*ノロウイルス感染症について*
ノロウイルス感染に伴う感染性胃腸炎が増えており、当院にも多数の方が受診されています。
(平成18年12月中旬時点で)
ノロウイルス感染症は、冬季の感染性胃腸炎の中では患者数が最も多い感染症として、以前より知られていました。
通年1〜2月がピークなのですが、今年は12月にて既に過去最高の発生となっており、今後もノロウイルス感染症が増える可能性があり注意が必要です。
以下に、特徴や処置・予防法を掲載しておきましたので、ご参考下さい。
【感染経路】・・・ほとんどが経口感染です。
| 1. |
汚染された貝類(牡蠣、アサリなどの二枚貝)を加熱不十分で摂食した場合 |
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感染の出発点は牡蠣などの貝類で、そのため冬場に多いという特徴があります。 |
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ノロウイルスは時間がたっても死滅しにくく、極少量でも感染・発症するため、 |
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下記感染経路を介して流行しやすい特徴があります。 |
| 2. |
食品取扱者(製造・飲食店従事者、家庭で調理を行う者)が感染しており、 |
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その者を介して汚染された食品を食べた場合 |
| 3. |
患者の糞便や吐物からの二次感染 |
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(ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸ですので、
吐物・糞便にはウイルスが存在し、感染源となります。) |
| 4. |
家庭や共同生活施設で、人同士の接触(人→人、人→物→人)を介しての二次感染 |
| 5. |
吐物・糞便の処理が不十分で、乾燥し浮遊したウイルスが口に入っての二次感染 |
などがありますが、
感染力が非常に強く、吐物・糞便の処理は十分に行って下さい。
その際には使い捨て手袋を使用されるのが望ましいです。
また、症状が改善しても、約1週間以上にわたりウイルスは排泄されており、排便後の手洗い、調理・食事前の手洗いは十分行って下さい。
【潜伏期】・・・24〜48時間
【症状】・・・1. 嘔吐、2.
下痢、3. 腹痛、4.
発熱(多くは微熱)
多くは、嘔吐下痢が頻回に出現し、1〜2日ほど続いた後に治癒し、後遺症もありません。
【治療】・・・ノロウイルス自体に効果のある抗ウイルス剤は、現在ありません。
症状にあわせた対症療法が行われますが、下記の点に注意が必要です。
| 1. |
嘔吐下痢症状が強いときは、脱水にならないよう水分・栄養の補給が必要です。 |
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下痢や嘔吐が強く、飲水も十分できない場合は、病院で点滴処置なども考慮してもらって下さい。 |
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特に、体力の弱い乳幼児・高齢者は脱水に陥りやすく、注意が必要です。 |
| 2. |
下痢止め薬は病気の回復を遅らすことがあり、使用しない方が望ましい場合があります。 |
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主治医とよく相談し、対処してもらって下さい。 |
【予防法】・・・ノロウイルスを失活化するには、
1.
加熱、2. 次亜塩素酸ナトリウムがあります。
一般のエタノールや逆性石鹸では、ウイルス自体は失活化できません。
| 1. |
牡蠣などの二枚貝は十分加熱してから摂食する。 |
| 2. |
調理器具を熱湯消毒する。 |
| 3. |
吐物・糞便の処理は十分に行う。その際には、使い捨て手袋を使用されるのが望ましい。 |
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おむつやふき取りに使用したペーパータオルなどは、ビニール袋に密閉して破棄する。 |
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処置後は十分に手洗いを行い、二次感染予防に努める。 |
| 4. |
吐物・糞便が乾燥すると、ウイルスが空中に浮遊し二次感染する場合があり、吐物・糞便は速やかに処理し、乾燥させないことが大切。 |
| 5. |
排便後の手洗いを十分行う。ノロウイルス感染を起こした者では症状が消失した後も、約1週間にわたり便にウイルスが排泄され続けており、 |
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食品取扱者はこの点について十分認識する必要があります。 |
| 6. |
食事の前や調理の際には、また、外出先から帰宅した際にも十分に手洗いを行う。 |
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一般のエタノールや石鹸ではノロウイルス自体を失活化することはできませんが、流水でウイルスを洗い流すことに意義があり、一般の人が対処できる予防法としては、最も簡便で効果があります。 |
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この時に石鹸を用いると、手の脂肪などの汚れを落とし、ウイルスが手から剥がれやすくなる効果があります。 |
【感染が疑われた場合】・・・かかりつけの医師や最寄りの保険所にご相談下さい。

*インフルエンザ感染症について*
インフルエンザは例年12月〜3月にかけ流行します。今年は1月中旬にてまだ流行には至っていませんが、下図のように2月に流行のピークがある年もあり、まだまだ油断はできません (図1拡大図参照)。
【インフルエンザの症状】
(1) 突然の発症
(2) 38℃以上の高熱
(3) 鼻汁、咽頭痛、咳などの上気道炎症状
(4) 関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの全身症状が強い
一般に小児では発熱の程度が高く (図2拡大図参照)、腹痛、嘔吐などの消化器症状も伴いやすい (図3拡大図参照)特徴があります。インフルエンザは普通感冒に比べ症状が強く、二次感染(高齢者の肺炎や小児の中耳炎など)やインフルエンザ脳症などの重篤な合併症を併発する可能性があり、注意がより必要です。
【症状の持続期間】
約1週間で改善。感染初期に抗インフルエンザ薬を服用すると、2日ほど早めに改善します。(図4参照)。
1週間以上続く場合は、肺炎などの二次感染を疑う必要があります。
【潜伏期】 1〜3日
【ウイルスの構造】(図5参照)
ウイルスの表面には2種類の突起物があり、HAは細胞内に侵入する働きを、NAは細胞外へ放出する働きを持ちます。A型ではHA、NAの組み合わせによって、様々なタイプが存在します。
Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)などが現在流行している代表ですが、これらのウイルスは同一タイプ内で毎年わずかに抗原性を変化させるため(いわばマイナーチェンジ)、毎年のようにインフルエンザが流行することになります。また、マイナーチェンジとは別に、インフルエンザウイルスは、数十年に1回メジャーチェンジが行われ、全く新しいタイプのインフルエンザが出現しています。新しいタイプに対しては全くだれも抗体を持っていませんから、歴史上世界的流行および惨事が引き起こされてきました。現在うわさになっている鳥インフルエンザ(H5N1)は、まだ人→人への感染能力を持っていませんが、鳥→鳥、鳥→人への感染を繰り返すうちに、人→人への感染能力を獲得したときに、全く新しいタイプのインフルエンザとして猛威を振るうのではと危惧されています。
【ウイルスのタイプ】
A型,B型,C型の3タイプがありますが、臨床上問題となるのはA型とB型です。
一般にA型はB型よりも症状が強いという特徴があります。
【感染経路】
(1) 飛沫感染:基本的にインフルエンザは飛沫感染です。感染者の咳やくしゃみなどに混ざってウイルスが空気中に飛び、それを他の人が鼻や口から吸い込んで感染します。マスクや咳き込む時にハンカチなどで口元を覆うことは、飛沫の発生を最小限に抑えられます。
(2) 飛沫核感染:飛沫時には水分が付着しており、ウイルスは1~2mの範囲に落ちます。ところが、水分が乾き軽くなると、ウイルスは空気中に漂って浮遊するようになります。この浮遊したウイルスを吸い込んで感染することを、飛沫核感染といい、感染力が強いので注意が必要です。窓を閉め切った乾燥した室内では、ウイルスが長時間浮遊し、飛沫核感染が起こりやすくなります。
(3) 接触感染:飛沫で飛んだウイルスを手で触ってしまい、その手で鼻や眼の粘膜を触ることで感染。(インフルエンザ以外の通常の風邪の多くは接触感染です。)
【予防対策】
(1) 栄養バランスのよい食事や十分な睡眠をとる。
体力をつけ、抵抗力を高めておくことが大切です。
(2) 加湿器などで乾燥を防ぐ。
乾燥すると、ウイルスが長く空中で留まりやすくなります。また、乾燥により喉の粘膜の免疫機構が低下します。加湿器などで部屋の湿度を50〜60%に保つようにします。
(3) 外出時にはマスクを着用する。
ウイルス自体は小さいのでマスクを通過するのですが、マスクを着用することで口腔内の乾燥防止になり、予防効果が発揮できます。
(4) 流行時は人ごみを避ける。
飛沫感染が基本であり、人ごみの多い場所は極力避けるようにします。
(5) 帰宅後は手洗い、うがいを行う。
一般の風邪に対しても予防効果があります。
(6) あらかじめ予防接種を受けておく。
【インフルエンザに罹患したら】
(1) 早めに医療機関を受診する。
発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用開始するのが望まれます。
(2) 十分な休養と睡眠をとる。
(3) 高熱に対し、水枕や氷枕で頭を冷やす。また、わきの下、太ももの付け根、
首の頚動脈など、太い動脈が通っている部分を冷やすと、熱を冷ますのに効果的
です。
★解熱剤は使用して問題ないものと好ましくないものがあり、医師に相談して下さい。
(4) 高熱が出るので脱水にならないよう水分を十分取り、食事は消化のよいもの
とする。
ジュース類やスープ類がお勧め。
(5) 部屋の温度、湿度に注意し、時々換気する。
ウイルスは低温、乾燥を好みます。乾燥しているとウイルスが長時間空気中を
漂います。
加湿器などで適度な湿度(50〜60%)を保つようにする。
(6)学校保険法では、 “解熱した後2日を経過するまで出席停止期間”となっていま
すが、学校および職場への復帰に関しては、医師と相談の上決定して下さい。
(7) インフルエンザ罹患時に使用した蒲団や衣服にはウイルスが付着しているこ
とが予想されますが、
これから感染が起きることは稀だと考えられています。
通常の洗濯や日向干し、あるいはアイロンをかけておけば、感染性はなくなってい
ます。
【解熱剤の使用について】
小児ではアスピリンなどのサリチル酸製剤でライ症候群(脳浮腫、肝障害)を、ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)やメフェナム酸(商品名ポンタール)でインフルエンザ脳症(意識障害、痙攣、死亡)を引き起こすことがあり、15歳未満では使用を控えるよう指導されています。小児科領域でよく使われているアセトアミノフェン製剤(アンヒバ座薬、カロナール)は問題ないといわれています。
【抗インフルエンザ薬について】
現在日本で使用可能な抗インフルエンザ薬は、商品名としてタミフル、リレンザ、シンメトリルの3剤があります。タミフルはカプセル剤で、リレンザは吸入剤です。タミフル、リレンザともA型とB型の両方に有効ですが、シンメトリルはA型にしか効果がありません。タミフル、リレンザともノイラミニダーゼ(図5参照)を阻害することにより、ウイルスが細胞内から放出され増殖するのを阻止し、有病期間を短縮(図4参照)します。従って、ウイルスが十分増殖してから服用するのではなく、感染初期の発熱後48時間以内に服用開始することが望ましいとされています。
図1〜4は日本臨床内科医会:インフルエンザ診療マニュアルより、
図5はきょうの健康11月号より抜粋させて頂きました。
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