖
東京大学医学教育国際協力研究センター 教授

 
   
 「喘息」は、気管支が狭くなって突然呼吸が苦しくなり、発作を繰り返す病気です。発作が起こると息苦しくなり「ゼーゼー、ヒューヒュー」という呼吸音がします。これは「喘鳴」(ぜんめい)と呼ばれ、喘息の大きな特徴です。
 その他に突然起こる呼吸困難やせき、たんなどの症状もみられ、日本では成人の3%が喘息にかかっているといわれています。
     

 
     喘息の人の気管支で共通して起こる現象は気道(のどと肺を結ぶ空気の通り道)の炎症です。炎症というと細菌などの病原菌によると思いがちですが、ストレスやアレルギーなどが原因で起こる場合も多くみられます。炎症が続くと、気道の壁の粘膜に腫れや浮腫(むくみ)が現れ、粘性の透明なたんが増えます。
 また、このような気管支では「気道の過敏性」という性質が現れ、わずかな刺激でも気道が収縮しやすくなっています。その結果、正常な人なら何でもないようなホコリやタバコの煙、冷たい空気などが引きがねになって喘息発作を起こします。


気道の壁の粘膜に腫れやむくみが現れます。
粘性の透明なたんが増えます。
気道がさらに狭くなります。
     

 
   
 喘息になる人は、生まれつきアレルギーを起こしやすい体質を持っています。
 アレルギーの原因には花粉、ダニ、ハウスダスト、ペット、カビ、化学物質など様々なものがあり、これらをアレルゲンといいます。
 できるだけ生活の中のアレルゲンを除去し、アレルギーの起こりにくい環境を整えることが大切です。
     

 
     喘息の治療は、健康な人と同じ日常生活を送ることが目標になります。このため気道を拡げて喘息発作を抑える薬と、気道の炎症を抑え発作を予防する薬の両者を組み合わせて喘息をコントロールします。


⇒発作が出そうな時や起こった時に抑える

●β2(ベータ・ツー)刺激薬(吸入薬、内服薬、貼付薬)
●テオフィリン製剤(内服薬)


⇒気道の炎症を抑え、予防する

●吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬
     

 
     喘息は、発作が起こっていないときでも気道の炎症は続いています。喘息の治療は、症状が起こっていないときに気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬を根気よく続けることが大切です。


 吸入薬は、気管支に入って気道の粘膜に直接作用します。そのため、内服薬や注射薬に比べて少ない量で効果が出ます。また、薬の作用が全身にまわらず気管支に限られるため、副作用が出ても少なくてすみます。
 主な副作用は、声がれ、口腔カンジタ症などですが吸入後のうがいで防ぐことができます。
 吸入ステロイド薬を長く続けていくと、気道の炎症が改善され、喘息発作が起こりにくくなり、起こっても軽くてすむなど、喘息を上手にコントロールできるようになります。
     

 
     喘息の上手なコントロール方法としてピークフローメーターの利用があります。ピークフローメーターとは、簡単な呼吸機能測定器具であり、ピークフロー値を知ることで気道の状態がわかるのです。ピークフロー値とは、息を勢いよく吐き出した時の息の流れる速度のことです。
 喘息が起こっていると、気道が狭くなっているために空気が流れにくく、ピークフロー値は標準よりも低くなります。喘息が改善してくるとピークフロー値は上昇します。



 ピークフローの測定は、毎日朝と晩に3回ずつ測り、1番高い値を記録します。測定は、薬を吸入・服用する前の決まった時間とし、姿勢は立ったまま行うことが大切です。

【1】マウスピースを取り付けます。

【2】目盛りポインター(指針)をゼロの位置にもってきます。

【3】指が目盛りの溝にあたらないように、また手が先端の穴をふさがないようにして水平に持ちます。
まわりから息がもれないように、マウスピースをぴったりと口にくわえて、できるだけ深く鼻から息を吸い込み、一気に口から息を吐き出します。

【4】ポインターの止まった目盛りを読みます。

【5】【1】〜【4】までを繰り返し、合計3回測定します。そのうち1番大きい数値を日記に記録します。



 ピークフロー値を毎日記録していくと、ピークフロー値と気道の状態の関係が把握できるようになります。このため、喘息の悪化が早いうちにわかってくるので、適切な対処をあらかじめ準備することができます。
 また、毎日の測定値を記録したピークフロー日記を、医師に見せることで治療にも役立ちます。

ピークフロー値の測定をして喘息の状態を知り、喘息のコントロールに利用することを「喘息管理のためのゾーン・マネジメント」と呼びます。

ゾーン ピークフロー値
(基準に対する実測値の割合:%)
判定
グリーン 80〜100% 良好
イエロー 60〜80%以上 注意が必要
レッド 60%未満 ただちに受診
★基準は、自己最高値または標準値
    ▲TOP


編集:株式会社ライフメディコム
制作:エンパワーヘルスケア株式会社
ご利用規約
Copyrights ©2009 Empower Healthcare K.K. All rights reserved.